企業の不祥事と内部監査
企業の不祥事は、必ず起きると思っています。
事の大小でいえば、表面に出てこないだけで不正は毎日の様に行われていると思います。
その中で、報道や行政処分などとなる大きな不正が、不祥事と言う事かと思います。
製造業ではここ数年、自動車の認証検査不正についての報道が続きました。
なかには、トヨタグループの日野自動車、ダイハツ工業、トヨタ自動織機などで行われていた認証検査不正、さらにトヨタ車体でも同様の認証検査不正が明らかになり、その後の国土交通省の立ち入り検査で新たな不正が発覚したりしたことで、道路運送車両法に基づく是正命令が国土交通省から発令されたりしています。
また、損害保険大手4社が企業向け保険の保険料を事前に調整していたとして、金融庁が4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)に対し保険業法に基づく業務改善命令を出したりしています。
最近では、証券取引等監視委員会(SESC)による野村證券に対する課徴金納付命令の勧告があります。
こちらは、日本国債の先物取引で相場操縦をしたとして、証券取引等監視委員会が野村証券に2176万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したというものです。
実際に取引を成立させる意思がないのに大量に売買注文を出す「見せ玉」と呼ばれる手口で不正に価格を操り、利益を得ていたとしています。
SESCは「証券会社は市場のゲートキーパーとして、市場の公正透明性の確保に努めなければならない立場だ」と指摘。
今回の相場操縦について「証券会社の信用を失墜させる重大な行為であり、各証券会社に法令の順守と市場のゲートキーパーとしての責務を全うすることを促す」(日経新聞記事)と強めに指摘しています。
これを受け、野村證券のホームページでは「本日の証券取引等監視委員会による勧告について」として、プレスリリースを公表しています。
また、その中で「当社は当該取引以降、国債先物取引業務の見直し等に取り組んでまいりましたが、このたびの勧告内容を踏まえ、法令遵守体制および内部管理体制のより一層の強化・充実を図り、このような事態が生じないよう再発の防止と信頼の回復に努めてまいります。」とコメントしています。
国債の先物取引をめぐる金融機関による相場操縦が問題となったのは4例目との事です。
過去の事例を、自社の内部統制構築や、社員研修などに活かすことが出来ていなかったのかなぁと思います。
企業不祥事に対し、内部監査はその役割を果たしていたのか?
内部統制の有効性を評価し、マネジメントに対し適切な報告が出来ていたのか?
隠ぺい体質とか、経営陣に忖度するとか、企業文化・風土の問題と煽ることがありますが、早晩、その様な企業は市場からの退場を迫られる事になるでしょう。
少なくとも、内部監査部門がステークホルダーに代わって、企業の経営目標達成るために、リスクマネジメントやガバナンスプロセスの観点から業務の実施状況や組織を評価・報告・助言することが、サステナブルな企業経営の一助になると思っています。
本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。