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2023年に読んで良かった絵本
上の子は11歳になり、寝る前に「何か読んで」と本を持ってくることがやっとなくなりました(少し寂しい)が、妹は6歳になり、物語として絵本を楽しめるようになってきました。
ハエをのみこんだおばあさん / シムズ・タバック
アメリカで歌われる子どもの歌が原作となっているとのこと。ハエをのみこんだおばあさんが、ハエをつかまえるためにクモをのみこんで、次はクモをつかまえるためにトリをのみこんで……と、次々と大きな生き物をのみこんでいってしまうおばあさん。一体おばあさんのお腹はどうなってしまうのか。そして大きくなったお腹が紙面からはみ出しそうになっているが、次はどうレイアウトするのか。歌も絵もデザインも楽しい一冊。
白雪姫 / 絵)宇野亜喜良、訳)種村季弘
「本当は恐ろしいグリム童話」とは聞くけれど、本当に恐ろしいですね。。。有名な「毒リンゴ」で殺されかける白雪姫ですが、この毒リンゴ事件は、継母による4度目の殺人未遂ということも初めて知りました。宇野亜喜良の美しくも恐ろしい絵が内容にピッタリで、怖さ倍増です。
大ピンチずかん2 / 鈴木のりたけ
前作の大ピンチずかん1の発売は2022年だったはず。リリースが早い!しかもその間に「しごとば」シリーズの新作も出している。アーティストやミュージシャンは多作の時期にこそ傑作が生まれると言うけど、まさにそうした勢いを感じる名作。
いちねんせい / 詩)谷川俊太郎、絵)和田誠
わが家の1年生も6年生も笑いながら、時には不思議そうにしながら、楽しく読んでる。1987年初版。40年近い年月が経っても全く色褪せず、時代を超えた普遍的なものを描き出している殿堂入りのクラシック作品。
てぶくろ / 絵)エウゲーニー・M・ラチョフ、訳)うちだ りさこ
あるおじいさんが雪の森に落としたてぶくろに、通りかかったねずみが住むことにした。そこへ次々と訪れる他の動物たち。かえる、うさぎ、きつね、はいいろおおかみ、いのしし、くま。捕食者も被捕食者も一緒になって、厳しい冬の寒さに耐えている。梨木香歩さんが著書『歌わないキビタキ 山庭の自然誌』の中で、このウクライナの民話絵本に触れ、次のように書いている。
(前略)どんな憶測も偏狭な読みも、この豊かな絵本 ―『てぶくろ』は受け入れて、そして入ってくるものをみんな入れてしまう。今にも弾けそうになったところで、てぶくろが片方ないことに気づいたおじいさんが引き返してくる。先にてぶくろに辿り着いた仔犬が、異変を感じてワンワン吠える、するとてぶくろの中の住人たちは皆一斉に這い出して、森の方々へ逃げる。そこへやってきたおじいさんがポツンと落ちていたてぶくろを拾い上げ、物語は終わる。のだが、残ったてぶくろは温かいだろうか。パンドラの箱のように、それでも最後には、希望が残るだろうか。
てぶくろは傷つきボロボロになってしまっているのではないかと思わずにはいられないが、子どもたちは、ただただ次々と動物が入ってきては、パンパンにはち切れそうになるてぶくろを楽しんでいる。