90’sメタバースサスペンス【 東京ダンジョン 】(PS1)
2020年東京仮想空間へ…
東京。それは大都会の代名詞。それをタイトルに冠すればアーバン感溢れる都会のゲームに早変わり…になるかは定かではないが、意外と多い東京と付くタイトルのゲーム。そんな本作「東京ダンジョン」も1995年に角川書店から発売された東京を冠したRPGだ。パッケージ裏には「刑事物RPGシリーズ第一弾」と銘打たれているが他にもあるのだろうか…。
捜査は現実世界ではアニメーションで自動進行し、仮想空間では3Dダンジョンを攻略しながら犯人の手がかりを追うのだが、仮想空間は非常にPS1らしいポリゴン世界。
昔の自分なら古臭いで済ませてしまいそうなローポリなメタバース空間も今見るとVaporwave感もあってとても味わい深いし、それを彩る90年代テクノサウンドも最高だ。むしろ今だからこそ熟成されて美味しく楽しめるのかもしれない。
しかし現実パートのアニメーションはかなり急足に進行してしまう上に、細切れに近い場面転換や文字情報、登場人物も多いので話を一度で理解するのはかなり大変。
さらに細かな説明は本編中ではかなり少なく、説明書で情報を補う必要がある。自分はゲーム画面を録画していたので、遊ぶ度にアニメパートを復習してました。自由に見返せないのが正直痛いところだ。
絶妙すぎる戦闘とダンジョンの妙
仮想空間では手がかりを追う他にも、まさにダンジョンで謎を解き、敵と戦っていく。戦闘はボタンを押すタイミングによってダメージや命中率が変化するシンプルながら緊張感のある作り。でも攻撃の命中率が悪すぎるようでどれも苦戦必死だ。
しかし回復アイテムや魔法の量などがうまく調整されており、全体的に絶妙なバランスで仕上がっている。油断するとやられてしまうが何度も再挑戦したくなる上手な難易度で最後まで手応えある体験が出来た。おかげで本作の少なめのボリュームを満足感あるものにしてくれている。
ダンジョンの謎解きも適度に頭をひねる程度の難易度で楽しめました。
またレベルは各ステージでリセットされてしまうが、舞台の設定に合わせて刀や銃、レベルアップで武器アニメーションが変化したりなど芸が細かいのも楽しい。
過去の未来は今かもしれない
そんな本作は8時間程度でクリア出来た。現実パートを全てアニメにしてしまったおかげで、ストーリーは荒削りで物足りなさや疑問点も感じるし「東京」要素は少ない。(パッケージの東京タワーも本編ではオープニングムービー以外一ミリも登場しませんでした。)
しかし1995年の人々が夢想したVRやメタバース、対話型AIなどは、現実の今とも重なる部分があり個人的には非常に興味深く楽しめた。
ゲーム部分も歯応えがあり、ちょうど良い満足感のあるボリュームで声優も豪華なので、当時のOVAを見る感覚で気軽に遊んでみるのもアリではないでしょうか。
DATA
発売:角川書店
開発:サイベル
対応ハード:PS1
発売日:1995年12月22日
ジャンル:サイバーパンクRPG