長崎街道6 佐賀宿→塚崎宿
2023年9月、西国街道を歩き終えた夜の下関で関門海峡を眺めていると、長崎街道の起点 門司の灯りが間近に見えます。なんだ、近いじゃないか長崎街道!
憧れの長崎街道、鎖国の頃に異国文化を運び、シュガーロードもと呼ばれた、文化交易の大動脈。北九州から長崎を目指します。
2023.12.28
1.佐賀宿
有明の月。
明け方に見える月を、夜が”明”けても空に”有”るので、”有明の月”と呼びます。有明海に面した佐賀県で眺める”有明の月”、何だか朝から得した気分。
ちなみに、昨日12/27の夜は満月でした。
2023年は一年間で13回満月を拝める当たり年。1/11までに満月が昇る年は、満月が年13回楽しめます。
さぁ街道に入りました。
朝6時までやっているうどん屋さんを目指し05:40頃到着しましたが、残念片付けに入ってました。
温まる事を想定していたので、身も心も寒い寒い・・・・
佐賀市内は恵比寿様の数日本一、830体以上あるといわれてます。
町名表示に旧町名と記してある珍しいケースです。
地名に対する拘りが強いのでしょうね、とても共感できます。
私は、故郷である茨城県猿島郡総和町が今から18年前の2005年に、合併で名称が隣の古河市になってしまったのがとても悲しくて、今故郷はどこですかと聞かれたとき、古河市と言うのに若干の抵抗を感じます。
2.肥前鳥居
肥前鳥居。
街道を歩きながら1,000以上の鳥居を目にしてきましたが、肥前鳥居が一番個性的、この先も何回拝められるか、とても楽しみです。
只今の時刻は06:36、歩き始めてちょうど1時間経ちますが、まだ佐賀城下にいます。広いですね。
3.のこぎり型通路
枝梅酒造。
九州のお酒というと焼酎の印象が強いのですが、佐賀県は日本酒の印象が強いです。
背景として、佐賀藩藩主が財政立て直しのために、酒造りを奨励されたからと言われてます。佐賀平野の良質な米と、脊振・太良・天山山系の良質な水、生産にも恵まれた環境が整っていた事も大きく影響していると思われます。
のこぎり型家並み。
今歩いて来た付近は、斜めに走る道に新たに屋敷が建てられ、道路と屋敷地の間に直角三角形の余地が発生し、道がギザギザしたのこぎり型に見えるたため、この様に呼ばれています。
ようやく明るくなってきました。
4.高橋
若宮神社。
社殿が残っておらず、鳥居と思われる残骸の一部が奥に積まれていました。
社殿が無くとも、鳥居には正月飾りの様な装飾が施されていましたので、地域では大切に祀られているのでしょうね。
歩き始めて2時間超、ようやく朝食にありつけました。
店内では食べる場所がないので寒空の下で朝食。長崎県新上五島町の特産品、五島手延うどんが五臓六腑に沁みわたりました。
5.バルーンがある風景
バルーン。
佐賀市周辺は、平野をはじめとした恵まれた自然環境が整っているため、バルーン文化が盛んです。
上の画像の河川敷付近が離着陸場、近くを通るJR唐津線の駅名は、バルーン佐賀です。
バルーンのフライト時間は、雨・霧が無く風が穏やかな、日の出から3時間又は日没前2時間くらいの時間帯。
運良く条件が三拍子整っていました。
11月に行われる佐賀バルーンフェスタ。
世界各国から100機を超える熱気球が参加するアジア最大級の熱気球の国際大会で、世界選手権を誘致した2016年は186機が参加し、131万人の観客を動員しています。
バルーンは遊覧・競技会以内にも面白い楽しみ方があります。
ラ・モンゴルフィエ・ノクチューンという11月に居行われる、夜に係留したバルーンにライトアップする、バルーン版イルミネーション。
日本で他に例をみない、ONLYONEのイベントですね。
黄色い女の子が交差点に立っています。背中のランドセルには、横断用の旗が入るようになっていて機能的。
気になりますね。
リョウセイ電器。
バルーンのオーナーだと思われます。
6.牛津宿
又もや黄色い女の子が登場。
この先どこまでいるのか楽しみです。
カルチャー焼。
大判焼きの中身が、から揚げ・明太子・餃子などなどの総菜系の牛津B級グルメ。立ち寄るか迷いましたが我慢。
甲子園饅頭。
ここは入らないと一生後悔しそうなので入ってみます。
美味しい!
小さくてぺろりと入ってしまいました。
食べるか悩んだメニューがありましたので、再び店に引き返して、
大満足のおやつタイムでした。
双代寄棟屋根の家。
佐賀県に入り何度か目にした、寄棟屋根が二つ並んでコの字型に繋がっている家。上の画像は二棟の寄棟屋根の家が並んでいる様に見えますが、実は反対側でつながっており、上から見るとコの字型をしています。
双代寄棟屋根の家が又ありました。
こちらの家の方が、二棟がつながっている様子がわかりやすいです。
牛津川の堤防から、昨日知り合った野宿しながら長崎街道を歩いている二十歳の街道冒険家に連絡をとりました。
昨夜佐賀で飲んでいた時に、命を守るレインコートを店に忘れた可能性があり、見なかったかと確認したところ、店で広げていたとの事。
あぁ良かった、帰りに店に取りに行く事にして一安心。
今どこにいるのか聞くと、つい先ほど通過した乙宮社で休憩しているそうで、こんなに近くを歩いていても、同じ方向に向かっていると、なかなか遭遇しないものだと実感しました。
長崎まで100㎞を切りました。
長距離の街道歩きも、100㎞を切るとあとは惰性で歩ききれます。この道路表示を見た瞬間、惰性が背中を押し始めました。
"宿場ようかん"と店の暖簾に書いてあります。
2枚上の画像が店の前の風景、何も無い住宅地の中に、御伽噺の如く突然お店が現れます。
今日は自宅に帰る日なので、お土産にはベスト、迷わずお店に入ります。
ご近所の方と店員さんの、ほのぼのとした年末の会話が終わるのを待ち購入。
羊羹といえば、羊羹文化が盛んな日光の人は、お正月に水羊羹を食べる習慣があるそうです。
羊羹の種類は違いますが、我が家のお節料理で、甘味が集まる"三の重"に入れてみる事に。
お節料理にぴったりです!
ジャリっとした固まった砂糖の歯応えは、お節料理の中には無い、新鮮な食感でした。
里山風景。
街道を歩いていると、人の営みを感じる様々な風景に出会えます。
私が一番好きなのは、里山の風景。私が子どもの頃育った茨城県の故郷の情景に似ているからかもしれません。見るとホッとします。
朝鍋宿。
街道を歩いていて、バス停には地図には無い地名が時々現れます。
その地名には絶対に意味があるので、それを想像するのも、街道歩きの楽しみのひとつ。
朝鍋も地名にはありませんが、宿場だったのかもしれません。
黄色い女の子が元気よく手をあげてます。この先どこまで登場し続けるのか楽しみです。
7.小田宿
小田宿は佐賀県の中央部にあり、佐賀県のヘソと呼ばれていたそうです。
茶屋岩見屋跡の池園。
池園とは聞きなれない言葉ですが、池のある庭のことだと思われます。
県内にある16の池園の中で一番古く、扇状地の伏流水を利用して、江戸初期に作庭されています。
2枚上の画像の屋敷の奥に池園があるとは思えず、Googleマップの航空写真を見ると、中央に島がある見事な池がありました。
江戸時代から今まで、池に伏流水が湧き続けている、凄いことですね。
8.大町
街道歩きの昼食は、醤油ラーメンの"定線観測"を2年半くらい続けています。
定線観測とは、街道を歩く線上でテーマを定めて観測すること。
今回歩いていると長崎街道で、食事や街道遺構や神社以外で行っている定点観測は次の9つ。
食事に関する定線観測では、昼に醤油ラーメンを2年以上食べ続けています。
その理由は3つ。
2年以上醤油ラーメンの定線観測を続けてきましたが、今年の夏に歩いた西国街道で、山口県内に入った頃から限界を感じ始めます。
九州が近づき、醤油ラーメン系の文化圏から豚骨ラーメン系の文化圏に移っていたからです。
上の画像、山口県周南市の毘沙門でラーメンをオーダーすると、豚骨ラーメンが出てきます、ラーメン=醤油ラーメンでは無いのです。
上の画像、山間部を歩くためそもそも飲食店が殆どない地域だったのですが、山口県宇部市のおがわ食堂、麺類は長崎ちゃんぽんのみでした。
長崎街道沿道の文化が西国街道の山口県にまで、到達している証ですね。
この食文化の変化を、時速4kmで歩きながら感じられるのも、街道歩きの醍醐味です。
9.北方宿
街道を歩いていると、豪雨時の浸水水位を示す表示を時々目にします。
毎度驚くのは、どうやったらこんなに高いところまで水が来るのか、想像がつきません。
ちなみに、有明海は潮の満ち引きで8mも水位が変わるため、川が逆流する事があり、こうなったのだと思われます。
北方宿には江戸時代から炭鉱があり、昭和まで続き、西杵炭鉱という炭鉱が1972年に閉山されてます。
国道498号、大きな数字の国道を少し歩きました。
一番数字の大きな国道は、沖縄県糸満市と那覇市を結ぶ国道507号。
なので、歩いていた国道498号は日本で10番目に大きな数字の国道となります。
沖縄に住んでいた頃に国道507号を仲間と歩いた時の記録↓
歩いた仲間の二人(左端と中央後方)と私は当時単身赴任中に、三人で一緒に沖縄の大動脈国道58号を歩きました。
そして三人は、内地に戻り、各々でライフワークとして街道歩きをやってます…
10.塚崎宿
双体寄棟屋根の家。
佐賀県でよく目にした、寄棟屋根の家が二つつながった造り、ご当地特有の建築様式です。
武雄のシンボル 御船山、どこまでも広がる美しい麦畑、季節を先取りした菜の花、優しい夕陽につつまれた武雄の里山風景に癒されているうちに、いつの間にか塚崎宿に入ってきました。
本日はここまでで埼玉に戻り、次回は年明けに九州に帰ってきます。
右:天山酒造"天山" 佐賀県小城市
左:天吹酒造"天吹" 佐賀県みやき町
これで2023年の街道は歩き納め。
一年間を数値化すると、
来年も宜しくお願いします。
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