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街道歩き温故知新5 三国街道 摂田屋

街道歩きは前に進む事で精一杯。寄り道できず、又来ようと心に誓った場所は数知れず。そんな場所を訪れるシリーズ、街道歩き温故知新。

今回は三国街道長岡宿から北に一里の場所にある摂田屋地区。
酒蔵・味噌蔵などが6件も残っている醸造の街。前回歩いた時は足のマメが潰れたうえに時間も無くゆったり巡れなかったので、お酒を嗜みながらの散策を満喫します。


2024.11.13

1.ブレジャー

(2024.11.12 佐渡市相川)

ブレジャー(Buleisure)という言葉、ご存知でしょうか?
ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を組み合わせた造語で、出張業務終了後に、滞在を延長して余暇を楽しむことです。

今回は佐渡島に出張があり、その翌日に"街道歩き温故知新"を満喫しました。

(2024.11.12 佐渡市相川)

佐渡島の出張は、伝統芸能の関係者にお会いしたり建物を調べたりに必死で、美しい風景の写真を撮り忘れていました。上の画像が仕事用に撮影した建物の写真になります。

かつて佐渡島には佐渡金山から小木港を経て、江戸に向かう金を運ぶ道、佐渡相川街道がありました。
今年の3月にその道を歩いた時は、野生の朱鷺を目にする事ができました。
あの時の感動は、一生忘れることがないでしょう。

(2024.03.29 佐渡相川街道)
朱鷺

佐渡相川街道は、朱鷺だけでなく佐渡の多くの魅力がぎっしりと詰まっています。

(2024.03.29 佐渡相川街道)
能舞台
(2024.03.29 佐渡相川街道)
魔除けの巨大草鞋
(2024.03.29 佐渡相川街道)
小木港の街並み
(2024.03.29 佐渡相川街道)
水仙

佐渡相川街道を歩いた時の記録はこちら↓


(2024.11.12 新潟市西堀)

新潟市に戻るのが遅くなる可能性があったので新潟市内に宿泊。
10年位前に行ったことがあるおでん屋さんに訪問、先代の女将から娘さんに世代が変わってました。
変わらずのおいしい味です。

ドカベンの岩鬼
古町通り

おそらく、上の画像の古町通りが、北陸道や北国街道につながる道、いつか歩くことになるのでしょう。

二軒目
朝日山

やはり新潟といえば日本酒。
今夜はおでんから始まり、締めのラーメンのお供まで全て日本酒。
たまたま置いてあった酒がお気に入りの麒麟山・鶴齢・朝日山、大満足のひとときでした。

本日の朝食

朝食は新潟の名産品が並ぶバイキングをいただき、本日の目的地長岡市摂津屋に向かいます。


2.萬代橋

萬代橋 北詰

新潟市を象徴する場所と言えば萬代橋。
落ち着いた佇まいが美しいです。

信濃川 上流

信濃川。
信濃の国から流れてくるから信濃川。なのに長野県内では千曲川。その名の通りくねくね曲がっています。
中山道・北国街道・三国街道では渡ったり並走したり、上流から下流までの、千曲川・信濃川を紹介します。

(2021.05.16 中山道 塩名田宿)
千曲川 中津橋
(2022.08.25 北国街道 海野宿)
千曲川
(2022.09.22 三国街道 小千谷市)
信濃川
(2022.09.23 三国街道 長岡市)
信濃川 蔵王橋

往時は旅人を困らせた川だったと思われます。私も三国街道の最終日、旧街道が
何箇所も信濃川に寸断されており、35kmの歩程がかなり遠回りをする事になり、48kmも歩く羽目になりました。
その時の旅の記録はこちら↓


萬代橋 南詰
初代萬代橋跡
流作場五差路 説明看板

萬代橋南詰から少し歩いた場所に、初代萬代橋の跡地があります。
説明看板によると、現在の萬代橋の長さは307mに対し初代は782m、なんと2.5倍の長さがあったそうです。
現在は長岡市内から日本海に注ぐ放水路が完成したお陰で洪水が減り、川幅が狭くなっています。
建築技術は凄いですね。

バスだらけ
信越本線

時間があるので新潟駅からは信越本線で本日の目的地、長岡市摂津屋の最寄駅の宮内駅を目指します。


3.雁木

宮内駅
青島食堂

生姜醤油の長岡ラーメン発祥の店。
先ほど同じ電車から降りたスーツケースを引いたサラリーマンが一目散に、青
島食堂の行列に並んでました。
どう見ても、このラーメンを食べにわざわざ来てる感じです。

雁木

雁木(がんぎ)。
雪国特有の家の前に、せり出した、雪よけの屋根。

雁木
雁木

雁木は上越地域が発祥と言われています。
北国街道の高田宿には総延長16kmの、日本一の雁木がありました。

北国街道高田宿を歩いた日が雨でしたが、雁木のおかげで20~30分は濡れずにに歩けました。

(2022.08.15 北国街道 高田宿)
(2022.08.15 北国街道 高田宿)
(2022.08.15 北国街道 高田宿)
(2022.08.15 北国街道 高田宿)

日本一の長さを誇る、高田宿の雁木通りを歩いた時の記録はこちら↓


4.摂田屋

街道の風景

摂田屋地区に入りました。
6つの醸造所があり、今日はゆっくりと巡っていくことにします。
その前に、前回訪問した時に道を間違えて歩けなかった区間を歩きます。

街道の風景
ツアー団体が歩いてきます
酒造メーカー吉乃川の敷地
天下甘露泉
天下甘露泉 説明看板

天下甘露泉。
良質な伏流水が湧き出してくるそうです。おいしい日本酒が作れるわけですね。

西国街道を歩いていた際に、日本一の酒処である兵庫県の灘五郷の中心、西宮郷の一角に宮水と呼ばれる、六甲山の伏流水が湧き出る井戸水がありました。
灘五郷とは西から、今津郷・西宮郷・魚崎郷・御影郷・西郷が、西宮市から神戸市までの沿岸部に点在しています。

(2023.07.16 西国街道西宮宿)

宮水の呼び名の由来は、西宮の水だそうです。

(2023.07.16 西国街道西宮宿)
(2023.07.16 西国街道西宮宿)

周りは高速道路や向上が立ち並ぶ、一見埋立地の様な雰囲気の場所。
井戸と言われても本当なのかと思ってしまう様な所が、違った意味での魅力でもあります。

(2023.07.16 西国街道西宮宿)
(2023.07.16 西国街道西宮宿)

実際に沢の鶴の、宮水井戸がありました。
酒造所を目にすると、井戸は本当なんだなぁと、実感が湧いてきます。

灘五号を歩いた時の記録はこちら↓


道標
吉乃川 酒造所

三国街道は、吉乃川の醸造所の間を通っています。

江口だんご

江口だんご。
明治創業の長岡市民のソウルフード、酒蔵巡りの帰りに、胃袋に余裕があったら立ち寄ります。


5.機邦サフラン

吉澤邸

吉澤邸。
機那サフラン酒というリキュールを造った、初代吉澤仁太郎が築いた豪邸。
特に鏝絵(こてえ)が描かれた土蔵が有名です。

機那サフラン酒 説明看板
機那サフラン酒 説明看板

機那サフラン酒。
サフラン・桂皮・丁子などの植物で調整したリキュール。アルコール度数が15度あり味は甘めです。

工事中の土蔵

吉澤邸の中は、週末に公開されており、残念ながら見学できません。

初代吉澤仁太郎について
鏝絵(東面)
鏝絵(東面)
鏝絵について

鏝絵(こてえ)。
鏝絵とは家の土蔵・妻壁・戸袋などの漆喰を鏝を使って立体的に盛り上げ、彩色された浮き彫り細工。
左官職人の高度な技術がないとできません。

鏝絵(北面)
鏝絵
鏝絵説明看板
鏝絵説明看板(北面)
鏝絵説明看板(南面)

街道を歩いていると、鏝絵を目にする事が時々ありますが、ここまで立派な鏝絵は見た事がありません。

鏝絵といえば、北陸道の富山県射水市にある小杉宿が、鏝絵の名工 竹内源造の故郷で、竹内源造記念館や街中で鏝絵を見る事ができました。

(2024.08.25 北陸道 小杉宿)
(2024.08.25 北陸道 小杉宿)
(2024.08.25 北陸道 小杉宿)
(2024.08.25 北陸道 小杉宿)
(2024.08.25 北陸道 小杉宿)

鏝絵名工の竹内源造の故郷、北陸道小杉宿を歩いた時の記録はこちら↓


一号蔵
一号蔵 説明看板
米倉
米倉の鬼瓦
米倉のシャチホコ
米蔵のシャチホコと鬼瓦

米蔵の中で、飲食が出来るようになってます。

米蔵内部
機那サフラン
味噌汁

暖かいカボチャの味噌汁をつまみに、機那サフランを頂きました。甘くて養命酒の様な味です。


6.吉乃川

吉乃川 株式会社
吉乃川酒ミュージアム醸蔵 全景
吉乃川酒ミュージアム醸蔵 入口

吉乃川酒ミュージアム醸蔵(じょうくら)。
建物は酒の瓶詰作業が行われていた、築約100年となる、国登録有形文化財の倉庫「常倉(じょうぐら)」を改装したもの。
吉乃川の歴史が展示されています。

醸蔵内部
吉乃川大凧
大凧 説明看板
販売店の看板
沿革

京都清水寺との関係が深く、吉乃川主力商品の、極上吉乃川の題寺は、今年の漢字でも有名な、森清範貫主による揮毫(きごう)です。

長岡花火

日本一正三尺玉。
長岡花火では一番大きな三尺玉を協賛しています。

試飲コーナー

敷地の半分が展示コーナー、残りの半分が売店と試飲コーナーになってます。

悩む自販機

こちらが入口にある自販機。
やはり試飲コーナーは有料が良いです。本当に飲みたい人が本当に飲みたい量を嗜む、メニューの豊富さにどれを選んで良いか思考停止になり、自販機の前で固まっていると、案内の方が丁寧に説明してくださりました。

名誉杜氏 鷲頭昇一

名誉杜氏 鷲頭昇一。
1961年に製麹工程の機械化、その後も酒造業界の発展、後進指導などの功績が認められ、1983年に黄綬褒章を受章します。

越 淡麗 吟醸 鷲頭

越淡麗 吟醸 鷲頭。
晩年の鷲巣昇一が、山田錦に負けない新潟の酒米を造る事を目指し、新潟県酒造組合らと共同で開発した酒米品種が"越淡麗"。
越淡麗は、新潟県の酒米の主力品種となっています。

昌和蔵
昌和蔵 同封説明書
昌和蔵 木箱

昌和蔵。
毎年ブレンドの割合が変わる、年に一度数量限定で蔵出しをする、吉乃川最高峰の純米大吟醸酒。
商品には1本毎にシリアルナンバーが刻印され、ラベルには清水寺大西良慶和上筆精の妙が刷られ、丁寧に桐箱に納められています。

クラッカーと鮭の漬け焼き
試飲コーナーからの眺め

1時間くらいかけて、まったりと試飲を楽しみ醸蔵を後にします。


7.越のむらさき

越のむらさき 社屋
越のむらさき 説明看板

越のむらさき。
1831年から90年以上作り続けている醤油醸造所。社屋は1877年の施工で140年超の歴史があります。

れんがの煙突
れんがの煙突 説明看板
道しるべ地蔵
旧三国街道と道しる地蔵顔
不思議な石
蔵の間の道

蔵の間の道は、三国街道です。

大豆の搬出
竹駒神社
社殿内
竹駒神社 由来

竹駒神社。
毎年八月下旬に、お稲荷さまとお地蔵さまへの感謝の祭として、お供物の酒饅頭を配るそうです。


8.発酵蔵巡り

摂田屋には現在も6つの醸造所があります。これまでに紹介したのが、酒の"機那サフラン"と"吉乃川"、味噌の"越のむらさき"。
この後、残りの3つを巡り今回の温故知新は終了とします。

味噌星六

味噌星六。
100%国産原料を使用し、農薬・添加物・着色料等は一切使わない江戸時代から伝わる製法に拘る味噌醸造所。

消雪パイプ

消雪パイプ。
工事中の光景は貴重です。
新潟県長岡市は消雪パイプ発祥の地なので、発案者は諸説ありますが、柿の種の浪花屋製菓創業者の今井與三郎といわれています。

長谷川酒造
長谷川酒造
長谷川酒造 説明看板

長谷川酒造。
かつて摂田屋には五軒の酒蔵があり、現在では長谷川酒造と吉乃川が残っています。
看板商品は、雪紅梅(せっこうばい)。長谷川酒造は、殆どの工程を手づくりで行っているそうです。

星野本店
星野本店
星野本店 説明看板

醤油・味噌の醸造所。
ヤマホシサンの相性の醤油などがあります。

光福寺
光福寺 説明看板
長岡藩本陣 説明看板

光福寺。
長岡藩の本陣跡、戊辰戦争の時は、軍事総督がここで開戦の決意を伝えたと記されています。


9.冬の備え

雪囲い
雪囲い

雪囲い。
街中のあちこちで、冬の支度の雪囲いを目にする事ができます。

雪囲い
雪囲い
雪囲い

植物への愛情を感じます。

雪囲い

光福寺の入口にはこんな雪囲いも。

雪囲い
雪囲い

雪囲いを見ていると、雪が積もった風景を、見たいのか見たくないのか、わからなくなってきました。

FUJICOLOR の看板
ミヤウチショウガカレー研究所

ミヤウチショウガカレー研究所。
FUJICOLOR の看板が懐かしいと建物をよく見るとカレー屋でした。
入店してませんが、メニューはショウガカレー・デザート・コーヒーのみ、シンプルで素晴らしいです。

青島食堂

只今の時刻は15:34。
駅から青島食堂を眺めると、行列がなくなっていました。

懐かしい階段
吉乃川
亀田のうす焼
八海山

新幹線で新潟の味を楽しみながら帰ります。

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