郷愁と新発見のリメイク【 スーパーマリオRPG 】(Switch)
蘇るRPG原体験
高らかにパックンフラワーが歌うCMが今も忘れられない。1996年発売されたスーパーファミコンの「スーパーマリオRPG」に当時小学生低学年の自分は完全にやられていた。そして本作がRPG原体験であった事を思い出す。プリレンダCGによる美麗で立体的なグラフィック、耳から離れない楽しくも深みある音楽とSE、他のマリオとは違うどこかシュールな雰囲気、賑やかに動くキャラクター、面白くも毒気のあるテキスト、大量の小ネタとミニゲーム。その全てが新鮮で、ワクワクして、楽しくて何度も遊んでいた。
しかし当時ドラクエやFFの存在も知らず、RPGなんてロクに遊んだことない小学生低学年には普通に難しく、苦戦したゲームでもあった。まぁフラワー系のアイテムが高く売れるからと全部売り、ろくにレベル上げもせず、やられたら「ふっかつドリンク」を何度も使いながら戦っていたし、説明書どころかキノピオの説明もろくに聞かないからアクションボタンで防御出来ることも知らなかった。…そりゃ難しく感じるわけだ。
それでも戦闘BGMを口ずさみながら何度も楽しんでいたスーパーマリオRPG。リメイク作がニンテンドーダイレクトで発表された時はとても驚いた。どこか頭の隅で無理だろと思っていた所があったから尚更だ。生きてるとこんなこともあるのね…。(ひとつ残念な点と言えばこのCMがリメイクされなかった事かな…。)
新たな発見が生まれるリメイク
そんなSwitchのリメイク版はかなり元のSFC版の雰囲気を崩さない事を意識して作られており、どこを足して足さないのかのバランスがとても上手とられており、当時の懐かしさと新しさが同時にやってくる不思議な感覚をもたらしてくれる。
1番の見どころはやはり高解像度になったグラフィック。SFCでは見えなかった細かい箇所まで作り込まれており、歩くだけであの頃のワクワクが蘇り、さらに綺麗になったグラフィックに感動するぞ。
当時でもあれだけ綺麗だったキノコ城の街並みがさらに綺麗になっている…。
そしてもう一つ大きな追加要素にジャストアタックやガードなどでゲージを貯めて放つことができる「3人技」。派手な技だがどれも動きが楽しく、戦闘が楽しくなる要素で余計なものとは思わない嬉しいもになっっている。この共闘感はいいね!
もちろん音楽もSwitch版に向けてアレンジされたバージョンと、原曲のSFC版に切り替えられる仕様まで用意されており、他にも追加要素として中間地点まで一瞬で移動できるファストトラベルや、戦闘中のメンバーの入れ替えなど主張はしないけれど、とても便利な細かい追加機能が大量に仕込まれており、その配慮もあってとても遊びやすくなっていて嬉しいぞ!
他にも本作の追加要素として特に面白かったのは「モンスターリスト」がある。これはよくあるモンスター図鑑なんだけど、解説テキストは本作のために新規に書き起こしたもの。しかもどれもパロディやメタ発言とやりたい放題でこれもスーパーマリオRPGらしいものになっていて地味ながらも笑える。
あの頃よりもマリオも自分も強くなった
しかしアレから20年以上の月日が経ち、自分もいい歳の大人になった。その間に自分も幾多の世界を救い、経験をつけてきた。今ならレベル上げやFPの管理、アクションボタンをタイミングよく押すことだって全然できる。
そのおかげで本作はスルスル進めてしまった。小学生の頃はあんなに強かったクロコやジョナサン・ジョーンズ、果てはカジオーやクリスタラーも「このゲーム、こんなに簡単だったっけ…。」と思うほど簡単に倒せてしまう。それは嬉しくもちょっと寂しい気分だ…。
そしてストーリーも大人になれば見えるところも違う、改めて体験するとかなり新鮮だった。話せない代わりに身振り手振りで頑張って話を伝えようとするマリオ、心の声がダダ漏れで可愛いクッパや、誰よりもドラマがあるマロ(再会の雨は素晴らしい)、見栄を切ったりトボけたりとカッコいいながらも面白いジーノ、誰よりもノリノリで冒険を楽しんでるピーチ、そして相変わらず支離滅裂なブッキーは今見ても笑える。
そしてエンディングの演出はあの時以上に感動するものになっていました。
更なる強敵たち
そしてクリア後に用意してくれたのは「ヌルかったならコイツを喰らえ」と言わんばかりのボスたちとの再戦はどれも強敵揃い。ジャストアタックとガードを前提とした高難易度バトルに震え上がりましたよ。
そして立体となったクリスタラーとの決戦は全ての力を注がないと勝てない強敵に。「ヌルいとは言ったけど、ここまで難しくしろとは言ってない!!!」と思うほどには死にまくった…。
最終的に攻略情報を見てなんとか制覇できました。
本作はなんだかんだ13時間でクリアしてしまった。今見るとアッサリとしたボリュームのRPGで、レベル上限も低く、オマケもアッサリ気味ではあるので望むならDLCでも良いので新しいダンジョンと新キャラボスなども欲しいと思ってしまうのは余計で贅沢ですかね…。
それでもあの頃のノスタルジーを刺激するには十分すぎるクオリティを持った、改めてスーパーマリオRPGの面白さと再発見が出来る大変素晴らしいリメイク作でした。本当にありがとうございました。
DATA
スーパーマリオRPG (リメイク版)
発売 :任天堂
開発:任天堂、スクウェアエニックス、アルテピアッツァ
対応ハード:Switch
発売年:2023年11月17日
ジャンル:RPG