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どれほどの痛み、苦しみに耐えて演技に向き合っていたか、その執念は彼の映画に対する真摯な姿勢として人々の心に永遠に残っていく…★追悼★【チャドウィック・ボーズマン(2020)2020.08.28永眠 43歳】

 生命力あふれる若き王、そして無限のパワーを秘めたブラックパンサー。鮮やかすぎるアベンジャーズ映画への登場とそれを受けての映画『ブラックパンサー(Black Panther)』での活躍により新時代のヒーローとして人気が爆発した米国の俳優、チャドウィック・ボーズマン(Chadwick Boseman)が亡くなった。30代半ばになってから演技力が認められ始めた遅咲きの俳優だが、歴史を開拓してきた実在の黒人の重要人物を演じていずれも絶賛を浴びるなど異例のキャリアを経て『ブラックパンサー』で花開いたボーズマン。2016年に診断された大腸がんという病名を公表していなかったため、ほとんどのファンや米国民にとっては突然の悲報になってしまった。2017年以降の作品には手術・治療の合間を縫って出演していたことも明らかになり、その苦闘の上に数々の作品があったことを想像させて、みんないたたまれない気持ちに陥っている。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(Avengers: Infinity War)」などで共演したクリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、ドン・チードル、マーク・ラファロ、クリス・プラットらが相次いで自身のSNS公式アカウントで追悼文を投稿するなど、俳優陣にも激しい動揺が拡がっている。『ブラックパンサー』は続編にあたる『Black Panther 2』の製作も発表されており、当然ながらボーズマンが続投するものとみられていたが、その製作がどうなるのかにさえ頭が回らないほど、茫然としている状況だ。(写真はチャドウィック・ボーズマンとは関係ありません。イメージです)

 チャドウィック・ボーズマンは米国西部時間8月28日、大腸がんのためロサンゼルスの自宅で死去した。

★続きは阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます(劇評など一部のコンテンツは有料ですが、追悼記事は無料です)

 ボーズマンはサウスカロライナ州アンダーソン生まれ。ハワード大学卒業後に英国の演劇学校に通い、2003年ごろからはテレビドラマに出演し始めた。30代になった2005年に『エクスプレス/負けざる男たち』で映画デビュー。
 黒人初の大リーグ選手、ジャッキー・ロビンソンを演じた2013年の『42 〜世界を変えた男〜(42)』や、米ソウル音楽の第一人者、ジェ-ムス・ブラウンを演じた2014年の『ジェームス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜(Get On Up)』など黒人の歴史を語る上で欠かせない実在の重要人物を次々と演じて演技力を絶賛されるなど、注目の的に。

 2016年のアベンジャーズ映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)』で初めてブラックパンサーの超能力を持つティ・チャラとして登場し、劇中では1週間後の出来事を描いたとされる2018年公開の映画『ブラックパンサー』で王となるティ・チャラを主演として演じた。

 『ブラックパンサー』はマーベル映画初の黒人ヒーロー作品として注目され、世界的な大ヒットとなっただけでなく、作品自体やボーズマンの演技に対する評価も高騰。2019年の第91回アカデミー賞では、スーパーヒーロー映画として初めて作品賞にノミネートされる快挙を成し遂げた。作品賞は逃したが、作曲、美術、衣装などの部門で受賞を果たしている。

 その後も世界観を同じくする『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: End Game)』に連続してティ・チャラを演じ続けた。

 黒人初の米連邦最高裁判事になったサーグッド・マーシャルを演じた2017年の『マーシャル 法廷を変えた男』も話題を呼び、Netflixが今年2020年に配信したスパイク・リー監督の戦争映画『ザ・ファイブズ・ブラッズ(Da 5 Bloods)』にも出演したばかりだった。

 2016年に大腸がんと診断された際はステージ3だったが、年を経るごとに悪化し、ついにはステージ4へと深刻化。『マーシャル 法廷を変えた男』以降の作品は声明によると、手術と化学療法の治療の合間をぬって撮影されていたという。どれほどの痛み、苦しみに耐えて演技に向き合っていたかは想像を絶しており、その執念はボーズマンの映画や演技に対する真摯な姿勢として、人々の心に永遠に残っていくことだろう。

 心より哀悼の意を表します。




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