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【News=速報】 小川洋子が帝国劇場題材の小説を連載へ、「すばる」3月号(2月6日発売)でスタート(2024)

 人気作家の小川洋子が2025年2月いっぱいで建て替えのため数年間休館する東京・丸の内の帝国劇場を題材とした新しい小説を執筆し、2月から月刊文芸誌「すばる」(集英社)で小説連載「劇場という名の星座」がスタートすることが分かった。小川は普段から足繫く劇場に足を運んでいるミュージカルファンとして知られているが、2022年には舞台にまつわる8編の小説を収録した短編集「掌に眠る舞台」を刊行している。新連載となる「劇場という名の星座」は2025年2月6日発売の「すばる」3月号に掲載される予定の第1回「ホタルさんへの手紙」でスタートする。亡くなった父親の部屋の整理中、「1978 IMPERIAL THEATRE」と印字されたパンフレットを見つけるところから始まる物語で、そこからある日の帝国劇場で持たれた、ひとりの観客と客席の案内係とのささやかな交流が浮かび上がってくる、という作品。
 連載の開始に当たって小川は「ラ・マンチャの男」の松本白鸚、「ミス・サイゴン」などの市村正親、「Endless SHOCK」などの堂本光一、「エリザベート」などの井上芳雄ら帝劇での上演作品の主役を長く務めてきたスター俳優に長時間インタビュー取材したのをはじめ、客席の案内係、売店スタッフ、楽屋係、団体営業係、劇場専属カメラマン、劇団東宝現代劇劇団員、制作スタッフ、稽古ピアノ演奏者、そして、出演者の楽屋と舞台をつなぐ、現在の二代目帝国劇場ならではの楽屋エレベーター係の担当者など、帝国劇場でのさまざまな仕事に励むスタッフにも話を聞いてイマジネーションを膨らませたという。
 文芸誌「すばる」は 定価 1100円 (本体1000円)。

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★帝国劇場の外観(写真提供・東宝演劇部)


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 小川は東宝を通じてメッセージを寄せ、2021年に短編『ダブルフォルトの予言』(『掌に眠る舞台』収録/集英社)を書いた時に初めて帝劇を取材し、「劇場が持つ底知れない神秘に触れ、物語の泉を見つけたような気持ちになり、いつかもっとじっくりこの題材に取り組んでみたい、という夢を描きました」ときっかけを語り、「今回、帝劇の建て替えのタイミングで、夢がかなえられ、大変光栄に思っています」と話す。
 そして、「舞台を支えるあらゆる分野の方々が、皆高いプロ意識を持ち、作品の成功のため、努力されているお姿に感銘を受けました。更には、長い歴史の中、これまで帝劇に関わってこられた方々の力が、あちらこちらにみなぎっているのを感じました」とし、「劇場は死者と生者、役者と観客が出会い、一つの世界をひととき旅する場所です。そのかけがえのなさを、小説によって描き出せたらと願っています」と連載への意気込みを語っている。
 また東宝株式会社の松岡宏泰代表取締役社長は「日本を代表する小説家である小川洋子さんに、帝国劇場をテーマにした小説を書いていただけることを東宝グループ一同、大変光栄に思っております。俳優、スタッフ、お客様が形作られた帝国劇場が、どのように描かれるのか楽しみです」とした。また、初回の「ホタルさんへの手紙」を読んで、「半世紀前の帝国劇場の客席で、温かなお客様とご一緒に、森繁久彌さんの歌声を直に耳にしたような、不思議な感覚が呼び覚まされました」との感想を抱いたことを明かし、「小川洋子さんが織りなす帝国劇場の世界を、読者の皆様にも存分にお楽しみいただければ幸いです」と呼び掛けている。

 小川は東宝が発行する「帝国劇場アニバーサリーブック NEW HISTORY COMING」(2024年12月20日に帝劇の窓口で先行販売開始、2025年1月15日から全国の書店で発売開始、税込予定価格5990円、A4変形サイズ 本文356ページ予定・オールカラー)に巻頭メッセージを執筆している。

 小川洋子は、1962年岡山市生まれで、早稲田大学第一文学部を卒業後、1988年に「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991年には「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞し、一気に知名度が上がった。
2004年に「博士の愛した数式」で読売文学賞と本屋大賞、同年「ブラフマンの埋葬」で泉鏡花文学賞、2006年に「ミーナの行進」で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞した。
 2013年の「ことり」は芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 2020年「小箱」で野間文芸賞を受賞した。
 2007年フランス芸術文化勲章シュバリエを、2021年には紫綬褒章を受章している。


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