B級映画かと思いきや、メッタメタのメタ映画!!【ギャラクシー・クエスト】
この『ギャラクシー・クエスト』という映画、以前からツタヤ発行のアニュアルマガジンなんかで、いろんな人がおすすめしてたんで、すごく気になってはいたんですが、ずーーっと後回しにしてきました。
それはなぜかというと、どれだけ面白い面白いと言われても信用できないこのチープさ加減。わざととはわかっていても、それを耐えられるか心配なほど。やっぱりSF映画でチープな作品って見てられないじゃないですか。実際、宇宙の戦闘シーンはほとんどないうえに、20年以上前(当時)の『スター・ウォーズ:エピソード4』よりもチープと言ってもいいぐらい。ただね、そんなチープさを吹っ飛ばすほどの出来でしたよ。解説行きましょう。
まず、この映画、メタ映画としての重層性がものすごい。当然、これは『スター・トレック』のパロディ映画。そこがまず一つ目のメタレイヤー。次に、名俳優たちにくだらない演技をさせているところ。これが二つ目のレイヤー。アラン・リックマンやシガニー・ウィーバーなんかは当時から名優だったし、主演のティム・アレンも舞台俳優として活躍していたベテラン。それをわざとこういうチープな役柄にあてはめたのも、現実における、俳優たちがフランチャイズ作品で同じ役を長い間やっていることに対しての批判としても受け取れる。まぁ、アラン・リックマンは『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ役を10年間務めたわけだけども…(笑)
そしてシガニー・ウィーバー演じるマディソン少佐が、「指令を繰り返すだけの役柄」というあまりにも皮肉的なものを背負っているのもすごくメタ的であると思う。重要な役割を担わせてもらえない女性像を表象している。あと、ダリル・ミッチェル演じるダリル大尉は、唯一の黒人キャストだけれども、最後の戦いに参加させてもらえず、「船の操縦の練習をしてろ」と言われるのは、白人ばかりが映画で目立っていた時期を皮肉的に表現していると評価できる。これはジェンダーと人種差というレイヤーだ。
そして最後に挙げたいのは、メタ発言が特に多いということ。キャラクターの名セリフを何度もファンの前で言わされる&聞かされることに嫌になっているというのもマー〇ル作品などの俳優の中ではあるあるだろうし、シガニー・ウィーバーが絶対絶滅の危機から逃れたときに「この脚本書いたやつ、殺してやる!!」と叫ぶシーンはもう説明不要のメタ具合だ。そして最後に挙げたいのは、サーミアン人たちが『ギャラクシー・クエスト』のドラマを、本当にあったドキュメンタリーとして見ていたこと。これも現代における、「SF映画の神話化」を描写していると思う。当時からしたらかなり先進的だったのではないか?
その他にも、作中キャラクターとファンの恋愛関係とか、作中の出来事が現実になるとか、オタクが世界を救うとか、そういうSFファンが目を輝かせるようなことが次々と起こってしまうような、そんな魅力がふんだんに詰め込まれた傑作であると思います!おすすめです!
また明日~~
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