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人間が心の中に抱える孤独を大切な感情として丁寧に描き込んでいる上質なアプローチに映える繊細な演技…★劇評★【舞台=新・6週間のダンスレッスン(2018)】

 相手が何を求めているか、それに気づいた時、人は優しくなれる-。たった6週間だけのダンスのプライベートレッスンが人生の中で珠玉の光を放つひとときとなる舞台「新・6週間のダンスレッスン」が連日上演されている。2006年の日本初演から草笛光子が再演を重ねてきた人気作品だが、今回は男性役に新たに松岡昌宏を迎え、しかも新演出で臨んでおり、再演というよりは初演のおもむきだ。しかし今回の公演中の10月5日に日本上演200回公演も達成するなど、その歴史をしっかりとした土台にして、新しい花を咲かせている実感がある。あらゆる世代のすべての人間が心の中に抱えている孤独を、決して無視せずいたわり過ぎず、大切な感情として物語の中にきちんと描き込んでいる上質なアプローチの上で、リリーの毅然としたプライドから可愛らしい照れまでを表現する草笛と、マイケルのチャラけているようでいて人に寄り添える才能を持っている優しさを表現する松岡の演技が絶妙なバランスで絡み合い、いつまでも忘れがたい余韻を残してくれる作品に仕上がっていた。演出は鈴木勝秀。
 舞台「新・6週間のダンスレッスン」は9月29日~10月21日に東京・大手町のよみうり大手町ホールで、10月26~27日に石川県金沢市の北國新聞赤羽ホールで、10月30~31日に福岡市のももちパレス大ホールで、11月3~4日に大阪市のサンケイホールブリーゼで上演される。

★舞台「新・6週間のダンスレッスン」公演情報
https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2018/new_6d6w/

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