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メモで頭を整理し、ノートで自分を知る。『手書きノート&メモ術』レビュー

本好きライター瀬田かおるが、あなたにオススメしたい本をご紹介します!


✅次々に増える予定ややるべきことの数々が把握しきれない
✅やることが多すぎて「もうヤダ!」ってなりそう
✅モヤモヤしていることをうまく言葉にできない

こんなコンディションのままだと、しまいには全部放り出して現状から逃げたくなるかもしれません。

そうならないために、「紙に書き出してみる」習慣を身につける。そう勧めてくれているのが今回ご紹介する『もやもや、ごちゃごちゃがスッキリする 手書きノート&メモ術』です。

ここで大切なのは、”書き出す”ということ。デジタル時代のいま、あえて、手で書くことが、やるべきことの数々やモヤモヤしていることを整理し、道に迷うことなく前進できるというのです。

書けば考える。
考えれば前に進める。
前に進めば目標に近づける。
目標に近づけば楽しくなってくる。
楽しくなればもっと前に進みたくなる。

『手書きノート&メモ術』はじめに より。


本書を読了したわたしの視点から、特にオススメの箇所と感想をまとめました。最後までお読みいただけると嬉しいです。

本と著者について

『もやもや、ごちゃごちゃがスッキリする 手書きノート&メモ術』
著者:奥野宣之
出版社:河出書房新社

書籍情報

著者は、文筆家の奥野宣之さん。知的生産術や読書法など多数執筆されています。そしてご自身もノート&メモ魔で、その歴なんと26年! 愛読書から書き写した文章や、目に止まった新聞記事のスクラップ、ふと思いついたフレーズをメモした膨大な量のノートができあがりました。

「いま楽しく生きている」それは、メモやノートをつけていたおかげだと奥野さんは言います。

本書に書かれていること

本書は、序章と8章で構成されていて、まとめると次のことが書かれています。

⬛なぜ「手書き」なのか
→序章
⬛メモの基本
→1章
⬛メモに何を書くのか
→2章~3章
⬛メモするとどうなるのか
→4章
⬛ノートについて
→5章
⬛ノートに書くとどうなるのか
→6~8章

特にこんな人にオススメ

本書は、河出書房新社の「14歳の世渡り術」シリーズのため、14歳をメインに高校生や20歳くらいの若い世代に向けて書かれています。

ですが、十分おとなのわたしにも学びどころ満載だったので、次のような人にもオススメしたい1冊です。

✅やることばっかり増える日々を何とかしたい人
✅モヤモヤしていることを吐き出したい人
✅自分を見つめ直したい人
✅自信を持ちたい人
✅ノートが大好き人
✅書くことが好き人

次からは、特にオススメの箇所をお伝えします。

忘れないためだけでないメモの効用

あなたはどんなときに「メモ」しますか?

電話で聞き取ったことを書き留める、であったり、買い置きがなくなったときなど、忘れないためにメモすることがあります。

しかしもうひとつ、メモすると効果的なのが「頭を整理すること」にあります。

やらなきゃならないことや、覚えておかなくてはいけないことを頭の中だけに留めておくには限界があります。それらのToDoで頭がいっぱいになると「わー」っと叫び出したくなるかもしれません笑。

そうならないために、メモに書き出して交通整理をする。その結果、「忘れちゃいけない」「なにをしなくちゃならいんだっけ?」といった事に振り回されなくなります。

そう言うと、手書きでなくてもスマホに音声で吹き込んだり、写メ撮ればいいんじゃない? という声も聞こえてきそうです。

いいえ。手書きにこそ意味があるのです。「手を動かす作成過程そのものに意味がある」と、著者の奥野さん。

なぜ「手書き」がいいのか

奥野さんは、「実感が深まる」ことに手書きの効用があると考えます。
正直、メモを取り出しペンで書くのは面倒くさいですよね~。若い人ならスマホのほうが早いかもしれません。

しかし手で書くときは、手に感じるメモ紙の質感、ペンのインクの色、自分の書いた文字が綺麗に書けたとか、汚い字だなといった印象があります。それらはメモに書いたことを思い出すときの大きなきっかけとなるのです。

スマホだと均一の文字で書かれるので思い出すきっかけにはなりにくい。メモ紙のどの辺に書いたのかも記憶をたどる手段になります。

メモは「考えるとき」の良き相棒

メモは忘れないために書くだけでなく、「考えるとき」にも欠かせないアイテムです。発表会のテーマやアイデアを出すときなど、頭の中だけで考えていても堂々めぐりになってしまいます。

「思案もの」こそ、手を動かすことがもっとも効力を発揮する分野

4章「アイデアは「手」から生まれる」より

手書きこそが頭を少しずつ回転させ、考えるべきテーマに深く潜ることができると言う奥野さん。

そして、そんなときには、なにも綺麗なメモ用紙でなくても良いのです。チラシや書き損じの紙の裏でもOK。「さあ書くぞ!」と気合いを入れなくとも、浮かんできたときにすぐ書くことが大切です。

すぐに書き留められない状況で何か浮かんできたとしても、別の用事をすると忘れてしまうんですよね。そうならないために、部屋ごとにメモ用紙とペンを目の付くところに置いておくのも良いかもしれません。

そうはいっても何も思い浮かばないとき

ペンを持ち、メモ用紙に向かっても何も思い浮かばないときもきっとあるでしょう。

そんな「書けない」と、悪戦苦闘することも意味のあることだと奥野さんは言います。書くことが思い浮かばなくてもメモをつくれば、それが思考のスタートアップになると。

さらに、オリジナルな発想やアイデアを「自分の中に求めてはいけない」のであり、ダメもとで外に出てメモを書いてみる。そうやって、目から入ってくるもの、聞こえるものなど外から刺激をもらい、メモを手書きすることで新しい着想を得られると。

それでも「何も浮かばなかった」とき。そんなときも嘆く必要はありません。メモに手書きをして「考えた」という行動が自分の中でムクムクと発酵し、知らず知らずのうちに熟成されてオリジナルの考えが湧き起こってくるのです。

書けなくてもいいという奥野さんのメッセージはとても心強い!

また、アイデアだけでなく「悩み」ごとで頭がいっぱいなときにもメモは有効です。

「いま悩んでいること」を書き出すのは、悩みを乗り越えたり、悩みに振り回されずに生きていくための手がかりとなります。たとえひとことでも言葉にできれば、そのぶん前に進める。いちばん良くないのは、漠然とした悩みのまま放っておくことです。

4章「メモで「思考を巡らす」」P118より

ノートで「自分を知る」

メモが頭や心を整理するのに有効であるというのに対して、ノートは心身のコンディション向上や、長期的な自己形成に活用できると奥野さんは考えます。

ノートを使うときのポイントは、常に1冊だけを使うこと。そこに閃いたアイデアを書いたメモを貼ったり、1日のログを書いたり、新聞の切り抜きを貼ったりとなんでもごちゃまぜにしてOK。

唯一のルールは、書くときの「日付時刻」と、書き入れたら最後に「区切り線」を引くことです。

そしてもう一つの注意点は、「イマイチなものはノートに収録しない」こと。

やがて自分だけのノートができてくると、見返したとき自分が何に興味を持ち、どんな行動をしているのかが見えてきます。

それは世界にたったひとつのノートです。誰にも真似できない自分の足跡がそこに記録されているのです。それを奥野さんは「ページの蓄積から自分を作る」と言い換えています。

過ぎ去った時間は目に見えません。だけど、自分の興味のあるものが詰まったノート、行動の記録が書かれているノートを見れば、ここまで生きてきた証を目にすることができる。そう考えると、今すぐにでもノートをつけたくならないでしょうか。

もう1冊、オススメの本

余談ですが、実はわたし、奥野さんの本はこれが初めてではありません。最初に出合ったのは『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』でした。

もともとノートが好きだったのもあり、この本に出合うまでにも一日のログをつけたり、心に残った言葉やちょっとしたアイデアを書き留めていました。

しかし、ログ用のノート、言葉ノート、アイデアノートと、それぞれに使い分けていたのです。結果、書きたいときに該当するノートを取り出すのが面倒になり挫折した過去があります。

それが、奥野さんの『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』を読み、ログも、心に沁みた言葉も、アイデアも旅先でもらってきたパンフレットなどもすべて1冊のノートにまとめることにしました。

それがかれこれ8年前のこと。ちゃんと今も続いています。正直、すべての記録をしている訳ではないのですが、現在のノートはこんな感じです↓

舞台のチケットや旅先でもらってきたパンフレットなどが貼ってあります

これは4冊目のノートになります。
正直、面倒になるときもあります。ですが見返したときのワクワク感を思うともう今さら止めることはできません。

おわりに

ごちゃごちゃした頭の中を記録するだけでなく、考えを深めることのできるメモとノートの効力。さらにその効果を高めるための手書きの技術について書かれた『もやもや、ごちゃごちゃがスッキリする 手書きノート&メモ術』についてご紹介しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

なお、こちらの書籍は株式会社アップルシード・エージェンシー様よりご恵贈いただきました。ありがとうございました。


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