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<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
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2022年7月の記事一覧

人生で初めて感じるような感情と出会わせてくれる稀有な作品…★劇評★【ミュージカル=ラブ・レター(2022)】

 言葉とは不思議なもので、「言霊(ことだま)」という深遠な考え方を持ち出さなくても、言葉そのもの自体に強い力を宿している。複数の意味を持って誰かに伝わることもあるし、時を経て意味が変化することもある。その言葉を受け取る人の数だけ意味があると言っても過言ではない。それが手紙なら、言葉の集合体だから、なおさらだ。浅田次郎の小説「ラブ・レター」を原作に音楽座ミュージカルが舞台化した音楽座ミュージカル「ラブ・レター」は、そんな言葉の力をまざまざと私たちに見せつけてくれる。一つの言葉は

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愛や恋、神への思いなどひとつひとつの感情を取り出して、もう一度磨き上げたようなビビッドな作品に…★劇評★【ミュージカル=ガイズ&ドールズ(2022)】

 井上芳雄! 明日海りお! 浦井健治! 望海風斗! 田代万里生! これがダブルキャストではないプリンシパル俳優たちだなんて。なんという贅沢感か。しかも、今ハリウッドで最も注目されている演出家、マイケル・アーデンの直接の演出、エイマン・フォーリーの生き生きとした振付、デイン・ラフリーの舞台装置。しかしこうして最高のキャスト・スタッフでできあがった作品は、ミュージカル中のミュージカルと言われる「ガイズ&ドールズ」をガラスの陳列台に押し込めた近づきがたい高貴な美術品のようにするので

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