映画『ザ・バットマン』①【ネタバレ感想】陰キャなブルース青年もイイじゃないか 応援したくなったぞ
4月27日よりアマゾン プライムビデオなどで有料配信中の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(ワーナーブラザーズサイトに飛びます)。
そして続編の製作も正式発表されました。バットマンに詳しくないにわかファンな私でも、続編がとても楽しみです。
劇場公開日は2022年3月11日。監督は、『猿の惑星』のリブート版『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のマット・リーヴス(Matt Reeves)が務めています。
マット・リーヴス版『THE BATMAN-ザ・バットマン-』ですが、めっちゃダークです。林田球の漫画『大ダーク』に言葉面(もじづら)は負けないほどダーク。まず、暗いシーンが多ォォイ。ノワールな演出も相まって、通常の上映方式で鑑賞するとハッキリと見えないシーンが何度もおとずれます。
バットマンの声ももちろん低音ボイスで、サウンドトラックもめっちゃ重低音にカッコ良くアレンジされてて、色んな意味でIMAX鑑賞推奨作品です。
物語の舞台ゴッサムシティでは暴力や犯罪が多発し、雨も激しく降りそそぎ、イヤ〜な感じに描かれています。
そんな中、復讐心から悪党を征する青年主人公ブルースはどんな感じかというと、陰気ィイ。主人公の闇が街の闇と一体となって描かれます。それがイイ!!。
それにブルース青年に対してこじらせおじさんな私は、中二病をこじらせたかの様な臭いをプンプン感じました。
今作のバットマンの魅力として、連続殺人事件を推理していく探偵ぶりが見どころのひとつでしたね。肝心のアクションも迫力があります。格闘やガジェット、バットモービルなどの各アクションシーンは、復讐心をたぎらせた暴力的な面もありながらカッコよさもありました。
それではネタバレで感想をつづっていきます。
■ あらすじ/BATというよりBADな青年の成長譚
物語をざっくり言うと、悪がはびこるBADな街で、復讐心から暴力で悪事を征するBATというよりBADな青年の成長譚。
サスペンスあり、アクションありのノワール作品です。
少年の頃、目の前で両親を強盗に殺害されたブルース・ウェインは、犯罪者への復讐を誓いバットマンとなった。
それから2年経ったある日のこと。ゴッサム・シティの権力者が次々と殺される連続殺人事件が発生。
犯人はリドラーと名乗る知能犯。殺人の度になぞなぞを残しバットマンを挑発する。いったい何のために……。
政府の悪事からウェイン家の秘密まで、ブルース・ウェインは犯罪者と自分自身とも向き合って行くこととなる──。
といった感じで、
バットマンとなって2年目の物語なので、ゴードン警部補とはすでに相棒の仲になっています。副業2年目……うん、大変そうだ。
警官達からは不審がられていますが、ゴードン警部補のサポートもあり、連続殺人事件に介入し、なぞなぞを推理するという新たな一面が面白いです。
連続殺人事件を追う中で、キャットウーマンと出会い、協力というか恋愛のような関係になっていく見せ方も良かったです。
■ 登場人物とキャスト/ソフトでも ハードでも 黒いマスクをつけたまま
ブルース・ウェイン(Bruce Waynew)/バットマン:
ロバート・パティンソン(Robert Pattinson)
今作のブルース・ウェインはクリストファー・ノーラン版バットマンと比べると、パリピ感がなイィッ! プレイボーイ感ゼロ。むしろ、中二病、こじらせ臭がプンプンします。
肉体も鍛え抜かれたというよりは、もっとナチュラルな感じ。
そして四六時中復讐心に囚われ病んでいることを表すかの様に、黒いマスクの下の目元までも黒く塗っちゃってます。
生身のソフト時でも、バットスーツを着こんだハード時でも、心は常に黒いマスクをつけたまま……そんなの状態です。
また、探偵的な役どころが、知力・体力・時の運をもって色々むちゃするバットマンに相乗効果を与えていて面白かったです。
というか、もともとDCコミックスでは探偵のキャラクターなんですね。「World's Greatest Detective(世界最高の探偵)」だったとは!
バットマンの創造主のひとりであるビル・フィンガー氏が、1930年代のパルプフィクションやコミックストリップ、新聞に掲載された漫画などのヒーローからインスパイアされて探偵キャラにした、とWikipediaには載っていました。
そんなキャラクターを見事に演じるロバート・パティンソン。イギリス出身の36歳。
私は『TENET テネット』での助演しか思い出せないですが、今作のブルースの様な復讐心に囚われ鬱々した日々を送ってはいても、根は優しい優秀なおぼっちゃまキャラがハマっています。
そんなロバート・パティンソンのバットマンを今後も見ていきたいです。応援します。
セリーナ・カイル(Selina Kyle) / キャットウーマン:
ゾーイ・クラヴィッツ(Zoë Isabella Kravitz)
普段はペンギンが経営する高級ナイトクラブで働きながら、悪党を狙って盗みを働いている。
ゾーイ・クラヴィッツも新しいキャット・ウーマンにハマっていました。
バットマンとロマンティックになるも、どこかサラッとした感じが猫っぽくありバイセクシャル感であったり、その塩梅が良かった。
そして腰の位置が高〜イ。漫画かっ! 機敏なアクションもイイ。
そしてルパンよろしくとんでもないものを盗んでいきました……バットマンの心です……てな感じがオモロイ。
ジェームズ・ゴードン刑事(James Gordon):
ジェフリー・ライト(Jeffrey Wright)
バットマンのバディ役。今作は黒人のゴードン刑事。
露骨な人種差別シーンはなかったと思いますが、表には見えない差別と闘ってきた、もしくは闘っているのではないかと思います。そういう点がバットマンともリンクしていると言えるのではないでしょうか。
そんなバットマンと警察の仲介がめっちゃ大変だけど様になる、タフなオッサン刑事(デカ)を演じるジェフリー・ライトが渋くカッコいい。名脇役。
もう痛い目にはあってほしくないです。
リドラー(The Riddler):
ポール・ダノ(Paul Dano)
知能犯。なぞなぞ、めっちゃうまい奴。いかれたセンスがイイ。
ポール・ダノの怪演は見もので、特に収容所でバットマンと会話するシーン。あれはポールダノの上手いアドリブ演技がはいってんじゃないかと感じました。
ペンギン(The Penguin):
コリン・ファレル(Colin Farrell)
高級ナイトクラブ、アイスバーグ・ラウンジの経営者。経営者なだけあって、バカじゃないし全然ザコキャラじゃなかったですね。タフだし、ドライビングテクニックがたけェ。
この男のおかげで、バットマンがコウモリの様に逆さになって見えるシーンがあり楽しめました。
バットマンにリドラーど勘違いされて痛めつけられていると分かった時は笑えました。
で、演じてるのがコリン・ファレルだと!? 気づきませんでした! どんな特殊メイクよ、コレ。面影ゼロでしょ。リドラーの正体よりもファレルにビックリ。
アルフレッド・ペニーワース(Alfred Pennyworth):
アンディ・サーキス(Andy Serkis)
ブルース・ウェインの執事であり親代わりでもあります。元特殊作戦執行部という経歴の持ち主。
今作ではあまり出演時間は多くない印象ですね。それでも、アルフレッド自身がケガをしながらも、陰謀論に惑わされそうになったブルースを真実へと導く姿が熱くてステキ。
演じたのは、この前『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』を監督したアンディ・サーキスです。
モーションキャプチャでは、あの「やまちゃん、辞めへんで―」の元ネタである『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラムや、『キング・コング』コングを担当していた才人です。
アンディ・サーキスの見た目が、元特殊作戦執行部という雰囲気を感じさせます。
さらに凄いことに、アンディ・サーキスはモーションアクターや監督業だけでなく、2011年ロンドンに特殊映像効果について学べるスタジオ 「The Imaginarium Studios」設立している様です。
カーマイン・ファルコーネ(Carmine Falcone):
ジョン・タトゥーロ(John Turturro)
裏社会のボス。悪そうに見えるだけかと思ってしまいましたが、体制側ともガッツリ悪事でつながっているようでしたね。
バットモービル(Batmobile)
今作のバットモービルも渋くカッコイイ。だからもう、ひとりキャラクターとしてみなしたいです。
荒ぶるバットマンを体現する様なズドズドバリバリという乾き唸る重低音とシャープな車体デザインがめっちゃかっちょェェエ!
トム・クルーズ主演、クリストファー・マッカリ―監督作『アウトロー』でみせたシボレー・シェベルSSを連想させるカッコよさ! ペンギンとのカーチェイスシーンは前のめりになってみてしまいましたよ。
ということで、どのキャラクターも見事に立っていて、ダークな雰囲気にスゴ味と彩(いろど)りを与えていました。ザ・バットマンが面白くなったワケが、魅力的なキャラクターとその演者にあることが実感できる作品ですね。
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