#25 なんと春岱展は約60年ぶりだって!
土曜日から始まった瀬戸市美術館の「春岱 稀代の名工」展を見てきました(6月2日まで)。
春岱は幕末から明治に活躍した瀬戸の名工として知られる方。尾張藩の御窯屋の家に生まれ、明治10年に没するまで製作を行っています。その作品は「瀬戸焼」の歴史を振り返るような展示では必ず見かけます。
当店を始めた祖父は古陶器にとても目の効く人だったようです。戦後独立した当時は骨董商に近いような仕事だったようです。その祖父は春岱を好んでいたようで、父経由で春岱の魅力は伝え聞いていました(祖父は自分の誕生前にすでに鬼籍に入っていました。直接話を聞くことがなかったのはとても残念)。その中で自分にとっての春岱は織部のイメージが強かったのですが、今回の展示では織部はもちろん、志野や御深井や三島手、染付上絵までと製作の幅広さに驚きました。大鉢から茶碗、香合のような小さなものまで形も実にバラエティに富んでいます。
特に御深井は様々な形(大きさ)もあり「御深井釉魚形変わり皿」(様々な魚をデザインした小皿がいっぱい)のような楽しい器から、「御深井釉三足香炉」のような重厚で複雑な色の変化を見せるものなど見応えありました。
また並ぶ作品はどれも不思議と古さは感じません。これは確かな技術に裏打ちされた普遍な器というところでしょうか。
こうした「春岱」のまとまった展示というのは約60年ぶりとか。点数的には「もっと見たい!」と感じさせる(2階の収蔵絵画の展示室も使って…)ところです。ただ、展示作品の多くが(本当に多くが)「個人蔵」となっていましたので、これだけの点数をひとつひとつ借りて並べるのもなかなか手間のかかる企画だったと想像します。
春岱をまとめて見るなかなかない機会であることは間違いありません(なにせ60年ぶりだし)。春岱を知っている人も知らない人も、ぜひぜひおすすめします。見たら(きっと)ファンになりますよ。