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<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
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2021年8月の記事一覧

少年王の不器用さもさらけ出す人間的造形の浦井健治と、時代を超えた慈しみ表す木下晴香、朝夏まなとの熱演もあってますます深み増したミュージカルに…★劇評★【ミュージカル=王家の紋章(浦井健治・木下晴香・大貫勇輔・朝夏まなと・前山剛久・大隅勇太出演回)(2021)】

 タイムスリップものを創作する際に重要なのは、実は時代設定が「変化の時代」であるかどうかだ。外からの訪問者がたとえ新しい技術や知識をもたらす「進化の神」のような存在であっても、変化を受け入れない権力者や社会であっては、単なる異物として排除されたり、施政者を惑わせるために送り込まれた間者(スパイ)と思われたりするのがオチだ。その点、1976年から連載が続く姉妹漫画家ユニット「細川智栄子あんど芙~みん」による漫画「王家の紋章」を原作にミュージカル化された「王家の紋章」では、現代の

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古代へのリスペクトがミュージカル化成功の秘密、海宝直人のまっすぐな歌唱力と神田沙也加の多彩な表現力が貢献…★劇評★【ミュージカル=王家の紋章(海宝直人・神田沙也加・大貫勇輔・新妻聖子・前山剛久・大隅勇太出演回)(2021)】

 歴史には進化の加速度が不可解なほど急激にアップしている時期がある。画期的な発明や天才の出現などによるものとする解説は多いが、文明の先達である未来人なり宇宙人なりが、その時代に降り立ち、新しい技術や考え方を教えたと解釈する方がさまざまな物証や傍証の説明がつきやすい時がある。もちろんすべてがそうだとは限らないだろうが、タイムマシンは未来永劫発明できないとは誰も言い切れないし、発明されていれば過去にはいくらでも行けるはずだ。そして宇宙にはわれわれ地球の人類的には古代の時代であって