見出し画像

カオスのような責任転嫁地獄のループ…★劇評★【舞台=消す(2018)】

 すべてのことは自分が悪いんだと自分を責めるのはとても良くないことだが、他人のせいにするのはもっと良くない。例え、他人に最初の原因があっても、そこから軌道や方向、関係性を自分が見直して行動に移せばいいことなので、結局何もしなかった自分が悪いのだ。だからって、自分を責めないでほしいが…。その点、松本哲也が率いる一人劇団「小松台東」の最新作「消す」にはそろいもそろって、今の自分の不遇や不運、不具合を他人のせいにしている人物ばかりが登場し、カオスのような責任転嫁地獄のループが起きている。それは、あるきっかけでそれを正そうとする反転した動きになるものの、その先に待っているのはさらなる地獄。みんな滑稽で、みんなみっともない、だけど、みんな抱きしめてやりたくなるほど、愛おしい。小松台東がこれまでの作品のほとんどに込めてきたえぐさと温かさは、ぐぐっとレベルを上げて、とんでもない境地に達していた。
 舞台「消す」は5月18~27日に東京・三鷹の三鷹市芸術文化センター星のホールで上演された。公演はすべて終了しています。

★舞台「消す」公演情報=公演はすべて終了しています

小松台東公式サイト
http://komatsudai.com/

三鷹市スポーツと文化財団HP
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/star/event/20180518/

ここから先は

2,767字
「不要不急」か「人生の宝物」か。そんな議論をしている暇があれば、演劇を観てください。日本の演劇はいま大きな変革期にありますが、ますます注目度が高まっていくことは間違いありません。臨場感あふれる演劇、特に俳優や劇作家、演出家の魅力がむき出しになるストレートプレイの劇評をお読みいただき、魅力を直に感じてください。収容されたスレートプレイの劇評は現在の料金777円ですべて読めますし、マガジン購入後に新たな劇評が追加された場合、追加料金なしで閲覧できます。今後値上げする可能性もあります。今がお得です。

阪 清和が発表したストレートプレイ演劇に関する劇評をまとめました。音楽劇を入れるかどうかはその都度作品ごとの内容を吟味して決定します。さあ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?