
年収1000万超えのコンサルタントはコンサル業で起業すべきではない3つの理由
「独立しようと思うんだけど、どう思う?」
そう言ってきたのは、年収1,000万超えの大手コンサルファーム勤務の友人。
「いや、それ転職じゃダメなの?」
「むしろ今の会社に留まるって選択肢はない?」
1,000万円をお給料でもらうって本当に凄いことなんだよ。
通帳の残高を見て「億万長者やん!」と勘違いした話
独立したての頃、俺は「勝った」と思った。
通帳に振り込まれる100万円のコンサルフィーを見て、「ヤバい、これって成功者の証やん?」と勘違いしたのだ。
毎月100万円以上の受注。年間1,200万円以上は余裕で超える。
前職ではこんな自由に100万単位の金が入ってくることはなかった。
「これが独立の醍醐味か…!」 「ついに俺も億万長者への階段を登り始めたのか…!」
なんて、浮かれていた。
でも、現実は甘くない。100万円なんて一瞬で消える
独立すると、金の流れが会社員時代とは まったく違うことに気づく。
会社員の頃は、給与明細を見ても「社会保険?なんか引かれてるけどまあいっか」くらいの感覚だった。
だが、起業して1人社長になると 社会保険の重さがダイレクトにのしかかる。
これに加えて、経費もガンガン発生する。
オフィス代:「家でやれば無料じゃん!」→ でもカフェ代が積み上がる
携帯代・Wi-Fi代:「会社が払ってくれてたんだな…(遠い目)」
会計士・税理士費用:「これって自分でやるの無理じゃね?」
結果、100万円の入金は 100万円の自由なお金 ではなかった。
「これ、サラリーマン時代の手取りより少ないじゃん…?」と気づいた時、俺の心に寒風が吹き荒れた。
「会社員って、めっちゃ守られてたんだな…」
独立した俺は、 会社員時代のありがたみ を改めて知ることになる。
会社員は、給料から天引きで社会保険料を払ってくれるし、福利厚生もある。
病気になって働けなくなっても、傷病手当金がある。
年末調整も会社がやってくれるし、税金の計算なんて気にしなくていい。
「これってめっちゃラクじゃね?」
しかも、会社員なら 仕事を取ってこなくても給料が出る。
独立したら、案件が途切れたら即 収入ゼロ。
売上100万円が 「当たり前」 になると、逆に ゼロが怖くなる のだ。
起業1年目、インフルエンザにかかった時、色んな意味で終わったと感じた(笑)こんなことだってたくさん経験してきた。
「うわー、ヤバい!来月仕事ない!どうしよう!」
「営業しなきゃ!でも営業してる間に別の仕事探さないと!」
結局、会社員時代よりもストレスが増え、心の余裕がなくなっていった。
自由になりたくて独立したのに、不自由になってる
皮肉なことに、独立した俺は 会社員の頃よりも働き詰め になった。
「自由に働く!」という夢を掲げたはずが、気づけば 「仕事を取るために働く」 毎日。
「クライアントの機嫌を取らなきゃ…!」
「来月の売上ヤバい!新規案件探さないと…!」
「決算?確定申告…?青色申告…?マジで意味不明…!」
もはや、サラリーマン時代より 労働時間が増えてる。
休みも減ったし、仕事のことばかり考えてしまう。
「これって、本当に俺が求めていた独立なのか?」
そんな疑問が、ふと頭をよぎった。
独立や起業を考えている人には、コンサルタントが多い。 なぜなら、サービスが自分のスキルだけで完結するため、初期投資も少なく始めやすいからだ。
でも、ちょっと待って。 本当に独立でいいのか? いやいや、冷静になって考えてみてほしい。
「独立って、そんなに甘くないぞ?」
特に、年収1000万以上のコンサルが独立を考えるなら、今一度立ち止まるべきだ。 その理由を3つに分けて説明しよう。
その1. コネとツテは消耗品である
独立したばかりの頃は、これまでの人脈や関係者からの仕事で何とかなる。 元の職場のクライアントや、知り合いの紹介で仕事が舞い込むことも多い。
独立した直後の俺も、めちゃくちゃ調子に乗っていた。
なぜなら、 仕事がバンバン舞い込んできたからだ!
「えっ、◯◯さん独立したの? おめでとう! ちょうど相談したい案件あるんだけど…」
こんな感じで、前職のつながりからオイシイ案件がポンポンやってくる。
まるで、実家に帰るたびに親戚からお年玉をもらうような気分だった。
「あれ? 俺、すでに売れっ子コンサルでは?」
「独立って、こんな楽勝なん?」と思っていた。
…3年後、仕事が消える
だが、独立して3年。仕事の流れが急に ピタッ… と止まった。
「…あれ?」
おかしい。去年までは、「コンサルお願いしたいんですけど~!」と連絡が来ていたのに、こちらから連絡をしたり、新しい営業先を作る必要が出てくる。
何が起きたか?
・クライアントのライフサイクルが変わり、コンサルを必要としなくなる
・社内にコンサル的な人材を採用し、外部のコンサルに頼らなくなる
・業績が悪化し、コンサルどころじゃなくなる
・高単価案件(数千万から数億円規模のコンサル案件)は会社の規模や信用もあって受注しにくい(能力とは関係なくね)
つまり、独立後の「コネとツテ」は、徐々にすり減っていくのだ。一方、大手コンサルファームで働いていれば、
・会社のブランド力でクライアント獲得がしやすい
・他のコンサルタントと連携して大きな案件を受注できる
・クライアントの規模が大きく、数千万円〜数億円の案件を獲得できる
個人でこの環境を再現できるだろうか?「俺の名前で仕事が取れる!」と思っていても、いざ独立するとこうなる。
「えっと…今月の案件、どうやって取ろう?」コネとツテは、消耗品なのだ。
これが コンサルの宿命
いくら優秀でも、 クライアントは一生お小遣いをくれる親戚ではない。
「◯◯さんのコンサル、マジで最高です!」とか言ってた会社も、3年後には 「そろそろ自社でできるし、契約終了で」 となる。
え、ちょっと待って? これからどうやって生きていくの?
「独立=自由」は幻想。「独立=無職予備軍」
ここで気づく。「新規の仕事を取らないと、マジでヤバい…!」
だが、新規案件を取るのは 想像の5倍ムズい。
なぜなら、 「大手コンサルファームの◯◯さん」から、「どこの馬の骨か分からん個人コンサル」になっているから。
「この人に頼んでも大丈夫…?」と不安を感じる企業は、 まず大手コンサルに相談する。
結果、「個人コンサル? うーん… もうちょい実績ある人にお願いしよっか」となる。
新規顧客が取れない。
収入が下がる。
焦って安い案件を受ける。
労働時間が増える。
……いや、ちょっと待て。
「独立したら自由になれると思ってたのに、会社員時代よりキツくない?」
気づいたときには、 独立の自由はどこかへ消え、仕事を探し続ける不自由に変わる。
その2. 1000万の役員報酬を得るのに必要な売上を計算してみた
「独立して自由に稼ぐんだ!」そう思っている人ほど、独立後の収支計算が甘い。例えば、独立後のコンサル契約が1社あたり月20万円だとしよう。
毎月5社契約して、20万円 × 5社 = 100万円
年間で1200万円の売上。「やった!年収1000万超えた!」と思うかもしれないが、ちょっと待った。
うん、わかる。その気持ち、めっちゃわかる。
だけど、冷静になろうか。
まず、あなたは “売上”と“年収”の違い をしっかり理解しているだろうか?
売上=そのまま自分の年収、じゃないんだよ。
会社経営ってのは 「売上 ー 経費 = 利益」 で成り立つ。
つまり、売上が1200万円あったとしても、そこから ガッツリ経費が引かれる わけ。たとえば、こんな感じの固定費が発生する。
・オフィス代(レンタルオフィスでも月5万〜10万)
・通信費(携帯・インターネットで月2万)
・交通費(打ち合わせや出張で月3万〜5万)
・交際費(接待や名刺交換会などで月5万〜10万)
・税金(法人税、住民税、社会保険など)
└これがマジでデカいんだ…
ざっくり計算しても、年間で400万〜500万は経費で消える。手元に残るのは700万〜800万程度。
「あれ、会社員時代のほうがよくね?」そう、独立すると経費がかさみ、実質的な手取りが減る。
「それなら単価を上げればいい!」と思うかもしれないが、 単価50万円の案件を獲得するのはそう簡単ではない。
ましてや、大手のブランドがない個人コンサルに、 そんな高額な案件が舞い込むことは少ない。
大手の看板があるからこそ 「コンサル1000万」 の世界があるのであって、個人になった瞬間、 「え?君誰?」状態 になるわけよ。
結果、 「単価50万の案件を取る」どころか、20万の案件すら継続確保が難しい 現実に直面する。
結局、「独立=自由に稼げる」ではないのだ。
あくまで俺の経験や印象になるが、個人事業主で年収1,000万の役員報酬にするなら2,000万は売上がないと結構怖い。
2,500万売上たら年収1,000万超えにしようかな?くらいのハードルだ。
それくらい思っている以上に現金がなくなるし、現金がなくなる恐怖があることは伝えておく。
その3. コンサル業はスケールしにくい
会社を成長させるには、「スケールする仕組み」が必要。
しかし、コンサル業は基本的に「労働集約型ビジネス」。
1社に対応する時間が長くなればなるほど、新規案件を取る余裕がなくなる。
「案件増やしたいなら、人を雇えば?」
と思うかもしれないが、人を雇うと以下の問題が発生する。
・育成に時間がかかる
・固定費が増える(給料を払わないといけない)
・自分のノウハウを完全に任せられる人が少ない
結局、独立したコンサルは「自分の時間」を切り売りするビジネスになりやすい。
その結果、「結局、自分が働き続けないと回らない…」
という状態になってしまう。
大手コンサルファームなら、
・チームで仕事を分担できる
・プロジェクト単位で案件を受注できる
・自分がいなくても回る仕組みがある
この違いは大きい。
「独立したら自由になる」と思っているなら、それは幻想だ。
年収1000万超えてるなら、独立よりも「転職」を考えるべき
「独立して自由になりたい!」
「自分の力で勝負したい!」
その気持ちはわかる。だが、 「年収1000万超えのコンサル」ほど独立のリスクは高い。
最初は仕事があるが、3年後にはなくなる
大手時代のスケール感を維持できず、売上が激減する
独立する理由がふわっとしていると、転職の方が賢い選択になる
だからこそ、もう一度考えてほしい。
「なぜ独立なのか?」
「転職ではダメなのか?」
冷静に考えた結果、それでも 「独立しかない!」 と思えたら、その時こそ覚悟を決めるべきだ。
さあ冒険へ出かけよう!
だが、もし 「転職でもいいかも?」 と思えたなら、それが 正解 かもしれない。
なんなら今のところに残ろうかな?と再度考えることも大切だ。
それくらい年収1,000万を会社員がもらうって凄いことだし、会社もそれくらい期待をしているということがわかるだろう。
起業する事は簡単でも、続ける事はとても難しいとまさに8期目を前に感じている。
それでもやるなら、応戦するぞ!
いいなと思ったら応援しよう!
