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A new definition for museum?(新しい博物館の定義?) from ArtReview

(追記:2019年12月31日)
元は8月25日に投稿した記事。なんでこの記事が気になったかと言うと、自分は「定義」というものを好むらしいからで、さらに好きなアート、美術館、博物館の定義だから尚更に気になった。

どうやら博物館の新しい定義とは、多様性やアクセスする権利を担保し、課題や対立について認識し、過去と未来についてクリティカルな対話ができるようなプラットフォームしていこう的なものらしい。これに対し、こんな分かりにくいのは定義とは言えないとか、博物館を定義すること自体が画一的であり、多様性に欠けるものだという批判の声が上がっているらしい。

両者に言いたいことは分かるけど、それを引っくるめて対話して行くのがこれからなのだろう。みんな目指す場所は同じで、同じだけど違う。グローバル化でそれが見えちゃった。博物館も宗教も同じということですな。

(2019年8月25日)
今日は1949年にロンドンで創設された現代アート雑誌から「A new definition for museum」(2019年8月20日付)というタイトルの記事を紹介します。

<以下、引用>

7月にthe International Committee of Museums (ICOM) (国際博物館会議)は、博物館の性質に関する新しい定義について投票を行うことを発表し、現行の定義はもはや「21世紀の複雑さや現在の責任、博物館のコミットメント、および将来に対する課題とビジョンを十分に反映し説明できるものではない」と述べた。しかし現在、24カ国に渡る支部(カナダ、フランス、ドイツ、イタリアを含む)がその新しい定義について投票の延期を要求しており、反対の提案を提出したいと考えている。博物館に共通の枠組みや専門的な議論の場、博物館や文化施設の遺産やコレクションに疑問を呈したり称賛を与えたりするためのプラットフォームを提供している組織であるICOMは、次の新しい定義を選択した。

博物館は、過去と未来についてクリティカルな対話を行うための民主的、包括的で多声性的な空間である。博物館は、現在の対立や課題を認識し、対処することで、社会からの信託を得て工芸品や標本を保有し、将来の世代のために多様な記憶を保護し、遺産に対する全ての人々の平等な権利と平等なアクセスを保証する。

博物館は営利を目的としない。博物館は、参加型で透明性を持ち、多様なコミュニティと積極的に連携して、収集、保存、研究、解釈、展示、世界に対する理解の改善を行い、人間のの尊厳と社会正義、世界の平等と地球の幸福に貢献することを目指す。

各国の支部は新しい定義に関して提案を提出するように、それぞれ促されたが、選択された案は、次のような声明の中で異議を唱えるICOMのメンバー間で強い反発を引き起こしました。「その定義は、博物館の機能の重要性と有形及び無形の遺産との関係性をもっと強く主張すべきである。それらは、他の文化施設とは極端に異なる性格のものである。」

この決定は、ソルボンヌ・ヌーベル大学(パリ第3大学)のFrancois Mairesse教授によって、次のようにさらに批判された。なお、教授はthe International Committee for Museology(ICOFOM)の委員長も務め、今夏にICOMを辞任した。

「定義というものは本来、対象を特徴づける単純かつ正確な文章であり、これは定義とは呼べず、流行的な価値観に基づくステートメントで、複雑極まりなく部分的には常軌を逸している...ルーブル美術館を始めとするほとんどのフランスの博物館は、「多声的な空間」と自分たちを見なし、この定義に対応していくことは困難である。これが今後与える影響は深刻なものになる可能性がある..それは博物館の驚くべき多様性を考慮に入れていない。それはたった一つの種類の博物館を目指せと強要するのは悲惨なことだ。もしICOM長年統治してきたコンセンサスを投票が破壊することになったら、この組織は弱体化が深刻に始まるだろう。

投票が行われる第25回ICOM総会は、9月1~7日に京都で開催される予定である。

引用元:Art Review(翻訳:雄手舟瑞)

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