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トライアンドエラーを繰り返しながら


駅でばったり
懐かしい人に出会った。

うつと発達障害があり、
なかなか仕事が続かず、
昔、私が勤めていた福祉事業所で
訓練していた方。

一緒に目標を立て、就職に向け、
ひとつずつ、少しずつ
積み重ねていこう、と面談しても
2週間も経つと
突発的に独断で行動してしまう。

話を聴くと
"コツコツやるって、経験したことない"と。

さらに話を聴くと
お父さんが、定職に就いたことがなく
割りの良い短期間の仕事を見つけては
食いつないでいたから、
働くって、そんなもんだと思ってた、と。

人との距離がうまくつかめず、
やたらと特定の人に話しかけてしまうこともあり、彼が仲良くなりたい人ほど、彼のことを疎ましく感じてしまうという悪循環。

何回か経験して、覚えているはずの作業も
毎回、やり方を聞いてくる。
あまりに長い期間、それが続いたから、
当時、私は、彼が職員の気を引きたくて
毎回、解っているのに、聞いてくるのでは?と
見立てをしていた。

だから、
私と一緒に
メモを取る練習をしないか、と提案した。

メモが取れるようになることが目的というより
トレーニングを通して、
"適切な距離で人と関われば、
彼が望む人間関係をつくれる"と
体感して欲しかったから。

でも、彼は、それを受け入れてくれなかった。

メモはうまくできない、と。

しばらくして、彼は、
突然、自分でハローワークに行き、
就職した。


時折、仕事が大変だと、
事業所に電話をしてきた彼。

"仕事仲間に、仕事では仕事の関わりがある、と言われました。だから、いい距離がとれるようになりました。"と話してくれた。
事業所の中ではなかなかうまくいかなかったことも、経験を通して学べた、と。

今日、2年ぶりに会った彼は、
こんな話をしてくれた。
"昇進したから、新しい仕事がどんどん増えて
大変です。
今、僕はメモをとることを頑張ってます。
半分は自分のため、半分は仲間のため。
誰かに聞かれたときに教えてあげたいから"

素敵だなぁと思った。
優しいなぁ、心からそう思ったから、
心から、そう伝えた。

"ぼくなんて
人に迷惑かけてばかりですよ"
と、彼は、にこにこしていた。

そんなことない!
少なくとも
今日、私に、
大切なことを思い出させてくれた。

"トレードマークのニット帽
似合ってるけど、今の時期には
見た目、暑すぎですよ!"

そう言って、
またね!と手を振った。

大切なことを
思い出させてくれて
本当にありがとう!
トライアンドエラーを繰り返し
できるようになっていけばいい。

私も同じ。

今日も良い一日でした♡


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