#170 生活保護費はどうやって決まる?

一口に「生活保護」と言っても、支払われる金額はばらばらだ。生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度である。その人の置かれた状況によって「最低限度の生活」を送るのに必要な金額は違う。

まず、家族構成。単身世帯と子どもが大勢いる家族とは生活費も大きく変わってくる。
住んでいる場所によっても生活費は変わる。通信販売が普及している現代では、モノの物価は地域によってさほど変わらないかもしれないが、家賃は都心と地方では大きく異なっている。地域による違いを把握するのに分かりやすい指標が最低賃金だ。最低賃金も、生活保護費と同じく最低限度の生活を送るためにはどのくらいのお金が必要かという発想で定められている。

厚生労働省によると、2023年6月現在、都道府県別に定められた最低賃金は東京都の1072円が最高で、青森県、秋田県などの853円が最低である。200円以上も差が生まれている。

生活保護費は、以下のようなサイトで計算することができる。

このサイトをもとに計算してみると、
東京都23区で50代単身世帯の場合は130940 円/月に対し、
青森県青森市で50代単身世帯の場合は102460 円/月となる。
やはり住宅扶助(家賃)の差が大きいようだ。

東京都23区でも、30代母の母子家庭で小学生の子どもが2人いる世帯の場合は260030円/月となり、世帯の状況によってかなり差が出ることが分かる。

また、最低限の生活費に満たないものの仕事をしていて収入がある場合は、最低限の生活費と収入の差額が生活保護費として支払われる。収入を申告せず、満額の需給を受けていた場合は不正受給となり、後から保護費を返金することが必要な場合もある。

生活保護は不正受給や保護費を使ったギャンブルなどがやり玉にあがることが多いが、保護基準の収入に満たないながらも生活保護を受けていない人が多いと言われている。生活保護基準を満たしている世帯のうち、生活保護を受けている世帯の割合のことを捕捉率と呼ぶが、2010年に発表された統計によると日本の生活保護の捕捉率は15~20%と言われている。
実は、この捕捉率の低さの方が大問題なのだが、生活保護を受けることが恥だという価値観があることや、生活保護を受ける際に親族に扶養照会という連絡がいくことなどが原因であると言われている。

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