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悲しみが降り積もる夜は…★劇評★【舞台=梨の礫の梨(2018)】

 人は悲しみが心の中に深く深く降り積もって来ると、最後の瞬間にだれかに助けを求めたくなる。それは何も力強く生きられる世界にグイっと引っ張り上げてほしいとか、悲しみを忘れられるような馬鹿話をしてほしいとか、そんな明解なことではない。ただ大切なあの人に隣にいてほしいだけ…。夜のバーにはそんな情景があちこちに見える。大阪を拠点に、人間心理を深く掘り下げる戯曲を次々と発表して注目を浴びている演劇ユニット「iaku」を率いる横山拓也が2012年に女優の宮川サキとSun!!(現在は藤本陽子)からなる2人芝居ユニット「サキトサンズ」に書き下ろし、全国の多くの都市でそんなバーの一夜を2人芝居として上演してきた舞台「梨の礫の梨」を、東京・駒場東大前のこまばアゴラ劇場で、4年ぶりにオリジナルキャストで3公演に限って上演した。関西人のパワーが炸裂する爆笑必至の語りから、しみじみとした人生秘話のくだりまで、横山戯曲の中で最も奥行きの深い作品に属する「梨の礫の梨」は、観る者すべての心に温かい色合いのともしびを残していく、静かだが、忘れがたい力強さに満ちた作品となった。演出も横山拓也。
 舞台「梨の礫の梨」は5月16~28日に東京・駒場東大前のこまばアゴラ劇場で上演された「iaku演劇作品集」の中で、5月25日(19:30開演)、26日(15:00開演)、27日(15:00開演)の各日に上演された。公演はすべて終了しています。

 なお、当ブログでは「iaku演劇作品集」で上演された他の作品の劇評も掲載済みです。ぜひお読みください。
「粛々と運針」劇評
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66282722.html
「あたしら葉桜」劇評
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66282638.html
「人の気も知らないで」劇評
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66282563.html

★舞台「梨の礫の梨」公演情報=iaku公式サイト
http://www.iaku.jp/information/iaku-works2018#nashi

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阪 清和が発表したストレートプレイ演劇に関する劇評をまとめました。音楽劇を入れるかどうかはその都度作品ごとの内容を吟味して決定します。さあ…

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