【国試】令和4年度社会福祉士国家試験 ~心理学理論と心理的支援⑦
心理療法について
精神分析療法
オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトが20世紀はじめに創設した、心を分析することで精神疾患を治療する方法です。
フロイトは、「意識」よりも記憶が豊富に蓄積されている「無意識」の働きを重要視していました。
フロイトは無意識を「思い出したくない感情や観念の集まり」のことと捉え、意識と無意識の間を「自我」が調整していると考えました。
フロイトは最終的に、心が以下の3層からなるという「心的装置」と呼ばれる理論に辿りつきました。
フロイトのこれらの考え方は精神医学だけでなく、心理学や社会学など、広い分野に大きな影響を与えています。
エス(Es)
幼児期から抑圧されてきたものが蓄積されている領域。
無意識的で、欲望や原始的な衝動のもととなる。
快を求め、不快を避ける「快感原則」が支配する。
自我(Ego)
エスが生む原始的衝動に現実的な思考をはさみ、実際の行動とのバランスをとる領域。
超自我(Super-Ego)
親のしつけや社会のルールを心のなかに取り入れて形成された、道徳的な良心のこと。
親が子にするように、超自我は自我を監視して制御する。
人間の健康や正常な精神は、外界における現実からのプレッシャーと、エスの強さとのバランスがとれているときに成立しています。
外界で耐えがたい出来事が起こると、自我はその記憶を無意識下へ抑圧することで自分を守ろうとします。
フロイトは、無意識下に抑圧された感情や記憶が神経症などの精神疾患を引き起こすと考えました。
このため自由連想法で無意識の内容を意識に戻し、認めて受け入れることで症状が軽減するケースがあることを発見したのです。
家族療法
家族を一つのシステムとしてとらえます。
家族の一人に生じた症状を個人の問題とはせず、家族が相互に影響しあって生じるものと考え、解決を図ろうとする療法です。
遊戯療法(プレイセラピー)
言語によって自分の考えや感情を十分に表現できないクライエントを対象に、遊びを主な表現、コミュニケーションの手段とする療法です。
最初の提唱者は、児童心理学者のアンナ・フロイト(フロイトの娘)、メラニー・クラインなど1940年代前後から活躍したヨーロッパの学者です。
心理劇
J.L. モレノが考案した一種の集団心理療法。
対人関係から生じる情動的な問題を解決する目的で、患者が参加した劇が行われる。
まず問題場面が設定され、患者が主役となり、それに相手役と観察者が加わって自由に即興的演技が行われる、自発性を図る集団療法です。
系統的脱感作法
1950年代にジョセフ・ウォルピが開発した技法で、恐怖症や不安障害に適用されている技法。 不安や恐怖を喚起する場面、例えば電車に乗ると不安感じるといったことをいくつか挙げて、最も不安を感じる出来事から、弱い物までの階層表を作る。
この個別に作成された不安階層表を基に、リラックスした状態下で、不安の誘発度の最も低い刺激から徐々に刺激が増やされ、段階的に不安を克服していきます。
自律訓練法
1932年にドイツの精神科医シュルツ(Schultz, J. H.)によって体系化されたもの。
不眠、食欲不振、便秘や下痢など様々な症状が現れることがありますが、これは自律神経系の働きが悪くなったために起こります。
自律訓練法は、自己催眠により四肢の重感や温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、意識的にリラックス状態をつくり、心身の状態を緊張から弛緩(しかん)へと切り替え自律神経のバランスを回復させる最も基本的な治療法です。
臨床動作法
言葉ではなく「動作」を主に面接の媒体とすることでによって、心理的な課題の改善を目指します。
例えば、緊張している時、まずは、肩を上げる/下げる、踏みしめて立つといった動作を行います。
そのなかで、自分の緊張状態がわかるようになり、力を抜く動作を行うことで、リラックスできるようになります。
その過程を、セラピストが適切に援助します。
動作法を実施すると、自己存在感や肯定感、安定感や自信をもって取り組める感じなどがしばしば体験されます。
動作法は、ほどよい緊張感をもって日常生活に対応できるように援助する技法であり、幅広い主訴に対応して適用されています。
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