日常からあふれ出す現実、真相、秘密、本音…★劇評★【舞台=人の気も知らないで(2018)】
駅近くのカフェで同僚の結婚式での余興の内容を相談するOL3人組。現代ならもどこにでもあるようなそのありふれた光景の中から、現実、真相、秘密、本音がマグマのようにあふれ出してくる。けんかしているわけではないのに、それは互いの欺瞞や矛盾や偽善を激しく突き、さらなる深みへと観客を導いていく。日常の中の対立軸を戯曲の中に持ち込んで議論を形成しつつ自然な会話の中に溶け込ませてきた言葉のマエストロ、横山拓也が率いるiakuが2012年の結成初期から上演を続け、関西を中心とした他の劇団でも100回以上の上演歴を持つ代表作のひとつ「人の気も知らないで」を再演している。えぐり出された現実が人生の選択レベルの重大さや深刻さを持ちながらも、それぞれの事情は日々の人間関係の一断面とも言える日常性も持つために、観客たちは我がことのように引き込まれ、議論の真っただ中で激しく動揺し、高揚している。この作品が俳優ら演劇人や演劇ファンにも同じように人気のある理由が分かったような気がした。演出も横山拓也。
舞台「人の気も知らないで」は5月16~28日に東京・駒場東大前のこまばアゴラ劇場で上演される「iaku演劇作品集」の中で、5月17日(19:30開演)、19日(19:00開演)、20日(11:00開演)、24日(15:00開演)、26日(11:00開演)、27日(19:00開演)の各日に上演されるが、すべての公演が完売したため、追加公演が5月22日(15:00開演)に上演される。この公演も完売必至です。お急ぎを。
なお、iakuでは東京公演の後、7月21~22日に茨城県土浦市の百景社アトリエ、7月28~29日に金沢市の金沢21世紀美術館シアター21、9月23日に静岡県榛原郡川根本町の川根本町文化会館を巡る「人の気も知らないで」ツアーを実施する。
土浦公演・金沢公演はチケット発売開始済み。静岡川根本町公演は6月1日チケット発売開始。
なお、当ブログでは「iaku演劇作品集」で上演される他の「粛々と運針」「あたしら葉桜」「梨の礫の梨」についても劇評を執筆中です。順次掲載してまいりますので、今しばらくお待ちください。
★舞台「人の気も知らないで」公演情報=iaku公式サイト
http://www.iaku.jp/information/iaku-works2018
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