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できるとできないの間に、できるけど疲れることがたくさんある
「できるとできないの間に、できるけど疲れることがたくさんある」
Xの発達障害関連のポストでよく見かける言葉ですが、元は愛知県の精神科医・吉川徹先生の言葉ですね。
ちなみに、このリタリコ発達ナビのライターはヘラルボニーの桑山知之さんです。(大尊敬)
ぼくは去年まで特別支援学校の先生をやっていましたが、「発達ナビでコラムを書きたい」と思って、リタリコの中途採用の面接は二回受けたことがあります。二回とも落ちました。そのときはライターという職業について全く理解していなかったです。発達ナビでコラムを書くには、リタリコの採用は逆に遠回りな気がしています。
さて、吉川先生はこう言ってます。
「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」
ぼくの場合、大勢の前で話す場面で「できるけど疲れる」を痛感します。
特に、初対面の人たちが集まり、テーブルを囲み、フラットな立場で会話を交わす場面です。講演のように1対複数に向かって話す場面はもっと苦手。できないし、疲れます。
ぼくは、相手の表情やわずかな仕草が見えすぎてしまう特性があると感じています。
気まずそうにしている人がいれば、その雰囲気を和らげようと話を振ることもありますし、司会進行の役割を担うことも少なくありません。そういう気を遣ってしまいます。人の役に立てているという実感もありますが、終わった後は決まって、頭の中が飽和状態になり、ぐったりと疲れ切っています。
「あの言葉、変じゃなかったかな」
「誰か気を悪くしていないかな」
話し終わった後も、そんなことを考え、ひとり大反省会を開いてしまうのです。
ぼくは去年まで特別支援学校の先生をしていたんですが、その時にも、たびたび感じていたことでした。
職員室での会話もそうですし、大人数の前で授業をすることも同じでした。もちろん、話す技術は練習すればある程度向上しました。ですが、それでも人前で話すたびに、反省の気持ちがつきまとい、心が消耗していきました。
一方で、一対一のコミュニケーションは、驚くほど心地よい時間です。
目の前のたったひとりの人に集中する。
ただただ耳を傾け、表情や声のトーンの変化に敏感になって、慎重に言葉を繰り出す——
「できるけど疲れる」ことばかりを繰り返してきた人生の中で、ようやく「できるし疲れない」ものに出会えたのが、一対一の対話という仕事でした。
特別支援学校や、特別支援学級に比べて知名度が低すぎる「通級指導教室」。主に、発達障害や学習障害のある生徒の1対1の支援をする場です。
中学校でこの担当をした3年間は、自分にとって「できるし疲れない」をとことん味わった経験でした。
ちなみに、ぼくの体感で8割以上の生徒が、家族や友達の人間関係で悩んでいました。そのうちの数名は、児童相談所や児童精神科と連携しながら対応していました。いま思うと、かなり第一線で仕事をしていたなと思います。
「神経使って、大変そうですね」と言われること山の如しだったんですが、どれだけ相談に乗っても、不思議と疲れないんですよね。むしろ、人の役に立てている実感は、ぼくの生きる喜びに直結していました。
会話の満足度は「どれだけ自分の話をしたか」で決まります。
気の利いた一言や、熱のこもった言葉で奮い立たせる必要はなく、とにかく話しやすい雰囲気作りに徹していい。多方面にアンテナを張り巡らすコミュニケーションは疲れるけど、目の前の人だけに注意を向けるのは全然疲れない。こんな自分の特性を活かせる仕事はないと思いました。
いまは「パーソナル編集者」という仕事をやっています。
月1回、ZOOMでクライアントと1対1でお話をし、執筆のサポートをする仕事です。個別の支援をやってきた3年間と、使っている筋肉は変わらないなと思います。自分の特性にフィットしている、感触のいい仕事です。
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さて、このnoteはパーソナル編集者で伴走させていただいているあずさんの「3練習noteチャレンジ」という企画に参加したものです。今回で2回目の開催ですが、この企画、ほんとうにちょうどいいチャレンジですばらしいです。
なんと18名の参加があったそうで、参加者のみなさんのnoteをまとめたマガジンもあります。
またの開催楽しみにしています。あずさん、ありがとうございました!
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