デザイン思考の次はアート思考
前回、デザイン思考の話をしておいてなんなんですが、デザイン思考が成功するビジネスの必須スキルといいつつ、もはやそれでは足りない、っていうことで、アート思考というわけです。
デザイン思考の限界
確かにデザイン思考は優れた概念ではあるのですが、マーケティングにおいて、ちまちまと調査を繰り返していたものが、今やGoogleをはじめとし、あらゆるビッグデータがカスタマーのトレンドを掴んでしまっているわけです。ある製品のトレンド、人気のショップ、いちいち調べなくても、わかっちゃうようになっちゃいました。そうなると、どこをどう差別化するというのは難しくなってきて、どれも答えは同じになって、同じ商品になって、ってなるのです。
そこで、アート思考がビジネスを変える、みたいになっているのですね。
アート思考とは
デザイン=設計です。前回も話しましたが、デザインもアートと一括りにしてしまいがちですが、デザインとアートは全く別です。どうしても、外見だけを捉えて、このデザインがかっこいいとなりますが、デザインは徹底的に作り込まれたものです。どう見えるか、どう使えるか、を考え抜かれた、設計です。アートは反対に内面から生じる衝動のようなもの、と言えます。アートについて話し出すと長くなるので、簡単に説明すると、どう見えているか、ということです。デザインは反対に、どう見られているか、です。ユーザー、カスタマーがどう感じるかを表現したものが、デザイン。自分自身がこう感じているを表現したものが、アート。
では、アート思考というのは、なんなのか。アートというのは現実とのズレ感、だと思うのです。アート論でないので、ここは簡単に説明しますが、アーティストが現実とのズレを表現したのがアートです。このズレ感がみんなに共有されれば、アートとして評価され、共感が得られなければ、アートではないのです。
リベラルアーツの意味
現代アートで有名な、デシャンの泉。小便器がアートなのか、とアートは全く理解できないという人は多いと思います。しかし、その背景というか、文脈というか、それを読み解いてみると、なるほど、そういう意味だったのか、と合点がいくのです。それを読み解く鍵となるのが、リベラルアーツ、いわゆる人文学です。
大学の人文学部を卒業しても、教職員になるか、研究者になるか、とビジネスにおいては全く相手にされなかった人文学部ですが、ここにきてリベラルアーツが再評価されています。
つまり、数値化された情報だけでは読み取れない事象、その意味を読み取り、ビジネスに落とし込んでいくことができるというのです。
まとめ
ここまでをまとめると、デザイン思考よりもアート思考が優れていると思われるかもしれませんが、そういうことではなくて、アート思考で読み取ったコンテクストをビジネスに落とし込んでいくのは、やはりデザイン思考が必要なのだと思います。
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