自伝15
ある時、私は事件を起こした。
掃除の時間、落ちていた星型のキラキラしたヘアピンを拾った。
私は何も考えずに頭に着けた。
少し経ち、同じヘアピンを探しているとクラスメイトの女の子が私の元に尋ねてきた。
ふたつでひとつのセットで、その片方を無くした、ちょうど私の頭に着いているものと同じだと。
私は、これはこの子のだ。返さなきゃ。と、頭では理解していたものの、何故か、「知らない。これは私のだ」と一点張り。
帰宅して学校から家に電話があった。
そうして母に事が伝わった。
母は電話でやり取りをし、そのヘアピンと同じ新品を購入し、私とそのお宅へ謝りに行った。
そして母は私にこう言った。
「二度と嘘をつくな。次嘘をついたら引っ越す。転校する。ここに住めなくなるからな。」
今思うと、もっと他の言い方や伝え方があっただろうにと思うが、子育てもそんな完璧にはいかないだろう。
私は学校も好きだし家も好きだった。
母からかけられたその言葉に怯えて、暫く暮らした。
嘘をつくだけでなく、何か失敗をしたり怒られるようなことがあれば私はここに住めなくなる...そう感じて過ごしていた。