朝井リョウさんの『スター』を読んで、今のクリエイティビティって⁉️
最近の読書は朝井リョウさんの『スター』と、マシュー・D・ラプラントの『老いなき世界』。
後者は2022年を見据えた出版物の資料としてサクッと読めましたが、朝井さんの本は刺さる言葉がいくつかあって、速読みの私が4日ほどかかりました。
主人公は、学生時代に新人の登竜門となる映画祭のグランプリを受賞した、ふたりの22歳男子です。
「質のいいものに触れろ」と子供の頃から育てられた熟考型と、勘の鋭いアーティスト型のふたり。前者は難関の高名な映画監督(明らかにモデルは大林宣彦監督)に弟子入りし、後者はYouTuberの道を選びます。
どちらが次世代スターになるのか?
100%を目指すのか、クオリティの時代でなく質より量なのか、信じるものを揺るがす"悪い遺伝子"に巻き込まれていくのか、心をなくすのか。。。
私自身もクリエイティビティとは何かを問われ、読んでいて何度も立ち止まりました。しかし、私の編集、出版プロデュースという仕事は、言わば第一次産業ではなく、第二次産業。時には第三次産業的要素もあるので、より良いものにするためにバジェット、進行を考え、上下左右のコミュニケーションに心を砕きます。『スター』の中では、微妙な立場かな(笑)。
また、価値観の変化がますます激しくなり、巨額の配信収入を得るNetflix作品が伝統的な映画会社を制し、アカデミー賞にノミネートされる時代。22歳の主人公たちだって、学生の後輩に「ちょっとだけ古いっすね。あっ、古き良きと言うべきか」なんて言われてしまう時代。
学生時代に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞、23歳では『何者』で直木賞を(男性としては)最年少で取られた朝井さんは、まだ31歳ですが、いろいろ悩み、手探りしながら前進しているのだろうな、と思わされました。題材はいつもTwitterやYouTubeなど今時ですが、真摯でクラシックな作家だと思います。
集英社のコネを使い(笑)、サッポロビールの仕事で短編をお願いしましたが、「仕事が詰まっているので1週間ほど締め切りが遅れるかもしれません」とおっしゃったのに、結果、1週間早く原稿が上がったのが非常に印象に残りました。
この時代をどう生きたらいいのだろう。この世界とどう向き合うのか。
あーあ、私もつべこべ言わず、サッサとiPhone12Proを予約しなくっちゃ。それも、大事です。