北陸道2 能生宿→親不知宿
新潟県から滋賀県まで北陸を縦断する道は、北陸道・北国街道・加賀街道、様々な呼び方があります。
2024年夏の歩き納めは、日本海側の文化を感じながら、猛暑・台風・心身、三つ巴の戦いをしながら北陸道を南下します。
極限状態の真夏日の、歩き方ノウハウが散りばめられた記録をお楽しみください。
2024.08.19
1.能生宿
今回お世話になった宿泊施設、なかため旅館は桝形の角に建っています。
桝形とはクランク状にジグザグに曲がった道。敵が攻めてくる速さを緩めたり、街全体が見渡せない様にする機能があり、街道歩きのクライマックスのひとつ。
枡形の角に宿泊施設が建っているだけでテンションが高まります。
今までの街道歩きで、桝形の角に建っていた宿泊施設に泊まった経験は一回で、そこは西国街道明石宿のホテルでした。
この時は真夏日に歩きクタクタでしたが、部屋からの桝形夜景をみて元気になり、明石焼きを食べに街に繰り出しました。
西国街道明石宿を歩いた時の記録はこちら↓
ENEOS。
街道と近代の道路に欠かせないインフラであるガソリンスタンド。
その中でも国内シェア半数近くの15,000店を有するENEOSのガソリンスタンドを撮影し続けています。
オレンジのマークがどのような風景にも不思議とマッチするのですが、上の画像が今までで一番美しく撮れた一枚です。
2.木浦宿
翡翠が取れそうな海岸です。
2年前の夏に家族旅行で糸魚川の翡翠海岸に行きました。
雨の中家族で必死になって光っていた石を翡翠と信じて広い続け、帰宅した翌朝乾いた姿を見ると、それはただの石。
欲張って後でひどい目に合うお伽話のようでした。
太陽が昇ってきてしまいました。急に暑くなります。
西性寺 本日の言葉。
蝉は春秋を知らない
だから今が夏だと知らない
この言葉は重く、人が人を見る時も、自分の物差しで見てはいけないと、伝えていると私は受け止めました。
鬼が舞って、鬼が伏せる、どんな由来があるのでしょうか。調べてみると出雲神話の大国主命との戦いであったり諸説あります。
鬼伝説はみんな好きなのですね。
鬼伝説といえば桃太郎。
桃太郎伝説は岡山が舞台かと思っていたら、3年前に甲州道中の大月市内を歩いていた時に、桃太郎伝説の看板に出くわしました。
話の流れとしては、大月宿にある岩殿山に住む悪い鬼の退治に出かける勇敢な桃太郎がいました。
甲州道中の犬目宿でイヌを、鳥沢宿でキジを、猿橋宿でサルを弟子にして桃太郎軍団を結成し、鬼との激闘の末勝利する話。
大月市以外にも、愛知県の犬山にも伝説があるそうです。
甲州道中桃太郎伝説の地を歩いた時の記録はこちら↓
この地名はジオパークの険しい地形と連動していそうです。
糸魚川の街が見えてきました。
前職の同僚が糸魚川の神社に嫁ぎ、自然豊かな地域で、一歳の娘さんを育てながら働いてます。
今日、お宮にお参りに行くと連絡をすると、朝9時の新幹線でちょうど出かけるらしく、間に合ったら会うことに。
ただいまの時刻は、午前6時22分。
海の向こうに見える糸魚川の街は近いのか遠いのか、ちょっと頑張って急ぎ足で向かってみます。
昨日は、日曜日でサイクリストと多くすれ違いましたが今日は月曜日。
朝の出勤前のサイクリングを楽しんでるような人々とすれ違いました。
贅沢な朝の運動ですね。
富山まで89kmの標識。
今日を含めて3日で富山に到着して仕事に戻る予定。何事もなく行けることを祈ります。
能登瓦。
新潟県の日本海側に入ると、黒く光る能登瓦の家屋が増えてきます。
只今の時刻07:12。
結構な暑さなので早くも冷凍ペットボトルを購入。
この冷凍ペットボトルは優れもので、真夏日の街道歩きの時は、静脈などにあてて歩く事で、冷めた血液が身体中を駆け巡り、体の中心部の深部体温を下げる事ができます。
ちなみに、心臓から出た血液は、体内を約30秒で一周するそうです。
3.梶屋敷宿
街道をふり返ると、自分がこんな道を歩いてきたのかと、当たり前かもしれませんが、気づかされます。
上の画像、振り返ると山が壁のように見えます。この道を逆の方向から歩いた旅人たちは、この山を見て不安に駆られたと思います。
いつの間にか、能登瓦の家だらけになってきました。街道を歩きながら建物をよく見ていると、その地域の風習や大工さんの趣味などが垣間見られ、飽きることがありません。
この付近は、こげ茶色の木の壁の家が多く立ち並んでいます。
2年前の夏、群馬から新潟に向かって三国街道を歩いていた時のことです。
日本海に近づいた燕市の中島集落の家々が茶色い木壁になり、これが日本海沿岸の家のスタンダードなのかなと思って見てました。
雪が多いからか、窓の数の少なさに驚きました。
三国街道で木壁の家々の道を歩いた時の記録はこちら↓
※この日は地図の計測を間違えたうえに、足にマメが出来た状態で46kmも歩いた街道歩きの中で一番悲惨な日でした。
4.天津神社・奴奈川神社
一印かまぼこ屋のかまぼこメンチ。
糸魚川のB級グルメの様です。想像がつきそうでつかない味。
残念ながら開店前、次に来た時の楽しみが増えました。
おまんた祭。
糸魚川市に夏の訪れを告げる市⺠祭り。"おまんた"とは糸魚川の言葉で"あなたたち"、みんなが主役の祭といった意味が込められています。
天津神社(あまつ)神社・奴奈川(ぬながわ)神社。
茅葺の見事な拝殿に驚きました。
拝殿は二つの神社が一緒になっており、その後方にはそれぞれの本殿が別々にある珍しい造り。
二年に一度の春の大祭は、けんか祭としても有名。
広い境内で豊漁豊作を願って神輿をぶつけ合った後に、上の画像の石垣舞台上が綺麗に装飾され、舞楽が奉納されます。
天津神社に嫁いだ前職の同僚を表敬訪問。当時は新入社員でしたが、今は赤ちゃんを授かって、素敵なお母さんになってました。
お土産に頂いたお守りをカバンにつけて歩きます。ありがとうございました。
5.糸魚川宿
奴奈川姫。
出雲の大国主命(おおくにぬしのみこと)が惚れ込んで結婚したと古事記に記されています。
大国主命は各地に恋愛伝説が残されている事から、出雲大社は縁結びの神となっています。
相馬御風。
糸魚川出身の文人。早稲田大学校歌・都の西北、童謡・春よこい、など数多くの名曲を作詞しています。
今歩いてきた付近は、2016年の糸魚川市大規模火災の被災地域。趣があった雁木の相当数が燃えてしまったと思われます。
塩街道の案内看板がありました。
見に行かないわけにはいきません。北前船が糸魚川の港について、ここから塩を松本まで運んだそうです。
全長約120km、歩いてみたくなってきました。
第一生命ビル。
昭和風の生命保険支社の小さな建物、なかなかお目にかかることができません。
日限地蔵。
日にちを決めて祈願すると願いが叶う地蔵菩薩。こういう習慣があると何かと楽になりそうです。
姫川港と巨大なセメント工場に、街道が遮られていました。
6.姫川
本日の昼食会場。
このお店を逃すと12kmほどお店は何もありません。そのせいか11時半ごろから大盛況、ゆっくりしたかったところですがそそくさと退場。
この先はコンビニも飲食店も何もないエリアなので、凍らした水とアクエリアス合計2本を購入。
アクエリアスはTシャツに包んでカバンにしまいます。
7.青海宿
青海宿本陣跡。
北陸道を歩き始めて、本陣跡の石碑があったのは初めてかもしれません。
勝山大雪崩遭難碑。
1922年の大雪崩災害、92名の尊い命が失われています。
国道から海岸まで行く階段があったので、それを利用して海岸まで降っと思われる人が翡翠をとってます。
ほぼ歩行者が歩くスペースがありません。
交通量が多かったら歩くのが本当にしんどい場所ですが、高速道路のおかげで歩きやすくなってます。
8.小不知宿
ほんとにきれいな海です。
翡翠がジャラジャラしていそう。
海の上を歩いているような感覚です。
建設当時は山の中にトンネルを掘ることよりも、海の上に道を作る方が、技術的にはやりやすかったのでしょうか。
ところどころ歩道がほとんどない区間がある恐怖の洞門歩き、中盤に差し掛かった頃、工事現場が現れました。
片側交互通行のため警備員がついています。
歩行者対応は、警備員が連れ添って歩くようで、区間ごとの担当者がバトンリレーのように私をつないで3人がかりで工事現場の終点まで誘導、命拾いした気分です。
最後に、お気をつけて歩いてください!と励ましの言葉嬉しかったです、ありがとうございました。
9.外波宿
ただいまの時刻は15:10。
12:30にセブンイレブンで冷凍ペットボトルの水とアクエリアスを購入。
水は氷嚢がわりに体を冷やしながら歩いて、約1時間位で溶けてました。
アクエリアスはTシャツに包んでカバンの中に入れて持ち歩くこと2時間40分、Tシャツをほどくとまだ9割が凍っており霜が貼ってました。
真夏日でコンビニエンスストアがない地域を歩くときには、この作戦は使えます。
北陸道と並走する日本海ひすいラインは、2両編成の短い電車しか見たことがありませんが、親不知駅のホームは長いままです。
北陸新幹線が開通する前に、多くの特急列車などが行き交っていた頃に歩いてみたかったと思いました。
上の画像右から、旧北陸道、旧北陸本線、国道18号、北陸自動車道。この付近はは交通の要衝ですね。
右の山の中には北陸新幹線のトンネルがあります。
石の相談承ります。
上の画像のベンチに座っている方に、ひすいは何処から流れてくるのか聞いてみました。
回答は、先ほど糸魚川宿を過ぎた時に渡った姫川から日本海に流れつき、その後は海流に乗って、姫川の南側の沿岸に翡翠は流れつくそうです。
時間がないので、翡翠探しは断念し宿に向かいます。
上の画像の中央左に見える建物が、本日お世話になる宿泊施設。
よくこんなところに建てたと思う一方で、この後そこまで歩いて行く道のりが不安です。
田原酒造 雪鶴。
今朝糸魚川宿で見かけた酒蔵のお酒。
街道沿いで見かけた酒蔵のお酒が出てくると、幸せな気分になりますね。
明日は富山県に入ります。