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わたしの居場所〈映画『本を綴る』と路地裏のカフェ〉
居場所その1:「本」
いま、「本」がテーマとなっている映画『本を綴る』が公開されている。
この映画を京都の「出町座」で観てきた。じつは京都はこの映画の舞台にもなっていてるのだ。その京都の映画館で、「本」がテーマになった映画を観るという幸せ。
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『本を綴る』のパンフレットにこう書いてある。
「本に導かれながら、本が人を繋ぐ。
それぞれの居場所を見つけたその先には……」
そこでこの映画のレビューを「わたしの居場所」という角度から書いてみようと思う。わたしの居場所とは、「本」と、本が読める路地裏にあるカフェである。
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あらすじ
とある出来事がきっかけで小説が書けなくなった作家 一ノ関哲弘は、旅をしながら全国の本屋をめぐり、本屋のコラムや書評を書いている。書けなくなった原因はベストセラーになった自著「悲哀の廃村」にあった。旅の途中で本を介して出会う人々。そのご縁が次の縁を繋ぎ、やがて哲弘はとある人物との出会いによって再び筆をとることになる。さらに「本屋を守る本屋」になって本を救う人になりたいと居場所を見つけるのであった。
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「本」は知識を得たり楽しむだけでなく、人との繋がりを生み、居場所にもなり、人生にまで影響を与えるものだということを考えさせられる映画である。
哲弘が再び書けるようになる重要なシーンがある。それは、ある1冊の古本だ。その古本に挟まっていた手紙を渡すため、宛先になっている人物を探す旅が続く。これは、紙の本でないとできないことである。さらに古本について話す哲弘の言葉からは、「本」という存在そのものにストーリーがあると感じた。
「古本とは、世界に一冊だけの本である。その時、閃いたことがメモしてあったり。読み返したい所に折り目が付いていたり。はたまた、愛の告白が書きなぐってあったり」
劇中には、実在する本屋さんが登場するのだが、京都では「恵文社一乗寺店」が舞台となっている。 哲弘の友人で店長の功二が本屋という仕事について言うセリフがまた良い。
「本の居場所、その本にとって居心地のいい場所を見つける事、誰かに手に取って貰えるまで導くことが俺の仕事だと思っている」
他にも、”繋がった!” と思うセリフがあった。
「本を救うっていい言葉ですね」
これは、香川県の宮脇書店本店の書店員さんのセリフである。この言葉が、私が本のレビューライターや、本に関する活動をするうえでのテーマと繋がったのだ。そのテーマとは、
「本に救われた人は、本を救う力を持っている」
映画のセリフを聞いたとき「ピタリ」とはまった感覚がした。悩んだことがあると私は「本」に助けを求め、救われてきた。なので今度は、「本」に関して何かをしたいと思っている。「本」のある世界がわたしの居場所だという感覚。観て良かった。出合えて良かった映画だった。こんな感覚になるのはきっと私だけでないはず。
劇中では素晴らしいセリフがいくつもあって、パンフレットには全セリフの完成稿が載っている。暗闇でメモできずに残念に思っていたので非常に嬉しかった!
![](https://assets.st-note.com/img/1737254925-Y5fh9MwmtFUo8dJ3u7RXyigr.jpg?width=1200)
写真に写っているパンフレットの「えんぴつかぞく」は、再び書けるようになった哲弘作の絵本。それがパンフレットに収録されている。映画を観たらぜひともパンフレットを買い求めてもらいたい。
本好き、そして本に関わる人に心から推したい映画である。
居場所その2:路地裏にあるカフェ
大好きな本を、こんなに堪能できる映画は初めてで興奮気味に出町座を後にした。「あぁ幸せ……」と空を見上げると気持ちのいい青空が広がっていた。ひと息つこうとカフェを探すものの、この幸せ感で知らないカフェに行きたくない。そう思い、お気に入りのカフェへ向かった。
そのカフェは、大津駅から徒歩10分と少し。路地を入ったところにある古民家を改装したカフェである。店の名前は『カフェ ゴジュウカラ』。じつは私のnote「50代からの本さんぽ」で取材させていただいたお店である。
これはまったくの個人的な意見なのだけど、こちらは誰かと行くより、ひとりで行きたいカフェである。外に面した一人用のカウンター席が1階と2階にあるので、本を読んだりノートを書いたりするのに最適なのだ。そういった時間をこちらのカフェで堪能したい。
この日、ゴジュウカラさんのハンバーグセットをいただき(これが美味しいのなんのって!)、『本を綴る』の余韻に浸りつつ、読書も楽しんだ。すると帰り際、お店の方から嬉しいお話しをいただいた。
先ほどお伝えした、カフェゴジュウカラさんへの取材noteはこちら。
「この記事を見てお店にいらしたお客さんが少なくともお二人はいらっしゃるんですよ。そして、この記事が出てからお店で本を読むお客さんがホントに増えたんです」
そうお店の方が話して下さった。本を落ち着いて読めるカフェって意外となくて、同じように思っていた人がこの記事がきっかけでゴジュウカラさんで読書を楽しんでいるのかもしれない。これは嬉しい!!
『カフェゴジュウカラ』さんは大好きなわたしの居場所のひとつである。そして「本」もわたしの居場所。
なお、『本を綴る』はもともとYouTubeで放送されていたドラマ『本を贈る』の続編である。こちらの方も楽しみだ。