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映画『隣の影』/面白いけど、二度と観たくない映画きた~~;;

 アイスランド映画を見たのって、もしかしたらこれが初めてかもしれないです。これが初めてでよかったのだろうか…

 観たぞ!『隣の影』(2017)!!以下はFilmarksより引用したあらすじです。意図的に一部だけ引用しています。

すべては閑静な住宅地で暮らす老夫婦が、隣家の中年夫婦からクレームをつけられたことから始まった。いわく庭にそびえ立つ大きな木が、いつも日光浴をするポーチに影を落としているというのだ。それをきっかけにいがみ合うようになった二組の夫婦は、何の証拠もないのに身近で相次ぐ不審な出来事をすべて相手の嫌がらせと思い込むようになる…。

https://filmarks.com/movies/80224


 この映画はTwitterで誰かがおすすめしていて知ったんだけど、これがまぁとんでもない映画でしたよ。

 今までいろいろサイコパスが出てくる映画とか見てきたけど、これはちょっと度肝を抜かれちまいましたね


 そもそも、なぜアイスランド映画の本作が注目されているのか?というと、この作品がノミネートこそされなかったけれど、2018年のアカデミー賞のアイスランド代表作品だったというのもありますが、どうやら一部の界隈をにぎわせている、「北欧サスペンス/ミステリー」の大物ということもあるらしい。

 この映画のホームページによると、アイスランドを含む北欧は、「幸福度指数」とか福祉とかが高水準で保たれているために、社会や人間の黒い部分に目を向けた映画が多数作られているらしい。贅沢かよ!!

 だから、こういうド畜生な映画を作れるんだなぁ。(褒めてる)


 この映画、どうやら「ブラックユーモア」が効いているらしい。この噂を視聴後に聞いたとき、「そんなバカな!!」と言ってしまった。部屋で。大声で。だって僕にとってはなーんにも笑える部分なんてなかったからだ。

 強いて言うなら、主人公アトリの母親のインガが序盤から隣の家の妻のエイビョルグに敵意むき出しで、「あんたさ、毎日チャリ漕いでるみたいだけど、若作りに必死だね!ご苦労さん!あ、犬のうんこはちゃんと捨てろよな!今回はお前に投げつけるだけで許してやるけどさ!」みたいなファイティングポーズをとってたのが面白かったかな~

 話は変わるけど、こういうババァってほんとによくいるよね。こういうババァが陰謀論とかハマるんだろうな

 そうそう。この映画、インガが隣の家族に対して序盤から敵意むき出しなのがめちゃくちゃ映画にいい影響を与えてると思ったな。徐々に徐々にだと、時間もかかるし、「いや、これはこっちの家族が悪いよ」とか観客に判断しかねないしね。序盤は判断させない方がいい。だから、この映画は序盤はどっちの家族も悪いように見せてたのがうまいと思ったな~~

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 そして一応主人公?のアトリのキャラもなかなかだけど嫌いになれないというか…やっぱりクソ野郎にはなり切れなくて、娘の保育園でいざこざがあった後に、たばこのポイ捨てしてみたりするけど、捨てた直後にちゃんと火が消えてたか確認するとことか、超ショボい。あとパスタ食べながら娘のこと考えてんのも、超ダサい。最低男ならパスタ食うなよ。

 というか、この映画は、「周りの人に気を使えない」みたいなタイプの人しか出てこなかった気がするな。インガとエイビョルグはもちろん、それぞれの旦那もそう。エイビョルグの旦那のコンラウズはわざわざ隣の家族の目の前で木を切るためのチェーンソーをチラつかせたりとか、インガの旦那のバルドウィンは例の犬の事件の直後に「まぁ…とりあえず合唱練習行ってくるね…」みたいなデリカシーのなさ。お前らそれでも人間か!!

 もちろんアトリもそうだな。アトリなんかひどかったよ、IKEAの目の前の小さい空き地でキャンプしようとしたり(邪魔だろ)、自分の家の木の根っこに小便かけたりとか。なんかそういうのができてしまうデリカシーのなさだから、こんなことになったんじゃないの?

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 そして極めつけは犬ですよね。あれはマジでキツかった。

 このnoteのタイトルに「二度と観たくない」ってあるけど、これが理由です。犬好きにはきついよ~~;;

 あのシーンはほんとに強烈だった。今まで観た映画のワンシーンで一番怖かった&ガチドン引きしたぐらい。もう二度と観たくない。本当に。

 リアルすぎるんだよね。ただ殺されるよりも残酷。「生きているように見える」ってのが本当に残酷。”腹を裂かれてる”みたいなのだったら、一目で「あ、死んでるな」ってわかるじゃないですか。それを一見、「あれ?なんで反応しないんだろう?」って思わせてしまうのは本当に残酷。この映画の監督、本当にサイコパスなんだと思う。最低だよ!!!

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 そもそもこの映画には、「犬/猫」とか「木」とか「妊活」みたいな、脆くてすぐ壊れそうなモチーフがいろいろ出てくるから、「展開読めちゃうな~」なんて簡単に思うじゃないですか。それをね、全部裏切ってきたんですよ。ただ壊されるとか、殺される、とかじゃない。とんでもない暴投をしてきたんです。もしくは投げてきすらしなかった、みたいなね。そういう変態的な映画なんです。それゆえ、サイコーなんですわ


 そしてこの監督はこの映画に関して、こんな説明をしています。

これはアイスランドでの話ですが、どこでも起こりうる普遍的な話です。戦争だって、そうだと思うんです。ご近所問題で起こることと多くの共通点があると考えます。この作品は、僕なりの反戦映画なのです。

https://rinjin-movie.net-broadway.com/

 これは本当に的を射た発言です。コンラウズがチェーンソーをチラつかさたり、インガが隣の庭の園芸を壊す、っていうのはミクロな視点で見ると、ただのご近所トラブルだけど、これがもし国家だとしたら、相手の出方を見る「牽制」じゃないですか。そして、木を切り落としたり、犬を殺すというのがいわゆる「核攻撃」みたいなものでしょ。壊滅的なダメージを与える、っていう意味ではね。だからこそ、ご近所トラブル=戦争みたいな構図で考えると、この映画はより一層面白くなると思うんです。

 そんな変態的な映画、あなたもどうですか。

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