【イベントレポート】Sustainable Food NIGHT #19 2024_0725
こんにちは! Sustainable Food Asia株式会社(以下SFA)のインターンの丸山です。
2024年7月25日(木)に開催された『Sustainable Food NIGHT #19』笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦〜高品質へのこだわりで、”チョコレートを新しく”する〜 の開催レポートをお送りいたします!
Sustainable Food NIGHTって?
日本・アジアから世界に「サステナブルフード」を定義するべく国内外でイベント開催や出展、現地ツアー等を行うSustainable Food Asia株式会社が主催する、月例ナイトイベントです!2023年6月グランドオープンのSustainable Food Museum(以下:ミュージアム)内で毎月、サステナブルな食の未来を作るため奔走するスタートアップ企業の代表をゲストに招き、トークセッション+試食懇親会を開催しています。
登壇者プロフィール
◇メインゲスト:
- Minimal - Bean to Bar Chocolate - 代表 山下 貴嗣氏
カカオ豆の選定からチョコレート製造まで一貫して手掛ける「Bean to Bar」製法でクラフトチョコレートブランド「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」を設立。都内に4店舗1工房。年間4か月強は赤道直下のカカオ農園に自ら足を運び、100%フェアトレードでの買付と、毎年農家と協働し品質改善に取り組む。チョコレートの国際品評会で日本初の部門別金賞など8年連続86賞の受賞。2023年はアジアNO,1、世界第2位の評価も獲得。WIRED audi INNOVATION AWARDS 2017選出。チョコレートづくりを通して、カカオとチョコレートを取り巻く貧困問題の解決、徹底したモノづくり追究、ブランドのスケーラビリティの実現を目指し、100年続く新しいチョコレート文化創りに奮闘中。
◇モデレーター:
株式会社リバネス 執行役員 塚田 周平
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻修了 博士(農学)上級バイオ技術者
【専門分野】農学、分子生物学、土壌微生物学
設立初期よりリバネスの運営に参加。教育・研修事業、各種ライティングに関する実践を学んだ後、アグリ分野の先進技術開発・導入、地域創業エコシステム構築事業の立ち上げを行う。
Sustainable Food Asia株式会社 代表取締役 海野 慧
1984年生まれ。高校生の時に「世界がもし100人の村だったら」という本を読み、国際協力開発に関与する仕事を志ざし、立命館大学国際関係学部に進学。株式会社じげんの創業期に2007年新卒で入社。2013年に事業管掌取締役となり、東証マザーズへ上場。2019年退社。
2020年、CarpeDiem株式会社を創業。社会課題の本質的解決を実現するためにSTART CAMPなどのカンファレンスを運営。2022年、アジアからサステナブルな新しい食産業のエコシステムを創るため、子会社にSustainable Food Asia株式会社を設立。フルーツミートの展開や、アジアのフードテックスタートアップを集めたSustainable Food Camp、Sustainable Food Museum/サステなおむすび等運営。
今回は、- Minimal - Bean to Bar Chocolate -(以下Minimal)の代表、山下 貴嗣氏をゲストにお招きし、「笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦~高品質へのこだわりで ”チョコレートを新しく”する~」というテーマでのトークセッションと、試食会兼交流会が実施されました。
イベント概要
日時:2024年7月25日(木)18:00~20:45
会場:Sustainable Food Museum(サステナブルフードミュージアム)
参加料金:5000円(※Peatix事前申し込制)
主 催:Sustainable Food Asia株式会社
プログラム:
・Minimal - Bean to Bar Chocolate - 事業紹介
・トークセッション:「笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦~高品質へのこだわりで、”チョコレートを新しく”する~」
・試食を兼ねた懇親会
トークセッション「笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦~高品質へのこだわりで、”チョコレートを新しく”する~」
Minimal - Bean to Bar Chocolate - について
山下氏が代表を務める「Minimal - Bean to Bar Chocolate - 」は、”1枚のチョコレートから変えていく、100年後の未来”をビジョンとし、クラフトチョコレートをはじめとするスイーツの販売を行っています。
Minimalの特徴は、
1.引き算の哲学から生み出される新しいチョコレートのおいしさ
余分なものを入れず、板チョコレートはカカオと砂糖だけで作られるなど、素材の味を最大限生かすという「引き算の法則」を用いた製法で、国際品評会で8年連続・合計89賞を受賞中。
2.カカオ農家との協同での高品質なカカオの開発
Minimalはカカオ農家とも協同しており、直接現地を訪れてカカオの発酵・乾燥作業の研究やレクチャーを行い、一緒に高品質高単価に適うフレーバーの開発を行っています。
また、プランテーションの名残があるカカオ産業のサステナブルな経済的自立を目指し、技術支援やフェアで公平・公正な取引も行っています。
ディスカッションテーマ 「笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦~高品質へのこだわりで、”チョコレートを新しく”する~」
Minimalの紹介の後、本日のディスカッションテーマ「笑顔の循環で100年後のサステナブルな社会を支える挑戦〜高品質へのこだわりで、”チョコレートを新しく”する〜 」についてディスカッションが行われました。
チョコレート業界の現状と課題
山下氏は、チョコレート業界が直面する主な課題として以下の点を挙げています。
西アフリカ地域における児童労働や貧困問題
チョコレートの主要原料であるカカオ豆の生産地である西アフリカでは、児童労働が深刻な問題となっています。また、カカオ農家の約3分の2が世界銀行の定める国際貧困ラインの(1日一人当たり2.15ドル未満で生活)を下回っており、極度の貧困も大きな問題になっています。
気候変動による収穫量減少とカカオ豆価格の高騰
気候変動はカカオ豆の収穫量にも大きな影響を与えており、異常気象や気温の上昇により、カカオ豆の生産量が減少し、価格が高騰しています。また、2022年より生産量世界2位のガーナでデフォルト(債務不履行)が発生するなどといった影響からカカオ豆の価格が高騰しています。
さらに、カカオの木の移植の周期を迎えていることもあり、様々な要素が絡み合って深刻な状況となっています。
コモディティ市場であるが故の、生産者への適正な対価還元の必要性
カカオ豆の生産者が適正な対価を受け取れていない現状も問題です。カカオ豆のようなコモディティ市場では、中間業者が利益を得る一方で、生産者は低賃金で働かざるを得ない状況が続いています。これにより、生産者の生活が困窮し、持続可能な生産が難しくなります。
クラフトチョコレートが切り拓く新たな可能性
これらの課題に対する解決策として、山下氏はクラフトチョコレートの可能性を強調しました。
高品質カカオ豆を使用し、製造から販売まで一貫して手掛けることによる付加価値の創出
クラフトチョコレートは、発酵・乾燥から最終加工まで一貫してこだわり手掛けるため、カカオ豆ごとの独自の風味や食感を楽しむことができ、大量生産されるチョコレートとは違ったおいしさや個性が生まれ、新たな付加価値を生み出すことができます。
消費者に対する高品質な製品・購買体験の提供と、それに伴う適切な価格設定
高品質なクラフトチョコレートは、その価値に見合った形で提供されます。また、店頭販売では、試食や接客でのストーリーの説明など、ただの購入ではなく一つのエンターテインメント、体験として提供することで、良いものをちゃんと適切な価格で購入するという購買活動が生まれます。そして高単価な販売を実現できることで、生産者にも適正な対価が還元され、産業の持続可能性を高めることができます。
チョコレート業界のサステナブル構造構築へ向けた取り組み
上記で、クラフトチョコレートの可能性を述べましたが、チョコレート業界をサステナブルな産業構造へと変えていくために以下の取り組みが必要だと山下氏は述べます。
クラフトチョコレート市場の確立・拡大
一番重要なこととしては、クラフトチョコレートの市場というものを確立し、より拡大していくこと。これが必要であり、その実現が現代のチョコレートの産業とカカオ農家を救う一つの解決策となりうるのではないかと山下氏。そのためにも、消費者がクラフトチョコレートの価値を理解することはもちろん、おいしさを常に追い求めることが重要だと言います。
テクノロジーと人間の手作業を融合した生産効率の向上と品質管理の強化
おいしさを追い求め続けるという部分で、全てを機械に任せることは現状難しいそうです。
しかしMinimalでは、かつて職人の手で全て行っていた作業の一部を同じ精度で行える機械に代替し、その上で人がやらなければいけない部分は変えずに生産をするという、機械と人間のそれぞれが強みを生かして補い合う方法で、生産効率の向上と妥協しないおいしさの追求を実現しています。
今後の展望
最後に山下氏は、チョコレート業界の未来とMinimalの展望について以下のように述べました。
日本の技術力を活かしたグローバル市場でのブランド確立
日本の”きめ細やかな技術力”を活かし、グローバル市場でのクラフトチョコレートブランドを確立することで、結果として消費者・チョコレート業界そして日本という国にいたるまで、「三方よし」な環境を作る一端をMinimalが担いたい、とおっしゃっていました。
Minimalの取り組みのモデル化
また最終的なゴールとして、クラフトチョコレートの市場を拡大していく先に、Minimalの取り組みをソフトウェア業界でいうIntelのようにモデル化し、チョコレート産業全体に広げていくことを目指していると言います。良いものを手頃な価格で提供できるようにすることでMinimalの取り組みとしても、スタートアップ企業としても非連続的な成長を実現できることを目指します。
普段何気なく口にしているチョコレートですが、その背景には色々な人道的・経済的問題があることを学べたとともに、最終消費者である私たちがどんなアクションを起こすことが必要なのか考えさせられる、そんな時間となりました。
ここでは書ききれない内容も盛り沢山なので、ぜひイベントの熱量を体感しにお越しいただけることを楽しみにしております!
試飲会&交流会の様子
後半は、1Fのミュージアムスペースにて試飲会&交流会を実施。
Minimalのチョコレート2種(NUTTY・FRUITY)を食べ比べつつ、ニチレイフレッシュさんより、コレステロールゼロの魚卵状食品 「みらいくら」、池田糖化工業さんより酒粕を用いた、「鮭と根菜の粕汁」や「酒粕チーズケーキ」など5品、ケンコーマヨネーズさんより、「WABI-DELI なすのたたき ~ゆずぽん酢風味〜」、「5種ハーブ香るキャベツマリネ」、TeaRoomさんの使用しなくなった酒樽を活用した「緑茶」、そして今回のドリンクパートナーICHID°さんの「Sparkling Sake」をはじめとする四種類の日本酒を味わいながら、先ほどの内容の深掘りや新たな共創のアイデアを話し合い、みなさん盛り上がっていました!
試食ラインナップ
業界の方々が集う秘密基地的な場所として、Sustainable Food Museumは、今後も定期的にイベントの開催や各社とのコラボ企画を進めてまいります!
次回イベントのご案内(2024/8/22開催)
次回は、8月22日(木)18:00~20:45にて開催予定です!
「トークセッションテーマ:〜塩分過剰摂取の問題を海藻成分から解決する〜」
透析患者から言われた「もう一度おいしいラーメンを食べたい」のひとことから、美味しいものを美味しく食べて、健康であり続けられる世界の実現に取り組むトイメディカル株式会社代表取締役の竹下 英徳氏をゲストに迎えて、トークセッション&試食会を行います!!
また、ドリンクパートナーには“安全で美味しい食”が世界中の人に行き渡る世界の実現を目指すアグリ・フードテック企業のAgnaviさんをお招きし、地方の酒蔵の存続安定の一助として開発された「一合缶」の形での日本酒を数種、皆様にご提供予定です🍶
お申込みはこちらのPeatixからお願いいたします!
まとめ
Sustainable Food Museumでは定期イベントの実施だけではなく、ワークショップなどのイベント開催、サステなおむすびでのコラボ商品の展開、ショーケースプロダクトの募集等、幅広い展開を予定しております!
ご興味ある方は、ぜひ以下へのご連絡お待ちしております。
当日お越しの際は、ぜひ運営スタッフにも直接お声がけください!
Sustainable Food Museum お問い合わせ窓口
showcase@sustainablefoodasia.com
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