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堂本光一は既に再び走り出している…★劇評★【ミュージカル=Endless SHOCK -Eternal-(2021)】

 喪失と再生の永遠のループを繰り返してきたミュージカル「Endless SHOCK」シリーズが、東日本大震災に続き新型コロナウイルスの襲来という予期せぬ危機で再びその歩みを止めざるを得なくなった後、堂本光一は2つのことに気付いたのだろう。「完璧なものができないのであれば…」と中止した東京公演から約半年後の9~10月に上演した大阪公演では、「-Eternal-」という副題を付けてスピンオフバージョンであることを明示し、物語にも手を加えた。その時、ステージ上から堂本に見えたのは、消毒など課された義務も多い中で「本当に必要なもの」として渇望していたミュージカルを楽しんでくれている観客の姿。それは「何よりもお客様がその場を成功させようとしてくれている」という感謝の気持ちにつながる。そして「SHOCK」シリーズのテーマでもある「Show must go on」という言葉には、何があってもショウを止めてはならないという意味のほかに、「立ち止まっても、再び走り出す勇気を持つことが大切」という意味が含まれていること。コロナ禍のエンターテインメントに大きな啓示を与えたこの2つの確信が堂本を突き動かした結果が、今年2月4日に東京・丸の内の帝国劇場で開幕したミュージカル「Endless SHOCK -Eternal-」だ。「Endless SHOCK」の物語から3年後に、共に夢を追い掛けたカンパニーの仲間が3年前を振り返り、永遠の存在となったコウイチもまた彼らと共に、あの出来事は何だったのかと思いをめぐらせる新たな物語の構造は、コンパクトにデザインされた回想シーンを実演で演じ、3年後に抱く思いを具体的な言葉で付け加えることによって、「Endless SHOCK」を客観的、主観的という2つの視点でとらえ直し、「今=3年後」という新たな時制を加えることで永遠のループからも自立させる効果を生んだ。3年前に登場人物がどのように感じていたかを知ることで、物語を読み解きながら「Endless SHOCK」を再び旅するような知的な冒険心も感じることができる作品に仕上がっている。「スピンオフ」と呼ばれ緊急避難的な作品のように感じるファンもいるかもしれないが、堂本自身がこの「SHOCK」という物語の新たな楽しみ方を提示したとも言え、より普遍的な作品として「Endless SHOCK」が根付いていく可能性も感じさせている。それでも物足りなさを感じる人には、昨年の帝国劇場での無観客上演の際にドローンなども駆使して特別に撮影した2月1日から公開中の映画『Endless SHOCK』も用意されている。全国の映画館での公開は2週間限定だった映画は、東京・日比谷のTOHOシネマズ日比谷ではミュージカル公演の千穐楽である3月31日までのロングラン上映が決まった。ミュージカルで映画で、堂本光一は既に再び走り出しているのだ。(画像はミュージカル「Endless SHOCK -Eternal-」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「Endless SHOCK -Eternal-」は2月4日~3月31日に東京・丸の内の帝国劇場で上演される。

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★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「Endless SHOCK -Eternal-」劇評ページ

★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのサイト「阪 清和note」で有料(ジャニーズ公演の場合は100円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。堂本光一さんや上田竜也さん、前田美波里さん、梅田彩佳さんら俳優陣の演技や舞台表現に対する批評などが掲載されています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「Endless SHOCK -Eternal-」2021年東京公演公式サイト

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