罹災証明書の基礎知識
東北・北陸での記録的大雨で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。河川氾濫、土砂災害、住宅浸水と多大なる被害をもたらした記録的大雨でした。今後、復旧に向けても何かと大変かと思いますが、今回は罹災証明書についてお話しします。
罹災証明書とは
罹災(りさい)証明書とは、災害対策基本法で定められたもので、市町村がその被害の程度を証明するものです。被災者の申請により、市町村が調査します。新潟県中越地震以後に法制化されたと記憶しています。主に支援措置等の適用に活用されます。住宅の損害の程度によって、被害状況を証明します。
災害の種類
災害の種類は、水害、地震、風害、火災などで、その種類によって調査します。地震の場合は見た目だけでなく、構造的に損傷がないかというところまで調査します。反対に水害の場合は床上浸水は半壊以上と簡単な調査で済むこともあります。国で指定されるような大きな規模の災害は一斉に調査されますが、規模の大きさに関わらず申請することは可能です。
被害の程度
被害の程度は、損害の割合に応じて3段階に分類されます。
全壊
修繕の難しい状況です。通常であれば取り壊しなければならない場合で、最も被害の大きいものです。見た目には被害がないようでも、住宅の躯体に相当の歪みがあったり、建屋に損害がなくても地盤に直接被害がある場合にもこれに相当します。
大規模半壊
全壊に準じた状況です。修繕は可能であるが、大掛かりな修繕が必要となるようなもの。あるいは取り壊ししなければならないような被害です。
半壊
修繕が必要な被害があったことを示すものです。修繕可能な被害はほとんどこれに該当します。
半壊に至らない(一部損壊)
応急修理で対応できる程度の状況を示すものです。
活用できる支援
被害の程度により、活用できる支援は異なります。義援金や支援金などの給付。災害関連の融資。税金や公共料金等の減免。仮設住宅の入居。それ以外にも保険等でも必要になる場合もあります。
よくある質問
調査をしていてよくある質問をいくつかまとめました。
災害が原因であると特定できない
家屋の場合は、経年により劣化していくものです。地震の場合、古い家屋には、もしかしたら、前にあった地震で壁にひびが入ったことも考えられるわけです。もちろん今回の地震による被害のみが被害の状況を示すものですが、このあたりについては、市町村が取り扱いを定めるようです。
応急危険度判定との違い
よく間違われる制度としては、応急危険度判定があります。これは都道府県が実施するもので、被災建築物の調査により、使用の可否、注意喚起を行うものです。「調査済」、「要注意」、「
危険」に区分され、罹災証明書と似ていますが、これは建物の倒壊による二次災害を防ぐためのものです。「危険」と赤紙を貼られた建物でも、必ずしも「全壊」に該当するとはかぎりません。
再調査も可
被害認定の調査は目視、聴取で、住人立会いにより実施しますので、より正確な調査といえますが、見落としや聞き逃しなどもあるわけで、調査結果に納得できない場合は、再調査も可能です。
まとめ
再建に向けては何かと大変な思いをされるかと思いますが、罹災証明書はその支援を受けるためにはなくてはならないものです。調査にあたってはできるだけ被害の情報を提供できるように準備することをおすすめします。
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