【偶然日記#19】どうやって新品好きの僕が「中古を買おう」と決意したのか
昨日の午前中、仕事の打合せで鎌倉に行った。午後は休みを取ったので、そのまま鎌倉散策をして、どこかのカフェでnoteを書こうと思った。
鎌倉は年に一回くらい来る。昼前に来て、海沿いのレストランでご飯を食べ、散歩し、町中のカフェでお茶をして帰る。だいたい同じコース。
町を歩いていると、たくさんのオシャレなお店が目に入る。どこも良さげだが、そんなに食べられないし、飲めない。そのせいか分からないが、いつも鎌倉に着くまではウキウキしているが、帰りはどんよりしている。
「今日も鎌倉を手懐けることができなかった・・・。」
夕方、鎌倉駅のホームには、自分の力不足に落ち込み、呆然と立ち尽くす男が現れる。結局、新宿や池袋の居酒屋に行き、乾いた喉を癒やすことになる。鎌倉恐るべし。
ところが、昨日は大丈夫だった。なぜならガッカリするほど長くはいなかったから。ズルしました。。昨日は暑すぎたので鎌倉駅の周りを30分くらい歩き、早々に切り上げた。ただ、東口の改札に入る直前に踵を返した。ちょっとだけでも爪痕を残そうと思ったからだ。初めて、駅前の「銀のすず」という喫茶店に入る。
喫煙席に座ると、昭和なレトロな雰囲気のお客さんたちが愚痴を話している。
「ほんっと、あの子つかえないのよね」
「あっ、そうなんですか」
「昨日だって夜9時に電話したら誰も事務所にいないんだもの。ほんっと仕事しないんだから。自分が請求書をどっかやっちゃったって言うから、代わりに作ってあげたのに、ほんっと。」
「それは困りますねぇ」
「そうそう、大野さん、こんど銀座でお店開くんですって。私、お呼ばれしたから行って来なきゃ。あの方はほんっとビジネス上手よね。もう次々と事業を立ち上げるんだから。上品だし、もうほんっと」
「大野さんすごい方ですよねぇ。あっ、すいません。今日も時間いただいて、ありがとうございました。そろそろお時間大丈夫ですか。」
「いいのよ、いいの、あらっほんっと。そろそろ戻らないとね。その前にね、私、お手洗いに行ってくるわ。」
女性がトイレに立つと、相手の男は抜け殻のようになり、煙草を吸っている。こんな力関係の組み合わせが2、3もいる。話が気になって、全然集中できない。結局、アイスコーヒーを飲むだけ飲み、お店を出た。
爪痕を残せたのかは分からないが、もう都内に戻ることにした。
十分ほど待つと君津行の横須賀線がやってきた。(今日は新宿にも池袋にも行かないから横須賀線でいい。)
まだ14時前、車内は全然空いている。席に座り、スマホを取り出す。東京まで一時間くらい。無意識にSafariの検索窓に文字を打ち込む
news
milieu
別に記事を読むわけでなく、ぼーっと画面を眺める。
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僕は一昨日からカメラを買おうとしている。
手元には6,7年前に買ったNIKKON D800がある。それとニコンの50mmの単焦点レンズ一本とカールツァイスの50mm一本。買ったのは海外旅行で使うためだった。
そのとき以来、ほぼ出番がない。
抜群にキレイに撮れるのだが、フルサイズ&カールツァイスでも、ボケっとナナメった写真しか撮れない。(以前の記事で書いたとおりトラウマ的苦手意識があった)それにデカいし重い。そっと静かにお蔵入りしていた。しかも会社のロッカーに。。
ところがnoteを書き始めて、文字だけだと物足りないし、note編集部の「ヒント」にも写真を添えた方が良いと書いてある。ので、note用に使うようにとりあえず撮ってみるかとiPhoneで撮り始めた。キレイに撮ろうと思うと気分が固くなるから、キレイに撮ることは気にせずに、撮りたいと思う瞬間を大切に「パパッと撮ろう」ということだけ心がけた。
あとで写真フォルダを見てみると、
やっぱり、、、ダメ?と思った、、
ブレてる写真がたくさん。それは、構えて撮るのが恥ずかしいので、歩きながら「レンズをチャッと向けて撮っ、しまう」みたいな感じなので、そうなる。特に夜撮ったやつはほとんどそうな上に、めっちゃ粗い。
だが、気づいた。ん、ん、このnoteのテーマは「ブレてるところがブレてない」。だから、これで良いんじゃないか。さらに記憶のデトックスの記事でも書いたことを踏まえて、どうせだったらもっと加工しちゃえと写真をイジってたら、なんか楽しくなってきたのだ。
ということで、iPhoneじゃなくてカメラで撮りたいな、と思い始めた。いつも色んな機種に迷った挙げ句に検索疲れで頓挫することが多いので、今の憧れ、カッコいい塩谷舞さんの真似をすることにした。そこで「塩谷舞 カメラ 買う」とかで検索すると、twitterで「6~7万でオススメのカメラを教えて欲しい」というツイートが上がっていた!
あっさりとRX100 m3ということが分かった。その上でRX100を調べてみると、コンデジなのにレンズがカールツァイスで、24-70mm、これは全てを具えている。検索疲れに至る前に機種が超確定した。
しかし問題がひとつ。先週、フジファブリックの限定DVD BOXセット「FAB BOX Ⅲ」を買ってしまった。2万円。。お金がない。でも買いたい。D800を売るしかないのだが、今どき5万円も行かないだろう。
RX100 m3は定価で7万円近く。値引きされて6万円。中古だと5万円。僕は中古をあまり買わない。理由は、第一子だからだ(多分)。お古になれていないので、「もし状態が悪かったら、どうしよう」と怖いのだ。それにやっぱり新品感は所有欲をより満たしてくれると思っているのだ。そして、所有欲を満たして、それで終わりということも、これまで散々ある。
もう僕も大人にならなければならない。月末にはキャンプにも行く。お金がない。
RX100 m3 中古か、、いや新品、、いやお金、、中古、、中古、やっぱ新品、、、
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鎌倉からの帰り道、空いた横須賀線の車内で座っている。ぼうっとスマホの画面を読むわけでもなく眺めている。
そのとき僕はこの「偶然日記」のことを思い出した。
必然的な時間のなかで過ごす毎日。システマチックな必然性。必然性に慣れてしまうと、偶発的なものを不快に感じ、無意識に排除したくなってしまう。それは人間の心や野生の思考から遠ざけることにつながる。だから、そうならないように、日常のなかに積極的に偶然性を取り込みたいな、と考えた。それを記録してみようというのが、「偶然日記」のテーマだ(一応)。
偶然性という基準で考えるならば、「新品」よりも「中古」の方が偶然性が高い。「新品」を買う理由は、もうなくなった。
待ってろ「中古」。中古LIFEの幕開けだ。
Thank you, 偶然日記
(「えっ、大げさすぎでしょ」とは、僕によくみんなが言う言葉だが、勇気をもらうために大冒険に仕立て上げなきゃならないほど、自分のなかでは大ごとなのだ。さぁ、その勇気を持って、いざ中古を買いに行こう!)
※次回の「偶然日記」は8/11予定。「偶然日記:今の日常を綴る」と「雄手舟瑞物語:青い鳥を探し続けた男が見つけたもの」を毎日交互に掲載しています。明日は「雄手舟瑞物語」です。
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