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法務委:外国人労働者新制度 質疑(2019/03/13)

裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件(特定技能の在留資格に関して政省令事項を含む法制度の全体像)【衆議院法務委員会】※要旨

就学案内等の多言語化

○井出庸生委員 1月23日に取り上げた、日本にいる外国籍の子で、義務教育、小中学校に行ってない子どもの問題について伺いたい。
 3月5日の毎日新聞で、文部科学省が外国籍の就学不明児の調査を、6歳から14歳対象、4月以降全国で自治体の協力を得て実施し、就学不明児を集計すると当時に、自治体が就学状況を把握するための個別訪問などに取り組んでいるか、自治体がしっかりとフォローしているかも調査をすると。
 これまで文科省は推計の数字は持っていたが、実態把握はしてこなかった。そういう意味では大変よい取り組みだなと率直に歓迎・評価を申し上げたい。
 その上で、23日の質問でも取り上げたが、外国籍の子どもがいる世帯に送られる就学案内について。文部科学省のホームページを見たところ、英語・韓国語・ベトナム語・フィリピン語など7カ国の言葉で外国人児童・生徒のための就学ガイドブックをつくっているということだが、私が先般取り上げたときは日本語だけで送っているようなところもある。ぜひ就学案内の多言語化についてもこの際実現をしていただきたいと思うが、いかがか。
○塩見みづ枝文部科学省総合教育政策局社会教育振興統括監 外国人の子どもたちが日本における生活の基礎を身につけ、その能力を伸ばすことができるようにするとともに、共生社会を実現していくためには、適切な教育の機会が確保されることが不可欠と考えている。
 文部科学省としては、省内に設置した外国人材の受入れ・共生のための教育推進検討チームでの議論も踏まえ、今回初めて義務教育段階の外国人児童・生徒の就学状況について、自治体の協力のもと、全国的な調査を行う予定としている。
 就学案内の多言語化については、外国人の子どもの就学を促進する上で重要な課題であると認識しており、これまでも文部科学省が教育委員会や学校向けに作成した外国人児童・生徒を受入れの手引き等々において多言語による就学案内の作成を求めているが、この手引きについて今年度中に改定を行い、一層の内容の充実を図ることとしている。
 また、先ほど申し上げた検討チームにおいて、就学状況の調査とあわせ、就学促進のための方策についても広く議論を行い、外国人の子どもの就学機会がより適切に確保されるよう、しっかりと取り組んでまいりたい。
○井出庸生委員 手引きを今年度中に改定をしてくださるということで、とにかくこのホームページもそうだが、就学のガイドブックが文部科学省のホームページに出ており7カ国語で用意してもらっているが、いかんせんホームページが日本語だと「どこをクリックしたらいいんだ」みたいな話にも、ここにどうやって行き着くという問題もある。それは文部科学省に限らず各省庁も、これからホームページ等の多言語化もやっていただきたいと思う。

特定技能 実質9カ国限定の根拠

○井出庸生委員 午前中の質疑でちょっと気になった点を局長に伺いたいが、特定技能の送り出しが想定される9カ国という答弁があった。その9カ国に根拠とか、どこかに明示されたものがあるのかないのか伺いたい。
○佐々木聖子法務省入国管理局長 総合的対応策をつくるときに今の9カ国が特出しされている。
 今回新しく日本語の試験をつくり特定技能の皆様等に受けていただくが、その日本語の試験を当初行う国が9カ国。
 いずれにしても、技能実習生が今多く来ているところ、そして特定技能が多く来るであろう国という理解だ。
○井出庸生委員 外務省にも伺いたいが、特定技能に特化した日本語の能力試験を国際交流基金のほうで検討されている。それも局長からお話があった9カ国で同じだと思うが、どうして試験でその9カ国を選んだのか伺いたい。
○志野光子外務省大臣官房審議官 昨年12月25日の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の決定に基づいて、国際交流基金のほうで選択して行っている。
 この9カ国の選定に当たっては、各分野のニーズ等を踏まえ、平成31年度人材の送り出しが想定される国として、この関係閣僚会議で決定されたものと承知している。
○井出庸生委員 2月19日の朝日新聞で、特定技能の除外をする国について、イランとトルコに資格を与えない方針であるという記事が出ている。その理由は、イランとトルコが強制退去となった自国民の引き取りに対して非協力的であるからだと。最終判断は今月中だと記事には出ている。
 そうすると、トルコとイラン以外の国はチャレンジの権利はあるが、しかし日本語の新試験は実質9カ国と。N4とか従前の試験をくぐるという作戦もあるが、現状イランとトルコ以外はチャレンジの機会があるが、しかし実質は9カ国に限られてしまうのではないか。ここのところはどのように整理したらいいのか。
○佐々木聖子法務省入国管理局長 基本的に我が国にいらっしゃる外国人の方は、国籍で拒否するものではない。
 今回初めて特定技能の在留資格をつくるに当たり、パブリックコメントにかけた原案では、イランとトルコについて、被退去強制者の引き取りをなかなかしていただけないので出入国管理上問題があるということで除外し、そのほかにおいては、どの国から特定技能を目指して来ていただいても構わないというものだ。
○山下貴司法務大臣 補足だが、局長が特定の2カ国に触れたが、まだ最終的には確定していない。そういった前提でということと、特定技能については国籍という要件は実はない。ただ、2国間取り決めにおいて、どこを先に優先して取り決めをやるかということにおいて、9カ国を優先させるということで今進めている。
○井出庸生委員 イランとトルコは最終決定ではなく、ふえることもあると思う。逆に9カ国以外にもこれからニーズも出てくる国もあろうかと思う。スタートラインでは一定のラインを決めるが、その辺は柔軟に対応、変更や見直しをする可能性はあるということか。
○佐々木聖子法務省入国管理局長 今9カ国と協議をしている2国間の覚書文書だが、内容的には、ブローカー情報を交換したり、それぞれの国で起こっていることの情報交換したりというものであり、これはお互いの国にとって、交流上、そして外国人の受け入れ上もいいことであり、この国がふえていくのはいいことだと思う。
 ただ、一遍に全世界というわけにもいかないので、おそらくいらっしゃる方が多いであろう近隣の国々からまず始めるというものだ。

特定技能 小規模外食事業者の対応

○井出庸生委員 次に、外食分野について伺いたい。
 外食分野で外国人を入れるに当たって、所管は農林水産省になっている。当面、受け入れは農水省所管の日本フードサービス協会が中心というか、主に担っていくのか。
○渡邊厚夫農林水産省大臣官房輸出促進審議官 もちろん日本フードサービス協会傘下のメンバー企業は受け入れの対象企業の一つだと思っているが、それに限らず、まさにこの分野別方針に書いているように、日本標準産業分類の中で、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、こちらに該当することで対象になり得ると考えている。
○井出庸生委員 対象は、お店の数でいえば67万事業者ぐらいと聞いているが、大体4分の3は従業員が10名を切っているような、5人以下、9人以下という状況かと思う。
 日本フードサービス協会は、800社と言われているが、売上が1億円なければ会員になれない。協会に入っていれば、おそらく協会は登録支援機関になることができると思うが、5人以下、10人以下のようなところは、おそらく単独雇用も難しい。登録支援機関が必要だが、果たしてそうした5人以下、10人以下の飲食店・食堂等に想定される登録支援機関があるのか。そこが進まなければ、大手のレストランは人不足を補うことができるが、小さいところは人不足を補いたくても実際の手立てがないのではないかと懸念するが、その点についてはいかがか。
○渡邊厚夫農林水産省大臣官房輸出促進審議官 ご指摘のとおり、外国人を受け入れるに当たっては、まさに自社で全て受入機関としての義務を果たす企業もあれば、登録支援機関に委託をすることでその義務を果たしていく、この両方のタイプがあると思う。
 一般的に言えば、規模の小さいところは従業員の数も限られており、自社だけで外国人の支援をすることは難しいので、登録支援機関に委託をするケースが出てくると思う。
○井出庸生委員 外食の人不足のデータは、事業規模別はない。その限りにおいては、小さいところも、小さいから家族だけでやっていけるというよりは、本当は人が欲しいのだけれどもそうせざるを得ないという状況もあると思う。そこは注視していただきたい。

特定技能 試験実施の遅れ 

○井出庸生委員 最後に大臣に伺いたいが、今回の特定技能は原則国外で試験を実施する。各省庁に聞いたところ、原則国外で31年4月から来年4月までに2回以上やるのが望ましいと。しかし、国外で4月にやると言っているのは介護業のみで、ほかの業種は国外は31年の後半に予定しているという回答だった。さらに宿泊と外食は、国外は年度の後半になるが、4月に国内を先行させて東京・大阪等数カ所で試験をすると。
 4月に国外で試験が実施できるのが介護だけという状況で、本当に4月から制度がスタートした後、原則どおりの制度がスタートしていると言えるのか。
 さらに宿泊と外食が国内で先行的に試験を東京・大阪等で実施するということは、ずっと懸念されていた東京と地方の外国人の偏在を助長してしまう形でのスタートになるのではないかと強く懸念している。
 駆け込み、急ぎ足でやってきたのはわかるが、3月13日のこの段に至ってこの状況というのは、やはり準備が整ってないと言わざるを得ないのではないか。
○山下貴司法務大臣 4月に介護・宿泊・外食業が実施する方向でということだが、国内外というところについて、これは確定していない、調整中ということだ。
 ただ、いずれにせよ4月からスタートする制度であり、可能な限り早い段階で、特定技能、外国人を受け入れるための試験の準備を整えていただきたいと考えている。
○井出庸生委員 見切り発車を心配しているのは、日本国多くの事業者、それから外国人ですから、そのあたりしっかりやっていただくようお願いしたい。

(以上)

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