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iPhoneから始まる長い旅路【 FANTASIAN 】(AppleArcade)

iMacを買い換えたんです

なんだかんだ僕はAppleユーザーだ。Apple Watchは持っていないけど、iPhoneにiPadにiMacと身の回りのガジェットをAppleで固めている。理由は昔それがとてもCOOLに今を生きるGUYだと思っていたからだ。ちなみに今はもうただの惰性だ。

そして僕は15年以上Macを使い続けてその環境から抜けきれず、3台目のiMacを買ってしまった。2台目のLate2012モデルをCS5のPhotoshopとIllustratorを使いたいがためにOSアップデートをせず騙し騙し使っていたのも終わった。これからはM1MacでAdobeに金を払う時代が来たのだ。

それを機会にiPhoneで使っていた音楽配信サービスもSpotifyから、iTunesライブラリと同期できるApple Musicに変更。するとあるサービスが目に入った。「Apple One」である。

AppleMusicを利用するならそこそこお得なプランだぞ(宣伝)

Apple Music 、iCloud+、AppleTV+そしてApple Acadeが月々1200円で利用できるプランだ。もう音楽とクラウドは利用しているし、それに映像とゲームが入るこちらのプランの方がお得だ。なので登録してみた。
そして僕は「Apple Acade」のサービスを利用し始めたのだ。

Apple Acadeとは

「Apple Acade」は2019年からサービスを開始したiOS、MacOS向けの定額のゲーム配信サービス。つまりAppleのゲームパスだ。
とはいえソシャゲが幅を利かせる日本のスマホゲーム界隈でこのサービスを僕はなんとも言えない気分で見ていた。
わざわざ定額料金を払ってスマホでゲームを遊ぶのかと偏見の目で見ていたのだ。しかしせっかく遊べる機会を得たのだ。やってみるしかない。

ナムコやプラチナゲームズ、悪魔城など結構色々あるぞ。

Apple Acadeのラインナップを眺めていると一つのRPGを見かけた。
それが今回書く「FANTASIAN」だ。
本作はファイナルファンタジーの生みの親・坂口博信率いるミストウォーカー開発のゲーム内課金が一切無い本格JRPG。僕はFPSにばかり目がいって遊んでこなかったけどミストウォーカーはXbox360的にはブルードラゴンにロストオデッセイと開発しているところだったんですね。
本作を選んだ理由は素直にスマホで新規IPのRPGというのはがとても気になったのだ。そんな凄い軽い気持ちで始めてしまったのだ。まさかこんな事になるとは…。

ジオラマを冒険するRPG

そんなFANTASIANの第一印象は「古風」であった。2021年3月に配信開始されたとは思えないランダムエンカウントのターン制戦闘。一切ボイスのないテキストのみの台詞、そしてスターオーシャン2かFF7のような固定背景のマップとまるで初代プレイステーションを遊んでいる気分だ。しかしこの背景こそ本作の主役というべきところなんと全て手作りのジオラマなのだ。

スマホの画面ではわかりにくいけど、この背景はCGではない。スクショを撮って画面を拡大すればわかる全部手作りなのだ!地味に凄いことしてるぞ!気づけば僕はマップが変わるたびにジオラマの背景をまじまじと眺めていた。
初代プレステの頃は最新でデジタルなCGの背景をありがたがっていたのに、今では超アナログな手作りのジオラマ背景をありがたく見ている。これが令和か。

大発明「ディメンションシステム」

戦闘部分も遊んでみると古さの中に新しさが見えてくる。スマホのタッチ操作だからできる直感的な範囲攻撃の操作は飽きずに何度も戦闘が楽しめる創意と工夫がされている。
そして本作には「ディメンションシステム」というランダムエンカウントの戦闘を後回しできるシステムが搭載されおり、遭遇した敵をディメンションマシンという機械に溜め込み、自分の好きなタイミングでまとめて戦闘出来る今後のRPG全てに採用してほしい最高の画期的なシステムだ。
おかげでレベル上げやダンジョン攻略が非常に快適で、これぞ長年RPGを作り続けてきた人間だから発明出来たシステムなのかもしれない。

それと本作のアイテムの名称が「ポーション」「エーテル」「不死鳥の尾」だったり、セーブポイントがクリスタルだったりとFFシリーズの生みの親だからこそ堂々と出来ることもやっている。というかこれFFの最新作と言ってもおかしくないぞ。

そして音楽はファイナルファンタジーシリーズを多く手がけた植松伸夫氏。
なかなか印象深い楽曲も多く、ラストになるにつれて凄い曲が増えてくるのも面白い。(個人的にはボス戦の「大いなる戦い」がカッコよくて好き)

長い長い旅路へ

本作のストーリーは大きく二部構成に別れ、世界を巡りながらキャラクターと出会い世界観を知っていく一部と、その世界を自由に巡る二部に別れている。そしてこれがとにかくボリューム満点。
僕はこのゲームをクリアするまで65時間掛かった。一部を遊んだだけでかなり達成感があったのに、新しい成長システムが解放された時の衝撃はすごかったぞ。
たっぷりのダンジョンに、たっぷりのサブクエスト、着実にキャラクターを育てていかないと進まないメインストーリー、やり直し確実の難しいボス戦とクリアへの道のりはかなり長い。おかげで去年の11月に始めて、クリアしたのは今年の2月だ。

超ボリュームの世界が君を待つ!

硬派すぎる難易度に震えろ

本作のプレイ時間が増す要因の一つは前述に書いた「やり直し確実の難しいボス戦」だ。とにかく本作は雑魚との戦闘はテンポ良く仕上がっているが、ボス戦になるとその様相は一変する。

序盤はレベルを上げて力押しでなんとかなるボスもいるが、だんだんと属性を考え、敵の行動パターンを覚え、状態異常を対処し弱点を探っていかねばならない。
そこまではまだスタンダードなボス戦と言えるけど、そこから敵の攻撃から耐える方法や、攻撃を与えるために必要な魔法を推理し、確実にダメージを与える攻撃タイミングなども考えて行ったりとまるでだんだん「謎解き」とさせられている気分になる。

こんなに毎度毎度、手を替え品を替えて毎回頭を使わせる個性的なボスを次々と投入してくるRPGは始めて遊んだぞ。手応えはバッチリだけど…難しすぎる上に攻撃パターンを覚えるために全滅は当たり前、しかも一回の戦闘は長いので大変だ。ラスボス戦は4時間以上掛かったぞ…。
もちろん本作には課金による強化などは一切無い。

仲間全員で戦う一体感

しかし本作の戦闘の面白さは変わらない。特にありそうでなかった戦闘中のパーティチェンジが面白く、瞬時に前衛の仲間を控えメンバーにチェンジする事で弱点属性への攻撃やバフ魔法など仲間を瞬時に入れ替えながら戦っていくのが楽しい。おかげでパーティ全員で戦っている感覚はかなり強いのが素晴らしい。
仲間もそこそこ人数がいるが、メインパーティ以外も経験値はきちんともらえるので誰も置いていく事なく進めていける。むしろ置いて行ったらもっと時間のかかるゲームになっていただろう…。

Appleマシンがゲーム機になった

ある時、本作を黙々と遊んでいると不思議な今まで一度も味わった事ない懐かしい感覚を感じた。iPhoneがまるでゲームボーイのような携帯ゲーム機に感じてしまったのだ。「あ、そういえばiPhoneってゲーム機でもあるんだよな」と改めて思う一瞬だった。

そしてApple Arcadeの素晴らしい点はセーブデータをクラウドで管理しているおかげでiPhoneで遊んだデータを自宅のiMacや iPadでも遊べるというところだ。外ではiPhone、家では大きな画面のiMacでということも出来るのも非常に嬉しかった。あんなにゲームと相性が最悪だったMacOSでこんなにゲームをすることになろうとは...。

クリア…そして。

そんなこんなで65時間の長い旅が終わった。正直リセットもかなりしているのでもっと遊んでいる。クリアの達成感は最近のどんなゲームよりもありました。
ゆるい雰囲気としっかりしたゲーム性、魅力的なキャラクターに、画期的すぎるシステム。勝てないボスに何度も苦しんだこともあったけれど全体を通して素晴らしいゲーム体験が出来、小粒と勝手に決めつけていた僕のスマホゲームの認識を今回改めることになる一本となりした。
本作をお薦めするにははあまりにも時間がかかりすぎるので、ハードルが高いけれどたっぷり遊びたいスマホゲームを探しているならこのゲームが最適ではないでしょうか。
これからは過去の坂口博信氏のゲームも遊んでいこうと思う。


DATA

FANTASIAN
配信:Apple Acade
発売 / 開発:ミストウォーカー
対応ハード:iOS、MacOS、iPadOS、AppleTV
配信日:2021年4月2日
ジャンル:RPG


[ 注意:以降ネタバレありの感想です ]

よくわからない世界とパーソナルなストーリー

さてこのストーリーのことをまだ語っていないのはこのゲームのストーリーが実はよくわかっていないからだ。最終目標である問題のある神々のために翻弄された普通の人々が反旗を翻す物語なんだけれど、神の「秩序」と「混沌」のバランスが…という、わかりにくい話でついていけないのが正直なところでした。

それに比べると各個人のお話は非常にわかりやすく、各個人の成長の物語の方がストーリーの牽引力はありました。ただし最終目標である神を倒すに繋がりにくい所がやはり残念なところでしたね…。

結末も死械球がどうなってしまったのかもわからず、ちょっとわかりにくいのがやっぱり少しモヤモヤしてしまいましたね。それでもまぁあのラスボスを倒せた達成感の方がハンパなくてスッキリしていましたが…。
にしてもラスボスを倒した後、ラスボスのいたジオラマをリアルで爆破するのは流石に爆笑しました。さすがジオラマだから出来る技!

キャラクター別所感

そんな訳でこんなに長時間遊んでいるとキャラクターに愛着も自然に湧きます。どのキャラクターもなかなか良いので一人ずつ短めに語っていきます。

レオア

ポンコツイケメン主人公。イカす白髪に黒い服と第一印象はイケスカナイ感じの見た目だけれど、どこか抜けていてオムライスが大好きで肝心なところでカッコよく決めちゃう憎めない奴。
スキルの攻撃も強いようで集中を使わないと一発の火力が出ないのが少し残念。序盤は頼りになる性能だけど、後半は火力はシャルルとバウリカに取られて、ただの炎属性担当に。気の毒!
カッコいいくせに最後の最後までダブルヒロインから逃げまくる情けない一面も最高。

この主人公感がたまらん。

ストーリー的には父親の跡を追うというものですが、まだ謎が残るのが心残りです。

シャルル

一人だけ攻撃力が高すぎる。この火力がシャルルだ。

みんな大好きシャルル様。絵に描いたような寂しがり屋ツンデレお姫様はパーティトップの高火力。
強力なストライク技と万能なナイトインパクトで序盤から大立ち回りの活躍でした。
いやもう台詞がどれも素直じゃなくて可愛いのなんの!このゲームはシャルルに出会えただけで最高だ。

自分で写真集を出しちゃう自己顕示欲の強さも最高。さすが女王。

キーナ

無敵のヒーラー。安心感しかない!

奔放なメインヒロイン。当初は不思議キャラでなんとも言えない印象でしたが、好奇心旺盛でフラフラどこかに行くのが可愛いぞ。そしてまさかのシャルルの姉というのも驚いた。その不思議な運命と親子関係がなかなか心にくるキャラクターでした。

王室救出するクエストでやーぁ!と突っ込むキーナが最高。

前半は抜き出た性能はないけれど、後半は圧倒的な回復魔法で間違いのない主戦力。面白いのがスキルに挑発があるところ。天然の煽り性能はありそうだ。

チクッタとハクッタ

ロボコンビ。序盤はバリアに何度も助けられました。後半はオールヒールと電気魔法以外の扱いに難儀するシーンが多くて大変でした。このコンビがいるだけで場が和むで好きですよ。というかこのパーティの中で最も理性的でしたね。ただ乱れ撃ちの性能はよくわからない!

エズ

天才なんでも屋少年。スキルがアイテムを消費して発動するという面白いし、バウンスフィールドにバキュームと個性的過ぎるスキルが楽しいし。
通常技が貧弱な代わりに多くのバフスキルに回復技、属性技と抜け出た性能はないにせよなんでも出来すぎている。クイックオールはさすがにやりすぎな性能だ。
ただもうちょっと恩人のシャルルとの絡みが欲しかったなぁ。

バウリカ

後半主戦力のミステリアス眼鏡美女。
範囲攻撃で超火力のアローレイン+2が強すぎるため大体の雑魚を一掃してレオアを凌ぐ強さを誇ってしまう。姐さんパネーっす!
攻撃時MP回復で永久機関が完成してしまうので毎度毎度助かりました。

ジニクル

ただの気のいい船長かと思ったら超がつくほどの厨二病設定が隠れていた凄いオジサン。元神...って凄いな。やめられるものなのか。
とにかく肉壁にしたら強いので困ったら防御させておいておくのが良いね!鉄壁も良いバフスキルだ!
最後シレッとバウリカと結婚までしちゃうとは製作者に愛されてますね。

タン

正直持て余した感の強い訳アリな男。いくらなんでも加入が遅過ぎるし、彼のシリアスなバックボーンがレオア達とかすらないのがツラい。

性能も特徴である個性のHPを削って行う幻獣のスキルが中途半端すぎるんだよね...。早業は強いけどやはりピーキー過ぎるぞ。
しかしラスボス戦では高火力なテンション技に助かりました。本当にありがとうございました。

最後に

本作は楽しいも苦しいもたくさん味わうことになる、ちょっと他とは違う手応えを感じる凄いゲームでした。途中で挫折しなかった自分を褒めてあげたいです。そして素晴らしい体験ができてとても良かったです。

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