~誰一人、金融犯罪で苦しむことがない日常の未来を生みだし続ける~金融リテラシーと口座売買
フィッシングサイト、スキミング…、こういった言葉を近頃本当に良く聞きますよね。これらは偽物のWEBサイトやツールで不正にクレジットカード情報などを入手する、金融犯罪に関わる言葉です。
セブン銀行では、お客さまが安心してATMや金融サービスをご利用いただけるよう、AML/CFT(アンチ・マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策)、すなわち、金融犯罪の未然防止に積極的に取り組んでいる『金融犯罪対策部』という部署があります。
今回は、金融犯罪対策部部長の島田さんにお話を聞きました。
様々な枠組みを超えて協働している金融犯罪の防止対策
―金融犯罪対策部ではどのような取り組みをしているのですか?
金融犯罪対策部では、日々銀行口座の利用状況等をモニタリングすることで、口座売買や不審な取引きを早期に検知し、リアルタイムで口座を停止、またその情報を提携行や公的機関に連携するという組織的な態勢を整えています。セブン銀行口座だけでなく、セブン銀行ATMにも異常取引きの検知機能を備えていて、そちらも活用しています。不審な取引きを検知した際は社内の各部署や子会社であるACSiON、BBFとも連携し、犯罪防止の体制をセブン銀行グループ全体で行っています。
―ほかにセブン銀行独自の取り組みはありますか?
現職の警察官や提携金融機関の金融犯罪対策担当の方を、3ヶ月~1年ほど研修生として当部へ受け入れています。これまでに、警察官は7名、提携行は千葉銀行や広島銀行の方にも来ていただきました。
―なるほど。現職警察官の受け入れは珍しいですね。
金融犯罪対策は他社と競争するものではなく、会社や業界の枠組みを超えてノウハウや連携を密にし相互に協力することで、お客さまの財産を守れるだけでなく、日本全体の金融犯罪の未然防止につなげられるものだと考えています。その意味でも、警察や提携先との関係性を構築でき、現場の情報を直接交換できる場があることは非常に重要です。
―セブン銀行の金融犯罪対策の成果につながっている実感はありますか?
様々な取り組みにより、全国の警察や国税局、弁護士会などの公的機関からの要請に対し、年間9万件以上の協力を行い、金融犯罪の摘発に貢献したとして感謝状をいただいています。そのほか、社員が自ら考え実施した取り組みによってATMの出し子の摘発・逮捕に貢献した事例もあるんですよ。
ー素晴らしいですね!
子どもたちへの金融リテラシー教育がカギ
―残念ながら金融犯罪対策はいたちごっこだと聞いたことがあります。最近の傾向について感じていることは何ですか?
子どもたちへの金融リテラシー教育の重要性は強く感じています。特に知って欲しいのは口座の売買ですね。キャッシュレスがこれだけ普及し、決済手段が多様化したことで、従来の現金と比べてお金の価値を感じられにくくなっています。SNSの普及や成人年齢の引き下げとも相まって、子どもたちを取り巻く金融環境はどんどん変化してきているのに、それを教える場がまだ少ないと実感しています。
―実例もあるんですか?
口座売買は、口座を買った側はもちろん、売った方も罪に問われます。さらに、犯罪に利用された口座は停止され、その他の金融機関でも口座開設ができなくなる可能性があります。ですが、悲しいことに、口座売買が犯罪であることを知らない子どもが多く、結果SNSなどで手軽に高収入を謳い、バイト感覚で口座売買をもちかける犯罪に巻き込まれてしまうケースが非常に多いんです。
―将来にわたって大きな影響が出るのですね。「知る」ということが重要だと思いますが、セブン銀行ができることはあるのでしょうか。
今回、平塚市立金旭中学校にご協力いただき、中学校1年生約200名の生徒さんに、セブン銀行金融犯罪対策部メンバー4名で金融教育、金融犯罪教育の講義をさせていただきました。まだ銀行口座を親が管理し、ATMを使ったことがない生徒さんがほとんどです。まずは「お金についてのお話」というテーマで、お給料でもらえる金額や私自身のライフプランを紹介しながら、お金の重要性についてお話ししました。また、新NISAで注目が高まっている「貯蓄と投資」についても紹介し、最後に「口座売買」に関する啓発をしました。金融犯罪の事を知ってもらうためには、まずお金について知ってもらわないとですからね。
金融教育講演をやってみて
―生徒さんや先生の反応はいかがでしたか?
質疑の時間には「なぜ物価が上がるのか」「なぜお給料が上がらないのか」「そもそもお金とはなぜ生まれたのか」など根本的な質問をもらいました。また、インタビューに答えてくれた生徒さんからは、「単語や言葉が難しかったが、図がたくさんあってわかりやすかった。」「NISAについて勉強してみたい」という感想をいただきました。中学校1年生には少し難しい内容でしたが、お金や口座管理の重要性について、少しでも興味をもってもらえたら嬉しいです。一方で先生からは「ライフプランを立てる授業はできても、お金に関しては教員からの説明が難しい」という現場の課題を伺いました。今回初めての経験でしたが、内容をブラッシュアップし、より分かりやすい内容で今後も継続していきたいです。
セブン銀行には、「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」というパーパスがあります。金融犯罪対策部では、日々金融犯罪と真剣に向き合うなかで、「誰一人、金融犯罪で苦しむことがない日常の未来を生みだしていきたい」と考えています。
―お金についての基本を教育していくことで、金融犯罪への知識もセットで覚えてもらう取組みだったんですね!取材のご協力ありがとうございました!