0から1を作る
ある日息子が私にこんなことを言ってきました。
すごい。お父さん、この僕のためのイスはどうやって作ったの。
私は戸惑うことなくこう答えました。
木を削って釘を打ち付けて作ったんだよ。
すると息子は繰り返しこう質問してきました。
お父さん、その木と釘はどうやって作ったの。
私は答えに戸惑いながらも、丁寧に答えました。
他の人が切ってくれた木を、お金を払って買ったんだ。釘も一緒だよ。
息子はさらにこう訊ねました。
お父さん、他の人とお金はどうやって作ったの。
私は少し時間をもらい、考えました。
何かができるのには誰かしらが手をかけて作っている。
それが例え藁のひと束でさえ、誰かしらの手が加わっている。
自生してる可愛らしいあの花でさえ、誰かしらの花から花へ花粉が行き来して作られてる。
卵が先か鶏が先か、という問題に答えるとするなら私はどう答えるのだろうか。
本当に0から生み出されたものってなんなのだろうか。
考え込んでいる私に、息子はこう言いました。
お父さん、僕の脚は何で治すの。
私は答えました。
もうすぐ業者さんが来るから。充電して待ってなさい。
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