遠くから近くまで、好きな間合いで買い物ができるSNS
ブランドの情報発信=広告ツールという役割でSNSを運用する方も多いと思います。受信側としては、圧迫感なく日常のタイムラインを楽しむコンテンツとしてSNSは良い距離感だなと思ったりします。
私の中でフォロー、フォロワーの関係は「お客様(予備軍)」という意識でないにも関わらず、SNS経由で受注のお問い合わせをいただくことも多く、自然と売り手買い手の関係に発展する流れが私は好きだったりします。
今回は、オフラインでの売り手買い手の関係とニュアンスが異なるSNS経由での売り買いについて。
SNSは、4th place。
SNSといえば「反応」がキーワードだと思います。
一時期インスタグラムを長くお休みした時、友人から生存確認の連絡が届きました。実際会えなくても、存在する感覚が宿るのがSNSだとしたら、人生における、家、仕事場、居心地のよいリアルな場(カフェなど)、の次、4th placeなのかなという気もします。
そこにいけば関われる心地よさのある4th placeに集い、お互いに反応したり、見守ったり。それぞれスタンスが異なっても成立するのが、SNSの良いところでもあります。
SNS経由の売り買いの利点。
見守りスタンスが大半のSNSにおいて、ダイレクトメッセージは勇気のいることかもしれません。その分、コメント欄を飛び越したメッセージにはとびっきりうれしい気持ちになります。
その中でも私に特に多いのが、購入に関するお問い合わせです。
それには理由があり、私には明確な売り場がないに加え、アクセサリーの価格も非公開のため、「欲しい」の次のアクションは「問い合わせ」という状況なのです。ご不便をおかけしながらも、SNS経由でのお問い合わせには大きく2つの利点を感じています。
1:世界観の共有
SNSは、日常的な更新によってブランドの世界観を買い手の日常に持ち込みやすく、世界観の共有ができます。それができると、お届け後の「イメージと違う」という誤差がありません。
実物確認ができない場合、これはとても大事なことだと思っています。
2:キャンセルをしても「逃げ口」と「接点」がある
価格の明記は買い手への安心の提供だと理解しながら、私がオープンにしない理由として、有名な画家が描いた絵を素晴らしいと感じるように、価格によって、自分の「好き」という気持ちにバイアスをかけてほしくないことがあります。
とはいえ価格を知った後に断るのは悪いという方もいるので、私はキャンセルはお気軽に的なことを必ず伝えます。
立派な経営者からは、自ら利益を手放すなんて!と怒られそうですが、私自身、逃げ口がないお店が苦手なのです。その点、SNSは顔を合わせないので切り出しやすいですし、今回ご縁がなくても、見守る、というスタンスに戻って接点を持ち続けることができます。
お客様のとりたい間合いがとりやすいのが、SNSなのかなと思います。
定石と自分の間。
利点はあっても、お客様対応以外にもやるべきことは多く、SNS経由の販売をメインにするにはかなり仕組みを考える必要があると思います。
SNSは情報発信、売り場は別、なのが定石です。
その方法がお客様も買い物迷子にならずに良いと知りながら、SNSから販売サイトへ誘導、ボタンをポチリ、あとはお届けをお楽しみに!という買い物の姿は私の目指している関係とはちょっと違う気がしてしまうのです。
最後のひと手間をお客様に委ねて一緒にモノづくりができるか、という記事を書いた通り、私はやっぱりお客様の気持ちに寄り添えるチャンスがあるならその接点が欲しいのだと思います。
ではお客様はどうか?というと、私が思うほどアレンジについては欲していないかもしれません。画像にない色違いを想像するのは難しく、画像のままでよいです、ということも珍しくありません。
その意思にはいつも大賛成です。お話をしながら、最後は自分で決める楽しさや様々なモノづくりの方法、買い方があるという発見を共有できたらいいなぁと思っています。
このやりとりは、対面やSNSの種類によっても違った形になるのだと思います。日常に近い気持ちや顔が見えない気軽さなどSNSならではに注目しながら、定石を大切にしつつ自分なりの可能性を探っていけたらと思います。
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