映画「湖の女たち」完成披露上映会に参加した話。
昨日4/16は、吉田修一さん原作、大森立嗣監督が監督を務めた映画「湖の女たち」の完成披露上映会の日。ご縁があり、ありがたく参加させていただきました。
福士蒼汰くんと松本まりかさんがW主演を務め、浅野忠信さん、財前直見さん、福地桃子さん、平田満さん、北香那さん、三田佳子さんなど、錚々たる演技派の皆様が脇を固めています。
暗闇を切り裂くように流れるバッハのシャコンヌの旋律が、底知れぬ不気味さを訴えてくるこの作品。
私は今回、あえて原作小説を読まずにいたので、あらすじと予告映像から想像する世界観にドキドキしながらの初鑑賞となりました。
現実に起きた過去の事件がモチーフとなっている描写もいくつか見られ、現実離れしたフィクションなのに、もしかしたらどこかでこんなことも起こっているのかもしれないと思わせる力があった。
難解ではあるけれど、人間の誰しもが様々な経験を積み重ねていく中で、心のどこかに持っている弱さがふっと露呈する瞬間があるというところは共感できました。
他の誰かを無意識に、いや意識的に?傷つけることで自分の心を守る、人間の卑しい部分にフォーカスが当たる場面が多く、演じる側も相当な精神力が必要だったであろうことが想像できます( ; ; )
大森立嗣監督ご自身も、役者の熱のこもったお芝居を浴びて、発熱しながら撮影・編集していた、こんなことは今までになく初めての経験だったと話されていました。
役者さんたちはそれくらい根幹から心を揺さぶれるようなお芝居を求められ、それに見事に応えていた。
特に福士蒼汰くん本人も注目してほしいと話していた「目の芝居」のインパクトは凄まじかったです。
舞台挨拶では、福士蒼汰くん自身が「脳みそが全部取り替えられたんじゃないかというくらい役者として変わった」と語っていたほど。
間違いなく新しい引き出しが開き、俳優としての振り幅がぐわんと広がったからこそ、その直後に演じたドラマ10大奥で、あんなにも惹きつけるお芝居が見られたんだなぁと。
いつも心を見透かす大森監督が頭の上あたりにいて見ているような気がする、その後の作品でも大森監督ならどう演出するかなと考える、とも話していて。
価値観すら変えるようなとても大きな影響を受けたことが伝わりました。
こんなにも自分自身から遠くかけ離れたキャラクターを演じることはそうそうないよね。。だけど、これこそが俳優という仕事の醍醐味なのかも、とも思えた。
静かに、でも大胆に支配していく性的な描写も多くて、松本まりかさんも「とにかく怖かった」と話されていたし、演じる2人とも相当なエネルギーを使ったであろうことがわかる。間違いなく今まで見たことのない俳優、福士蒼汰の一面が見られる作品。
支配し、支配されることで保たれる心のバランス、どこかでそこから逃れたいと思いつつも逃れられない、逃れたくない、相反するその感じが現実離れしつつもどこかリアルだった。
この難解な作品が世間にどう評価されるのかわからないけれど、特に主演のお2人と監督にはぜひとも映画関連の賞を獲ってほしい!
公開は5/17とまだ先なので、詳細なネタバレはしないでおきます。
物語の中に渦巻くドロドロとした人間の感情の全てを大きくて美しい湖が見つめている、そんな映画です。