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バラナシ① インド編
ガンジス川、そこに神が住むという。
ヒンドゥ教徒にとってバラナシは聖地だ。そこにはガンジス川が流れ、その川岸にはガートと呼ばれる火葬場がいくつもあり、亡くなったヒンドゥ教徒の死体を燃やしているのだ。
無論、旅に出る前に訪れる予定の街を予習するわけだが、かつてバラナシ程期待を寄せてしまう街があっただろうか?
ガンジス川、ガート、人の死体
不謹慎なのは十分わかってはいるが、でも・・・でも・・・
人が燃やされているところを見たい!!!
旅の途中で仲間ができたり、時間の経過を楽しんだり、遺跡を見たりと様々な経験ができるのも楽しい。しかし、見たこともない圧倒的な文化の違いを知ることこそ、世界とは一体どういうものなんだ?という僕の四半世紀の問いに応える方法である。海外を旅する醍醐味とは非日常を知覚することにある。
コルカタから乗った寝台列車の窓から外を眺めるとオレンジ色の朝日が昇っていた。
寝起きだがバラナシに近づいていることがわかった。その時、インド人の親子と思しき母と息子が寝台部屋へ入ってきて、息子がその年配の母親らしき女性に座るようベッドを勧めた。僕のベッドにである。僕はお年寄りにベッドのスペースを空けてやり座らせてあげた。日本ではありえない光景かもしれないが、インドならこういうことも珍しいことではないのだろう。
インド人の息子にThank you と礼を言われ、その流れで少し会話が始まった。会話の内容はバラナシについて、これからどこへ行って何をするのかなどの当たり障りのないことを喋っていたのだが、列車が川の上に架かっている橋を渡り始めると彼が突然会話を中断し、年配の女性と共に窓の外へ手を合わせ、頭を垂れた。僕は不思議に思い窓の外に目を遣るとオレンジ色の陽光に照らされキラキラ光っている大きな川が現れた。
──ガンジス川だった。
咄嗟に彼らに倣い手を合わせ、目を瞑り、頭を垂れた。
忽然と朝焼けの中に現れたガンジス川は電車の車窓から見ると、まさにそこに神が宿っているかのように神々しい。