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2020年11月の記事一覧
ギャグや物語の展開にも批評精神やアイロニーが満載。逸脱しても物語を成立させる大野拓朗の演技が秀逸…★劇評★【ミュージカル=プロデューサーズ(大野拓朗出演回)(2020)】
ショウビジネスの世界は厳しい。日本ではまだまだそんなことはないが、米国では出資者を募るところからスタートし、キャストやスタッフを決めて脚本や譜面が出来上がってもゴールではない。稽古を続けながらも出資者の厳しいチェックが入るし、詳細な情報も求められる。時には脚本に手を入れたり、出演者を差し替えたりすることも。主演俳優が交替することだって珍しいことではない。プレビュー公演は日本のように本公演の直前に数日間行うだけでなく、1カ月以上にわたることもしばしば。ここで次に進めるかが決ま
エンターテインメントの闇と愉悦にどっぷりと浸かった幸せな3時間。表情がくるくる変わる吉沢亮の豊かな表現力が大入りの会場を沸かせている…★劇評★【ミュージカル=プロデューサーズ(吉沢亮出演回)(2020)】
ショウビジネスの世界は厳しい。日本ではまだまだそんなことはないが、米国では出資者を募るところからスタートし、キャストやスタッフを決めて脚本や譜面が出来上がってもゴールではない。稽古を続けながらも出資者の厳しいチェックが入るし、詳細な情報も求められる。時には脚本に手を入れたり、出演者を差し替えたりすることも。主演俳優が交替することだって珍しいことではない。プレビュー公演は日本のように本公演の直前に数日間行うだけでなく、1カ月以上にわたることもしばしば。ここで次に進めるかが決ま
水樹奈々のポップな感性あふれる歌唱の数々は一音一音を大切にしてきた彼女らしいレベルの高い出来上がりになっていた…★劇評★【ミュージカル=ビューティフル(水樹奈々出演回)(2020)】
作詞家の夫と共に職業作曲家として数多くのヒットナンバーを生み出した半生の前半分と、独り立ちした後にシンガー・ソングライターとして自らの心情を歌いつづった半生の後ろ半分。そのどちらもがキャロル・キングという存在を作っているのだが彼女の歌はとにかく他のアーティストにカバーされることで知られている。それは曲の上質さや歌いやすさもあるだろうが、なにより彼女の歌う届かぬ思いや幸せへの疑い、心が引きちぎられるような痛み、無償の愛など音楽に散りばめられた様々な感情が普遍的なテーマとしてそ
初演より深くなった情緒感で多彩な感情がより観客に伝わりやすくなった…★劇評★【ミュージカル=ビューティフル(平原綾香出演回)(2020)】
キャロル・キングの歌は切ない。アーティストに歌わせるために作った曲も、シンガー・ソングライターとして歌う曲も、届かぬ思いや幸せへの疑い、心が引きちぎられるような痛み、無償の愛など様々な感情が音楽に散りばめられており、私たちの心を複雑な色合いに染めていく。彼女自身の人生もまた、華やかな成功の陰で家族関係では大きな挫折も体験し、ずっと朗らかでいたわけじゃなかった。もちろん楽曲を生み出す過程では喜びと共に苦しみも引き受けることになる。こうした要素があるからだろうか、彼女自身の人生