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詩 『夢と朝と珈琲』
遮光カーテンから這い出る朝の陽が
家具たちの輪郭を薄っすらと描いていた
珈琲の香りとケトルの湯気が漂う部屋には
白く繊細な花の寝息だけが聞こえている
眠りを妨げないようそっと淹れた珈琲を口に運んで
見た夢の続きに思いを馳せる。
濃緑の山々を照らす陽光の中に広がる楽園
赤い果実の鮮やかな香りが細胞の集合体を創る間隙を埋めていく
熱帯の水分を含んだあたたかな軟風が囁いていた
悠遠の潮騒を嗅ぎながら 滴の虹を手のひらにのせて
大地に臥せた 逆さの海
鳶の泳ぐ真円を
茶褐色の瞳孔に写して――
。波打つ 烟。
――揮発するささやき。
読みかけの本 コーヒーノキ。
黄金色の門の前に立つわたし
震える手を伸ばす
その背後で、
耳打つ声に――
引き寄せられて
。振り返る
小さな部屋の
白い花が 朝陽の中に佇んでいた
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