大遅刻!やっとRoland TRシリーズの良さを知るの巻。
もはやRoland箱推しとも言っていいアタクシですが、ひとつどうしても乗れないものがありました。
それが同社のリズムマシンであるTRシリーズです。
元祖TR-808(の試作品)がYMOの武道館ライブ(1980年末)や、超名作アルバム『BGM』『テクノデリック』(ともに1981年)に使用されたことは知ってましたし、後継機のTR-909が細野晴臣さんの、これまた超傑作アルバム『S-F-X』(1984年)で大活躍しているのも、リアタイで存じ上げております。
そして80年代半ば、廉価版のTR-606が楽器店でYAMAHA Xシリーズの陰に隠れるように鎮座ましましていたのも目撃しております。
それでも以降40年に渡り、TRシリーズへの過剰とも思える人気ぶりには、どうしてもノレなかったのです。
これは83年にシンセを入手したテクノボーイ()からすると仕方のない面もあります。
丸刈りの中学1年生がようやくアナログシンセを(親の手を借りて)入手できるようになった頃、プロフェッショナルはリンドラムをはじめとするPCMドラムマシンをガンガン使っていたのです。
例えば1982年当時、細野さんの「プラトニック」なんぞ聴いてしまったら、もうこのスネアじゃないと満足出来なくなったわけです。
当時の本音を言えば、本当に欲しかったのは「リズムマシン」ではなく「ドラムマシン」だったのです。
85年にはフルPCMのTR-707が発売されたものの、Xシリーズとの差別化なのか、909を受け継いだ明るいカラーの筺体にさほど魅力を感じられず、実際のサウンドを過小評価してしまったのは否めません。ごめんなさい。
そして90年前後にTRシリーズが再評価され、中古市場で高騰しまくる頃には、オールインワンシンセやサンプルCDの普及により、808や909のサウンドは「代用するもの」という認識になっていました。
97年頃にはグルーヴボックスの元祖MC-303をガンガン使っていました。
このマシンにも、TR-808や909の音色がPCM波形として収録されていましたが、専らドラムンベースを作っていたので、さほど活用しなかった覚えがあります。
そんなわけで、ついにRolandが2014年に乗り出したAIRAブランドでもTR-8には目もくれず、SYSTEM-1とTB-3(後に売却)ばかりに目が行きました。
ここ数年に至ってもMC-101、SH-4dでZen-Core(PCM音源)のTRサウンドを使っていたものの、AIRA COMPACTでもT-8はスルーしてS-1を入手する始末。
が、つい最近、そんなワタクシに転機が訪れました。
ビンテージ音源プラットフォームGALAXIASで、ACB音源による復刻版TRシリーズを鳴らしてみて、「あれ?全然抜けが違うな」と認識が変わったのです。
こうなると俄然ハードウェアで弄りたくなるのが人情というもの(たぶん違う)。
筺体を再現したBoutiqueシリーズ(TR-08/TR-09/TR-06)も悪くないんですが、これまでの記述でお察しのように、実機にノスタルジーがありません。
ということで、ACB音源でTRシリーズが網羅されたTR-6Sを手に入れました。
TR-8の後継機TR-8Sも良かったんですが、この円安のおかげで価格が変わっていて予算オーバー(泣)。
TR-6SはMC-101とまったく同じサイズ。
TR-8Sと比較すると、体積比でおよそ1/4です。
同時に使えるのは6音色と少ないものの、6Sの音のクオリティは8Sと同等だそうです。
ミニアンプを通すと、低音のパンチがPCMのそれとはまるで違います。
また8Sと同様にFM音源や自分のサンプルも鳴らせるとあって、仕込みによってはグルーヴボックスもしても使えそうです。
発売からすでに4年近く経ってますが、昨年リリースされたバージョン2.0で、TR-808の祖先となるCR-78の音色も追加されていました。
プリセットパターンのLATIN(ラテン)を鳴らすと、そのビンテージぶりが加速します。
まだ日が浅いので、1曲分のパターン作成までは至ってませんが、兎にも角にも音の良さに惚れ惚れします。
パラメータを弄ってみると、チューニングひとつとっても、PCMとは明らかに挙動も音も違います。
その良さを認識するまでに40年もかかってしまいました。
本当にごめんなさい。もっと精進します。
ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。