不条理に抗おうともがく私たちを舞台の魅惑の中へと引きずり込んでいく…★劇評★【舞台=誤解(2018)】
不条理劇と聞いて拒否反応を示す人は少なくない。それは理解できないもの、実際に起こる可能性の低いものをわざわざ見に行きたくないからだろう。私はこの手の拒否反応が昔から全くなくて、むしろ好んで不条理劇を見ていた方だが、最近少し怖くなってきた。そこで起きる常識で理解できない出来事が怖いのではない。その出来事がちっとも不条理に思えなくなっている自分に対する恐怖だ。それは何も舞台や戯曲の鑑賞歴を重ねているとか演劇の批評家として歳を重ねていることから来る「慣れ」ではない。現実の世界がど