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玉虫

8月11日の日曜日に墓参のために足利に行きました。この地域は関東で一番暑い所で、佐野ではこの日38℃を越えたと報道されました。私の自宅からは電車を乗り継ぎ(4回乗り換え)、乗車時間は3.5時間で、この日の歩数は1万歩を越えました。
昼過ぎの最も暑い時間で、太陽は頭上にギラギラしています。私の足元の歩道のアスファルトの上に玉虫がいるのが目に入りました。全く予期しないことです。あたかも今舞い降りたばかりというように、足をしっかり張って留まっている。触ってみるともう動きません。寿命が尽きたのでしょうが、あまりの暑さのために気を失って、たった今、地面に落ちたという風情でした。玉虫もセミのように儚いもので、成虫になると夏の間しか生きていないようです。

私は、子供の頃、友達からもらった玉虫を1つだけ大事に持っていたことがあります。玉虫はとてもめずらしいのです。それでも70年前は、東京でも玉虫を見かけることがありました。しかし、それ以来の70年間に、私は玉虫を見かけたことはありませんでした。しかし、まだ子孫は絶滅せずに生き延びていたのでした。玉虫が卵を産む朽ちた大木は少なくなり、玉虫にとって不利な環境になりましたが、応援したいものです。

■BIOMEから、タマムシの記述を引用しましょうーーーーーーー

タマムシの卵は、エノキやケヤキ、サクラの枯死木に産み付けられ、幼虫は、その朽木を食べて3年ほどかけて成長します。このことから朽木が3年以内に処理されてしまうような森林だと、タマムシは世代交代が難しくなります。成虫も、エノキやケヤキなどの木の葉を食べますが、成虫になってからの寿命は1ヶ月ほどしかありません。成虫が出てくるのは、7月-8月頃です。
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玉虫に出会うのは7月-8月しかありません。道理で見つからないわけだ。

■玉虫の色
玉虫のあの光沢は、ラプラドライト、月長石、オパール、などに似ています。金属光沢のようでもありますが、光の分散が強く角度によりギラギラして見えます。これはラメラ構造に由来しています。オパールは小さな(光の波長ほどの直径の)シリカ球が集まってできています。玉虫は生物ですから、脂肪組織の球が水分組織の中を埋めているのでしょう。球の表面からの反射光同士が干渉しあって、ギラギラした感じの分散の強い干渉色を出しています。
石膏や雲母などの劈開しやすい積層構造の鉱物も、歪むと光の波長程度の周期構造が生じやすく反射光が干渉して脂ぎった表面のような感じに見えることがあります。油膜やシャボン玉の膜の表裏からの反射光が干渉して虹色の分散が見えるのと同じです。


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