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大好きな知らないひとのはなし

 作風が無機質に近くて、作者さん本人もそんな雰囲気で、クールで謎めいていてセンスが良くて……。本質のところでとても親近感は感じるのに、全く手の届かない別世界軸にいるのかとも思うような作品を作られる方 めちゃくちゃに大好きだし、大好きなんだけどものすごく心がざわざわして、なんか引っかかってもやもやして悔しいような切ないような言い切れない感じ 何度経験してもとても苦しい なんなんだろうなこれ

 これが嫉妬なるものなのだろうか……すごく……苦しい…… 恋にしては鮮やかさが足りない、すごく灰色の気持ち 白でも黒でもないセンスの良い灰色

 恋は開けた場所に向かって風がさあっと通り抜けていくんだけど、これは先が行き止まりで中で燻ってる感じ 引っかかって転がってぐるぐるする

確かにそこにある気はするのに掴めないし届かない……すごく身近なものである気がするのに……透けてて触れられないもどかしさのような……

しんどいね

 願わくば私もそんな風に誰かの心を縛り付けたいけれど、それはまあ夢の話……

 でももしかしたら作品を受け取ってくれた誰か一人でもそんな風に感じてくれた人がいたとするならば最高のきもち

 いくら認識されなくたって同じタイプの人なら一人くらいおるじゃろと夢を膨らませ勝手に生き甲斐にしていく

 こんな感じなので、私は人の心を解放できる世界を望みながらも、人の心を縛り付けるような存在でありたいと願っている 自身も何かに縛られることを軸に息をしているし、それを苦しくも快感と感じる質だから……それを糧に生きているから、私も同じように誰かの心に傷を残して永遠に癒えない心の糧となり得て欲しいし、同じように苦しみや切なさ、やり切れなさを快感や生き甲斐とする人たちに何か感じ取ってもらえたなら、それこそたぶん、今まで無意識に目指してきたところ、目標であり理想であると思うんですよね

 単純に人を傷付けることは決して望まないけれど、人は傷付かなければ生きていることもわからないし、だから気付かないように、痛くないようにそっと小さな傷を残しておくんだ

 後からふと気付いて、一生逃れられない跡を残せるように

 ふと思い出しては、明日の糧になるように 自分と同じなのに決して届かない人がいるという事実に夢と安心感を乗せるように

 ほんと〜〜〜〜に…………性格が…………アレ…………!!!(良いとか悪いとかは人それぞれの主観によるのでどうとも言えないけど、私は同じような感覚で生きてる人のこと最高だと思う)(癖が強すぎるし一般的な人には決して理解されないので隠すしかないという意味でのアレ)

 作品と作り手とは切り離して考えるべきと言うし私もそう思うけれど、おそらくこのタイプは魂で何か生み出している(この文字列ですらも)都合上切り離せないものだよね だからあんなに惹かれて届かなくて切なくて苦しくなっちゃうんだよ そういうものなんだよ

 ちなみに無機質な作風の方以外にも、お花の中のマシュマロ椅子とマカロンクッションの間で作業しておられそうな作風の方もめちゃくちゃ好き こちらは苦しみが幾分か和らぐ……けどやっぱり何か……傷の痛みではなく白昼夢の忘却の切なさのような 例えるな猫のような、もふもふで丸くてしなやかで弾力があって、だけど爪と牙を隠し持っているような そんな感じの方 すっごく好き

 無限に恋を続けながら無限に失恋し続けて、無限に傷跡に苦しめられながらまた新たな傷を獲得していく人生 とてつもなく切なく苦しいけどこうでしか生きられない 同じような人に巡り会いたいものだけど、私たちはみんな心を閉ざしたままだ

 互いに傷付け合いながらそうやって生きていくんだ 切ないなあ

 この気持ちも明日の糧となりますように

 おしまい


2020.03.23

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setonai
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