『本当の私よ、こんにちは』
表題の本を再読したので、感想を記します。
前回読んだときは入院前の混乱時だったためあまり記憶に残っていなかったのですが、今回の再読でいろいろと発見がありました。
1.“中指ビンゴ”で簡単に無意識アクセス!
本書はFAP初級講座で教わる内容が書かれているとのことですが、最初にして最大の技がこれ。「心に聞く」の簡易版ともいうべき技法で、何か知りたいことを質問して聞き手の掌をブラブラするだけ。それで中指が曲がったり突っ張ったりといった反応を示せばYES、何の反応も無ければNOというもの。
怒りや不安といった感情に内臓が反応することから発見された手法で、それなら内臓と繋がっている指先でも反応を見れるのでは?という仮説の上に成り立っています。聞けることはその日の昼食から片思いの相手の気持ちまでなんでも(後者は少し技が要ります)。ただし、宝くじの当たりくじ等のズルは聞けないとのことでした。
FAPカウンセリングではカウンセラーの方々が手をブラブラ振っている場面に遭遇しますが、それはクライアントの本当の悩みを特定するためにこの“中指ビンゴ”で見ているから。主観や巻き込まれを排除する目的で行われているようです。
私も“中指ビンゴ”を試していますが、本当に反応があるから面白い。ちなみに大嶋先生の動画によると親指や薬指が反応する方もいるようですが、私は中指しか反応しません。この方法を友人にも伝えましたが、その友人もこれはという質問で中指に反応があったとのことでした。
コツは“適当に楽しんでやる”こと。真剣にやって指が曲がらないとかあまり反応しないとかこだわりすぎず、ラフな気持ちで適当にやってみて少しでも反応があればビンゴ!と見て良いようです。
2.トラウマも除去できちゃう!?“指押し”
これが本書第二の技。大嶋先生が発見してしまった怪しげな?技法です。
例えば許せない人がいるとします。そんなとき、手の小指の爪の生え際を押さえながらその人を思い浮かべて「◯◯さんが気になる」と頭の中で4回唱える。終わったら「◯◯さんがムカつく!」と頭の中でつぶやく。小指が象徴する感情が当たりだったらその感情が鎮まる。鎮まらなかったら人差し指、中指、小指…と試していきます。これが“指押し”です。本書には指押しで感情が鎮まった症例もいくつか紹介されています。
この“指押し”には合わせ技があって、原因が複数のトラウマが折り重なったものの場合、指を特定の順番で押さえていく(例えば中指→薬指→小指の順)ことで症状を緩和できるとされています。自分が何のトラウマかわからない場合のために、本書には「トラウマ感情のパターン表」も付いており、それぞれを指差しながら中指ビンゴで調べられます。中指が反応したらそれがあなたのトラウマ、となります。
ちなみに私はこの“指押し”がうまくできませんでした。今までFAPを受けてきた中でやったことがないというのもありますが、慣れというか練習が必要なのかもしれませんね。
3.「呼吸合わせ」と組合せて、実践初級FAP!
本書には最後のほうに、大嶋先生が催眠療法から学んだ「呼吸合わせ」と中指ビンゴ、指押しを組み合わせて負の感情を除去していく方法が紹介されています。これが初級FAPです。
2人ひと組で実践するのが望ましいとされていますが、そんな簡単に相手は見つからないですよね(笑)でも大丈夫、1人でも誰か気になる相手を思い浮かべて実践するやり方も記載されています。心理療法ってプロでもない限り密やかにやるものだと思うので、私は後者のほうが練習としては実践的かな、と思っています。
ちなみにこの「気になる相手を思い浮かべる」やり方を使うことで好きな人の気持ちを知るなんて技もできちゃいます。詳細はぜひ本書でご確認ください。
なお、「呼吸合わせ」については本書でも触れられていますが、大嶋先生単著の『無意識さん、催眠を教えて!』と『催眠ガール』を読んだほうがわかります。『無意識さん、催眠を教えて!』は本書とほぼ同時期に刊行されており、セットで読むことを想定されたものでしょう。気になった方はぜひ合わせてお読みください。
4.信じなくて良い
こう書くと何か否定するようにみえるかもしれませんが、FAPを実践するときの心持ちのコツ、それは半信半疑です。半信半疑で「本当に効くのかな?」と思いながらやることで思わぬ結果が出ても柔軟に対応できるし、自分を苦しめているのはこれ!という思い込みから解放されます。トラウマって意外なことだったりするんです。
5.終わりに
本書を通読した感想として、ひとまず“中指ビンゴ”を習得できればそれだけで読んだ価値があるかな〜と思っています。“指押し”や合わせ技(初級FAP)は(少なくとも最初は)FAPの資格を取得した治療者の方とやったほうが良いです。
「心に聞く」は大嶋メソッドの代表的なものですが、これって私の経験則からいってもなかなかうまくできないんですよね(ちなみにFAP上級に位置付けられる技のようです)。でも中指ビンゴなら誰でもできるので、ひとまずこの技を習得されることをお勧めします。コツは適当に、楽しくやること!本書では昼食選びから練習することを奨励しています。本当の自分がどうしたいか、これがわかるだけでも生きやすさは変わるし、世界が違って見えてくると思うんです。大嶋メソッドの中核は“無意識(その人の本音)”ですが、中指ビンゴで無意識と繋がり、無意識の自動運転に委ねてみましょう。
本書はFAPの技を一般公開した画期的な書です。FAPに興味がある方からプロを目指す方まで、ぜひ手元に置いておきたい一冊。少し専門書風ですが読みやすさは損なわれていないので、大嶋メソッドに興味のある方は一読されてみてはいかがでしょうか。