彼氏と別れた話
先日、3年近く付き合った彼とお別れした。
「始まりは、終わりの始まり」
去年ふたりで見た映画のワンシーンが脳裏に浮かぶ。
別れた理由はただ一つ。
同じ未来を見ることができなかった。
至って単純で、最も難しい…
別れたことを決して後悔していない。
お互いが、自分の幸せと相手の幸せを本気で考え、話し合った結果だ。
なのに、なぜ別れたのか、ずっとわからないままでいて、なんだろう、気持ちが追いついていない感じ。
今でも付き合っていた頃のように毎日LINEをしているし、週に何回か電話もする。
「大好きだよ」と伝えると、「俺も大好き」と、返ってくる。
えっと…?わたしたちって別れたんだっけ…?
現実を受け入れるどころか、見ることさえできていないのかもしれない。
何ら変わらない、わたしたちの日常。
でも確実に、2人の間にあった「永遠の愛の確証」は姿を消し、思いは空中に彷徨う。
復縁の言葉が彼から発せられないという事実だけが、全ての答えだ。
それを感じるたび、とても虚しく、切なく、苦しい。
別れを決めた時、ひとしきり、2人で泣いた。
涙が溢れて止まらなくて、頭痛がした。
頭痛がするほど涙を流したのは、いつぶりだろうか。
お水を飲んでも飲んでも、飲み足りなかった。
2人のスケジュールを共有していたアプリはどうするのか、LINEのトークに残っているアルバムは消すのかどうか、Apple Musicで共有しているプレイリストはどうするかなど、カップルではなくなっていく会話をした。
本当に別れてしまったことを実感した。
「なんか…本当に、『花束みたいな恋をした』の、映画みたいだね(笑)」
私はそう言ってヘヘヘッと笑うと、彼も笑った。
それからは、さっきまで泣いていたことが嘘かのように、くだらないことや昔の思い出を話し、ケタケタ笑い合った。
この時間が一生続けばいいと思った。
どうにもこうにも頭が痛くて、でも心はお日様を浴びているようにぽかぽかで、お昼寝をするように眠りについた。
起きると夢から醒めていて、私たちはやっぱり別れていたようだった。
別れてから初めてした電話で、私が寝言で
「好き。」と言ったらしい。
付き合っている時でさえ、寝言でそんなこと言ったことがなかったから、可笑しかった。
きっとその夜、私は彼を果てしない暗闇に引きずり込んでしまっただろう。
ちょうど一年前、彼との別れがいつか来てしまうんじゃないかと、なんとなくわかっていたはずだった。
でも、それはまだまだ先のことのように思っていて、あまりに突然で、あっけなかった。
まだまだ一緒にしたいことや行きたいところがあったのにな。
彼にそう言うと、また行こうよ、と言う。
きっと、この恋の終わりは、どちらかに好きな人ができた時なのだと思う。
お互いを忘れるにはまだ早くて、あとどのくらいかかるか見当もつかない。
次の恋に向かう心の余裕なんて全くないし、むしろ彼に奪われていく一方だ。
いつかまた、2人で、ささやかに幸せな毎日を過ごしたいと切に願う。
どうか、この先の人生で、ふたりの運命がまた交じり合いますように。
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