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マネージャーに必要な「3つの目」とは?【レビュー】『失敗事例から学ぶ! マネージャーの思考術』

「マネージャーになったけど、何をすればいいのか分からない…」
「部下の育成がうまくいかず、孤独を感じる……」
「チームのためを思ってしたことが裏目にでてしまった」

目標達成率やチームへの貢献度を認められマネージャーに昇格。ところが、指示する側になってみるとこれまでのような成果を出せなくなった。こんなことなら平社員のままでよかったかも……。このような悩みをお持ちではありませんか?

部下を持つと、指示された仕事をこなしていただけのプレイヤーのときとは違い、チームの目標を達成するよう指示を出し、成果を出すことがより一層求められます。

マネージャーになると、現場のすべてを把握することは無理なこと。間接的に入ってくる情報をもとに現場をマネジメントするスキルが求められます。そして、このときに必要になってくるのがマネージャーの思考術なのです。


そこで今回は、マネージャーに必要な考え方について学べる書籍についてその概要と感想をお伝えします。 

本と著者について

『失敗事例から学ぶ! マネージャーの思考術』
著者:坂田 幸樹
出版社:翔泳社

書籍情報

著者の坂田氏は、経営支援や事業投資などを行う企業の共同経営者。多国籍の多様なメンバーとの言語や文化の違いがあるなかで、「マネージャーの思考術」によって多岐にわたるプロジェクトを成功に導いてきました。

そんななかで、何千人、何万人の大組織を動かすことよりも、数人のチームを機動的に動かすことがこれからの時代はより重要になると痛感し、本書を執筆されました。この本は、坂田氏がたくさんの失敗と成功を繰り返す中で編み出した「マネージャーの思考術」が学べる1冊なのです。

書籍の主な内容と特徴

本書のユニークなポイントは、「失敗事例」 をベースにしていること。それはなんと、著者が新人マネージャー時代に経験したリアルな失敗だそうで、その事例数は22個。成功例だけでなく、リアルな失敗から学べるというのが面白いですね。

また、「思考術」にフォーカスされている点もユニーク。テクニックだけでなく、考え方を学べる内容になっています。それらマネージャーの思考術とは、メンバーの多様化、数値化・言語化、仮説思考など11個。

さらに、各失敗事例の最後には「思考のトレーニング」と名付けられた設問が用意されています。業務上のあるシーンを想定し、マネージャーのあなたなら、どうする? と言った具合に。

思考術を学んだうえで、リアルな失敗を疑似体験し、今度はマネージャーであるあなたに問われるのです。まさに思考のトレーニング。同様の場面に遭遇してもしっかりとした対応ができそうです。

こんな人にオススメ

✅これからマネージャーになる人
✅マネジメントに悩んでいる人
✅成功事例よりも失敗事例から学びたい人

マネージャーとプレイヤーの違い

まずマネージャーとは、どんな役目を担っているのでしょう。本書ではそれをプレイヤーとの比較で説明されています。

本書で定義されているプレイヤーとは「部下が一人もいないメンバー」であり、現場で働き、現場の情報にいちばん近くで接しているメンバーです。

対してマネージャーは、部下に指示する立場であり、マネジメント業務も担うため現場の情報はメンバーから間接的に知ることになります。それも仕方のないこと。部下に任せる立場上致し方ありません。

とはいえ、現場のすべての情報を知ることは難しくとも、注意を傾けておく必要があります。つまり、マネージャーの役割とは、解決すべき問題を発見し、適切な解決策を考え、現場に伝えること。そして、メンバーが仕事をしやすい場を作ることだと本書には書かれています。

あるある!こんなこと。特に印象的だったマネージャーの思考術

ここからは、失敗事例をもとに紹介されているマネージャー思考術の中から、特に印象的だったものをひとつ厳選してお伝えします。

⬛心理的安全性の誤解
マネージャーとして、メンバーが少しでもストレスなく業務にあたれるよう、良い雰囲気のチーム作りを目指そうと考えるかもしれません。働きやすい環境なら良い成績も生み出せそうですもんね。

ノルマを達成できないメンバーに対して、良いところを探して褒める。評価面談の際も話しやすい雰囲気を作り、ただただ聞き役に徹する。きっとメンバーたちは居心地の良さは感じるでしょう。

けれど、そんな表面的な聞き心地の良い言葉しか言わないと、逆にメンバーは良いことしか言えないという、心理的プレッシャーを与える可能性があると著者は指摘します。

確かに、これはあるかもしれません。私の職場に異動してきた新しい上司は、これまでの上司と違って少々クセのある人です。メンバーがミスをすると容赦なく指摘をし、目標を達成するために業務効率化を第一に考える人。時にはグサッとくるような指摘をすることもあり、以前の穏やかだった上司とは真逆で、メンバーからは不評を買うことも。

とはいえ、まったくメンバーのことを考えていないのかというとそうではなく、悩んでいたら適格なアドバイスをする人なのです。そのため徐々にメンバーたちもこの上司が純粋にチームのためを思って動いていることが理解できてきたのか、チームにも適度な緊張感が生まれてきました。その結果、チームの目標は毎月達成するようになったのです。

居心地の良い職場というのももちろん大切です。しかし、職場というのはビジネスの場。従業員は与えられた職務に対して対価を得ているわけであり、それに対しての結果を出す必要があります。

つまり、心理的安全性には結果もともなうということ。それについて坂田氏はこう書いています。

心理的安全性の目的は顧客や社会、企業全体の利益を守ることであり、従業員のストレスを減らすことではない。

この言葉を読んで、まっさきに私の上司の顔が浮かび、理解することができました。

心理的安全性と結果責任はセットで考えるべし

マネージャーの思考術。第1章より。

マネージャーに必要な「3つの目」

本書ではいまご紹介したもののほかに、全部で11個のマネージャーの思考術が紹介されています。

新しくマネージャーになった人は、失敗例を先に知ることで学びを深めることができます。そして、いまはチームの一員として業務にあたっているメンバーならば、書籍に書かれている失敗例からマネージャーの苦労を知ることにもなるでしょう。

マネージャーは、現場のいちばん近くにいる管理職です。大変なこともあると思いますが、この本に書かれているマネージャーの思考術を身につければ、どこで働いても、何歳になっても、活躍できる人になるでしょう。

最後に、マネージャーに必要な「3つの目」について書かれていましたので、それを引用して終わりたいと思います。

マネージャーは物事の全体を俯瞰するための「鳥の目」と、現場を注意深く見る「虫の目」を持ちましょう。それらと合わせて環境の変化を感じるための「魚の目」を持っていれば、好機を捉えられるでしょう。

本書「おわりに」より


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こちらの書籍は、ツナグ図書館の活動を通してご恵贈いただきました。誠にありがとうございます。
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